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俗に言うアレ

第207話

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 キュッキュッキュッ


 体育館シューズが動く音。

 体育の時間がやってきて、男子グループはバスケの練習をしてた。

 俺は体操服には着替えなかった。

 着替えなかったっていうか、持ってきてない。

 持ってきてたところで、体調不良だし。

 女子たちはバトミントンをしたり、卓球をしたりしてた。

 男子と混じってバスケをする人も。

 千冬もその1人だ。


 「記憶喪失やって?」


 話しかけてきたのは“たっくん“。

 鈴原たくみ。

 こっちの世界の俺は、たっくんと呼んでるらしい。

 一之瀬さんからそう聞いた。

 実は昼休み、色々教えてくれたんだ。

 記憶喪失のことを案外真に受けてくれたみたいで、クラスの相関図みたいなものをノートに書いてくれた。

 相関図…?

 ちょっと違うか。

 ようは、俺とクラスの人たちとの関係。


 「頭痛かったりするん?」

 「…少しだけ」


 このたっくんというのは、サッカー部らしい。

 爽やかな見た目で、バスケも上手かった。

 サッカーでもポジションはフォワードらしく、ゴール下での動きが機敏だ。

 神戸高はサッカーが強いことで有名だが、頑張ればレギュラーも取れるんじゃないか?

 今はあれかもしれないが、2年とか3年に上がる頃には。
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