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100億光年の時の彼方で

第360話

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 神戸高校の部室は、須磨校の部室と違って、1人1人にちゃんとロッカーがついてる。

 机に散らばったトランプと雑誌。

 飲みさしのポカリスエット。

 入口に靴を脱ぐ場所があって、部室内は一面木目調のフロアタイルで出来てる。

 壁も天井も、比較的新しい。

 壁付けされたでかいホワイトボードには、その日のスケジュールが書いてある。

 全部マネージャーが書いてくれたものだ。

 青いマーカーと、先の潰れた黒のマーカー。

 えーっと、なになに。

 今日は「ロンT」と「バント練習」ね


 …げ!!!


 タイヤ引きがあんじゃねーか!!

 あれやなんだよな…

 あれするぐらいなら、普通に塁間ダッシュをやらしてくれたほうがいい。

 塁間ダッシュも大概嫌だが、一昨日タイヤ引いた時吐きそうになったもん。

 コツがあるみたいだが、イマイチ相性が良くない。

 昔からあるトレーニングらしいが、一体誰が考案したんだか…


 拓海が着替えてる間、パイプ椅子に腰掛けて「週刊少年ジャンピオン」を見てた。

 今週の『グラコロ』はマジでおもしろい。

 バトル展開がかなり盛り上がってる。

 主人公より脇役が活躍してる漫画って面白いよな。

 なあ?


 「それ、カズマ先輩のやからちゃんと元に戻しとけよ?」

 「あ、そうなん?」

 「アイツもう読み終わったって言っとったで」

 「そうなんですか」

 「じゃ、俺も読もー」

 「長内っちに見つかんなよ?」

 「わかってますよ」


 テレビが置いてある部室って初めて見た。

 普通にテレビが見れるわけじゃなくて、バッティングフォームの確認とか録画した練習試合の振り返りとかするために、設置されてるっぽい。

 時々テレビゲームを持ってくるバカがいるが、あえなく没収されてる。

 そりゃ楽しいだろうけどさ?

 流石にダメだろ。

 漫画でさえマネージャーに怒られてんのに。


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