The Dead Crisis‐デスゲームに巻き込まれたけど生き残る!

Bastion

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バックストーリー集

バックストーリー No.4「神無月紗夜」

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 NO.4 並行世界線0049

 武者修行、それが彼女に課せられた一つの目標であった。
 誉れある武人として、心も肉体も立派で美しくある為に、1人の女性である「神無月紗夜」は一人世界を奔走していた。

 彼女の名は「神無月紗夜」
 偉大なる武人の家である「神無月」の長女であり、姉御肌な人物でドライながらも女番長的な豪快な性格の18歳の女性だ。

 何時の時も、世は平和であったがそれでは武人としての腕は鈍ってしまう。

 何時の時も他者より強く、他者より先へ、他者より上を進む事を目標とする紗夜の父親はそんな彼女を武者修行の旅へと出させたのだ。

 18歳となり、身も心もそれなりに大人となっていた紗夜は一人世界を駆ける事となった。

 しかし、その最中で彼女の行方が分からなくなった時。

 神無月家の者達は悲しみにくれた。

 何故、行方を眩ましたのか。連絡もくれずに永遠にその存在に闇に落としてしまったのか。

 それは本人である彼女以外、知る者はいない…。


 ◇◇


 それはとある夜の日だった。

 紗夜はこの日も、毎日欠かさず行っている大剣の素振りを行っていた。

 汗が体から僅かに流れ、その肉体に触れて色気を放つぐらいになった頃。
 あの時と同じ様に血の匂いがする霧が現れた。


 ―――え、何だ!?


 あの時の感触と似ている。実物を持たないはずなのに実物を持っている。
 あってない、正に矛盾した存在。


 あの時は父が助けてくれた。あの時は父親の手によってあの霧と闇は消えた。

 しかし今は一人、周りには誰一人としていない。
 助けの声を上げようにも、言葉が詰まって声が思う様に出てこない。

 父上から貰い受けた専用の大剣を彼女は握る。
 しかし、突然の事態により発生する焦りによって剣筋は自分でも嫌になる程鈍ってしまい、思う様に振るう事が出来なくなった。

 そして気が付けば、自分の周囲を包囲していくのは無数の血の匂いを放つ霧と永遠に終わる事のない闇と言う虚無の世界。

 ――逃げなければ!

 本能がそう自分に囁いた時、風が彼女の薄紅色の侍風ポニーテールの髪を揺らした。しかし、神無月はもうそこには立っていなかった……。
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