25 / 25
番外編 サリジュ
しおりを挟む
最後の番外編を書くのが遅くなってしまいました。
番外編 サリジュ
これで完結になります
……………………………………………………
「こんなこともわからないの?
貴女は今まで何を学んでいたの?」
「すっすみません。直ぐに直します」
「もう、いいわ!他の人に頼むから」
「すみません………」
ハァ。なんで?私はなんでこんな簡単な計算ミスを……
この職場に来て2ヶ月になるけれど、なかなかうまくいかない
私ってもしかしたら、仕事ができない人だったのかな。
あの時、ロイス長官への恋慕にわざと簡単な書類ミスをしていたように思うけれど……まさか自分は仕事の能力無かったんじゃ………
「サリジュ君?そんなに落ち込むなよ。まだ入ったばかりなんだし」
「グルマス様」
いつも何かと優しくしてくれる隣の席のマイク、グルマス様。
「私、何やってもダメですね」
「そんなことはない!今に出来るようになるよ」
「あっ、ありがとうございます」
そして私は定時になったので、慌てて家族の元へ帰宅した。
「ただいま」
「おかあしゃま、お帰りなさい」
「シラン、ただいま。お父さんは?」
「いるけど………」
「また来てるのね」
「ルーイ、ただいま」
「サリジュ、お帰り!」
「サリジュさん、お邪魔してるわ。ねぇ、お腹空いたの。。何か食べるものある?」
「………これから夕飯を作りますが……」
「じゃあ、ご馳走になったら帰ろうかな。うふふっ、ルーイ、良いかしら?」
「あぁ、いいさ!サリジュ、サチの分も頼むよ」
「ねぇ、ルーイそれでねっ」
バタンッ
「おかあしゃま」
「いいのよ、嫌な思いしてない?」
「ううん。おかあしゃまは大丈夫?」
「そうねぇ……お腹空いたわね。今日はお肉買ってきたから食べようね。私たちはこっちで食べようね」
私は6年前にロイス長官達に勧められた環境省で、ルーイと知り合った。
1年過ぎた頃、ルーイから告白され私達は婚姻した。
同じ職場はまずいだろうと私が退職した。
程なく私が懐妊したので退職して良かったと思った。
シランも4歳になり保育所に預けられるようになったので、私も働くことにした。
その頃からルーイの行動がらおかしくなったし、サチさんがよく来るようになった。
「あはは~、ルーイったらぁ。」
騒がしい声が隣の部屋から聞こえる
何故?いつもあの人は家に来るのだろう
何故?旦那様はシランと私を大事にしてくれないのだろう。
婚姻してシランを授かり、最初は幸せだったのだけど……
ルーイの幼馴染みが地元に帰ってきてから、我が家に訪ねて来るようになり、毎日のように押し掛けてきてはルーイと話ばかりしている。
ルーイも何故か喜んで迎え入れて……
家族なのに、私達はどうなっていくのだろう
嫌な気持ち
「うわぁ~ん」
「シラン?どうしたの?」
「おかあしゃま、あの人なんで?おとおしゃまといるの?僕だっていっしょにいたいのに」
「うぁ~ん。いやだよー」
「うるさいぞ!どうしたんだ?シラン静かにしろ!」
「なんか……それって本気で言ってるの?」
「サリジュ?どうした?」
「どうしたも、こうしたもないわよ!息子が泣いてるのに!うるさい?あんた達のほうがうるさいわよ!!それに何よ!いつもいつも何で?帰ってくれば他人が家にいるしっ、シランを1人にして何を考えてるのよ?」
「何言ってるんだ?他人?サチは俺にとって妹みたいなもんだ」
「みたいなもん?じゃあ、他人じゃないの!それに、いつもいつも我が家に何をしに来てるわけ?旦那様はその人と、不倫でもしてるのですか?」
「ふざけるな!そんなことしてない」
「じゃあ、何故いつもいるの?」
「あらっ、じゃあルーイと浮気していいのね。ルーイ、奥様から許可ぎがおりたわよ。じゃあ、今からホテルでもいかない?」
「…………行かない。サチ、もう帰ってくれ」
「そうなの?じゃあ、また来るわね。ごちそうさま」
バタンッ
「「…………………」」
あれから、私はルーイと距離をとっている。
この状況はまずいと思っているが、シランのことを思うと、許せないでいる。
今日も仕事から帰れば………サチさんの靴がある
「なんか……疲れたな」
「おかあしゃま、おかえりなさい」
「シラン、お外に何か食べに行こうか」
「うんっ」
バタンッ
「「…………」」
「帰ってきたのにシランちゃん連れて行っちゃったわね」
「ルーイ、ほんとなくて話さなくていいの?」
「いいんだ。もう、こんな借金だらけの俺と一緒にいたら、サリジュもシランも気の毒だ。このまま嫌われて俺と別れほうが……」
「でもさ、ルーイが実家の犠牲になるなんてっ。それに酷いわよ!ルーイに離縁して、あんな女の所へ行って再婚しろなんてっ!」
「それでも親を捨てられない。
あの方の所へ行けば血の繋がったシランに迷惑がかからないようにできる。サチ、悪者にしてごめんな。」
「ルーイ、あんなにサリジュさんと婚姻できて喜んでたのに……ルーイが、気の毒すぎるわ。」
「仕方ないんだよ」
ガタンッ
「「!!」」
「なにそれ?ルーイ?どういこと?、」
「あっ」
「どう言うことなの?私に何を隠しているの?教えて!」
「ルーイ、もうサリジュさんに話したら?
ごめんなさいね、今までこんな芝居したくなかったのよ」
「サチさん、私………」
「あなたの勤めている部署にグルマスって言う人いるでしょ?」
「えっ?ええっ………」
「そいつの家が……そいつがルーイの親を騙したのよ!
うまい話を持ちかけて、こちらの資金を全て使わせた上で騙したのよ!全てよ……全て奪った上でルーイを自分の姉の所行かせれば借金を清算してやるって持ちかけてきて。」
「なぜ?なぜ?ルーイを?」
「ルーイを見かけて惚れたって言う話よ。その未亡人はグルマスの姉らしいわ。
そして、あんな善良な顔をしているマイク、グルマスはあんたを狙ってるのよ!」
「えっ?そんなっ!私にはシランがいます!若い娘でもあるましっ!」
「だからよ」
「えっ?」
「グルマスの奥様とは子供がいないの。サリジュさんは子供がいるでしょ。だから、あなたを第二夫人にして跡取りを作るつもりなのよ」
「いやです!私はルーイと別れるつもりはありません」
「サリジュ、僕は親を捨てられないんだ。ずっと、ずっと僕の為に生きていたような人達なんだ。僕が死にそうになった時もずっと両親が僕を助けてくれた。だから……守ってやりたいんだ」
「ルーイ?…………わかったわ。
貴方と別れて、グルマスさんのところへ行くわ。」
「サリジュ!!」
「ふっ、そうすれば貴方がそんな女のところへ行かなくてすむかもしれない。グルマス様に頼むわ。
私がグルマスさんの子供を産むからルーイから手を引いてくださいと。」
「ダメだ!ダメだ!サリジュにそんな思いさせられない!!」
「あのね、初めて話すけど聞いてくれる?
私は学生の頃すごく、勉強を頑張ってたの。王宮で勤めるため。文官になりたくてね」
「…………うん」
「それはね、恋をしたからなのよ。
たまたま学園に来た殿下側近のロイス長官に一目惚れをして、絶対にまた会いたいって……その人は綺麗な紫色の瞳で。私は全ての持ち物を紫に変えるくらい好きだった。そして希望が叶って文官になったの。成績が良かったから殿下の執務室勤務に配属されたし、憧れのロイス長官の側で仕事が出きるようになった。ある時、ちよっとしたミスをしてしまったの。叱られると思ったらロイス長官が私を呼んで、私と席を並べてミスしたところを教えてくれた。私ったら何を勘違いしたかミスしたらまた側に呼んでもらえるし、私の名前を呼んでもらえるって……。
馬鹿よね。それなら優秀な仕事人間になったほうが良いのに。
私はちょこちょこミスをし、ロイス長官に叱られるようになったんだけど、名前呼ばれる度に馬鹿みたいに舞い上がって呆れられてただけなのに………。
ラウル殿下の婚姻式で、私は大事な仕事をやらかした。陛下から大事なワインの注文があったのに忘れてしまって。それは陛下がとても大事にしている隣国の方へ出すワインだったの。我が国にしかないブドウで作られる貴重なワインで、とても楽しみに来られると言う話だったのに。ロイス長官は休みで婚約者と婚姻式へ参列に来ていたのだけど私は、わざわざ長官の控え室へ行ってミスを伝え、婚約者との時間を奪って。長官は怒っていたけど、それでも自分の伝で届くようにしてくれた。だけど私のせいで搬送口から暗殺者を簡単に入れてしまった。普段もう閉まっている搬送口だったのに……。賭博から逃げようとした暗殺者が魔道具でできた神経を麻痺させる煙玉を投げて、そのせいで私は倒れてしまった。そして私を助けようとしたロイス長官まで倒れて……。
王宮の職員に迷惑かけて混乱させて……全て私のせい。
ロイス長官にいっぱい迷惑かけて、婚約者様を傷つけて……だから退職して、王都から離れた環境省へ来たのよ。
人に迷惑かけたような私が、ルーイのおかげで幸せになれた!私に旦那様ができるなんて……シランまで授けてもらえた。
だから、貴方に恩返ししたい。私と別れてください。そして、グルマス様に頼んでみます。あの人が子供をどうしても欲しいのなら産んで、私がルーイの役に立ちます!」
「ダメだよ!サリジュにそんな思いさせられない。嫌な思いは僕がするから」
「うぁーん」
「「!!シラン?」」
「どうしたの?シラン?あっ、シラン何故?ルーイ来て!!」
「どうしたんだ?えっ?何故?火が?」
「私達が話してる間、悪戯で火をつけたのかも。シラン、火傷してるわ!病院へ行かなきゃ」
「僕が連れていくよ」
「私もすぐに行くから、先に行ってて」
バタバタバタッ
「ルーイ、任せてごめんなさい。
」
「シランは2~3日安静だって」
「そうなのね、ルーイ悪いけシランを頼める?休めるかしら?」
「いいよ。今は仕事が暇だからね」
「実は今日言うつもりだったのだけど、隣町のうちの会社の商店がお祭りをするらしく、そこへ手伝いに行かなきゃいけなくて。シランをルーイに、頼むつもりだったの。3日後には帰ってくるからお願いできる?」
「いいよ!さっきの話しの続きは、また帰ってきたら。」
「………ええ。そうね。シランが寝ているうちに家に帰ってシランとルーイの荷物を持ってくるわ」
サリジュはシランとルーイの着替えを渡し…………そして離縁書を部屋に残し、消えた。
「グルマス様、妻を、妻を返してください。
僕の大事な妻を!サリジュを返してください」
「しつこいですね。貴方の家、サリジュのおかげで立ち直ったのでしょう?良かったですね。」
「そんなっ」
「聞いてないの?貴方の両親はとても喜んでくれたけどね。
それに……貴方も姉の所へ行かなくて済みましたしね。それとも……姉の所へ行きますか?子供が一人ぼっちになってしまいますよ」
「うっ……」
「サリジュは自分から来たんですよ。貴方を助けるために。
それに……もう僕の子種を受け入れましたし。ふっ。
そうだなぁ、2人くらい産んでもらうつもりです。もちろん、僕と妻の子供としてね。
だから、子供が2人産まれたら……でも、それでも貴方が良ければの話ですけどね。
それじゃ、サリジュが待ってるから行きます。
あぁ、心配しないで。僕、結構サリジュを、気に入ってます。大事にしますよ。じゃあ」
「………なんてことだ!サリジュ。サリジュ。ごめん、サリジュ」
「サリジュ君、今日君の旦那が僕に会いに来たよ。追い返したけど、良かったんだよね?」
「えぇ、それで良いのです。グルマス様、我が家を助けてくださりありがとうございます。」
ふら~っ
「サリジュ君!!」
あれから僕は、両親とはうまくいっていない。
あんなにも両親が、大事だったのに、サリジュを失って何もかもおかしくなってしまった。
もうじき3年になる
サチが侯爵家の知り合いから聞いたてきた。サリジュは子供を産んだらしい。
グルマス様と奥様が大事そうに男の子を抱いて子供用品を見ていたと言う話だ。
だが、サリジュを見た人はいない。
グルマス様は子供を2人と言っていたか?
2人産むまで帰してくれないのだろうか………「サリジュ」うっうっ。
シランは15歳になった。王都の貴族学園に入ることになった。
サリジュが助けてくれたお陰で子爵家として貴族としていられている。
サリジュ、君は今どうしてる?
シランには、嘘偽り無く話して、あるよ。決して母が僕達を捨てて出ていったなんて思わないように。
シランは母っ子だったから、優しい母のことを忘れていないよ。
そして、家族のために犠牲になったことも決して忘れないと言っている。
「兄上?」
「サトスか、見つかったか……」
「いつ此方へ?」
「いや、着いたばかりなんだよ。
着いたばかりなのに見つかってしまったな」
「帰り、必ず邸へ寄ってくださいよ」
「あぁ、だがマリエが体調が悪くてね。今日は父さんの誕生日だったから慌てて馬で来たのだ。直ぐにまた帰るつもりなんだ」
「義姉上は……」
「ははっ、3人目がね。今辛そうなんだ」
「そうですか、じゃあ急いで帰らなくちゃ」
「そうするよ」
「父を側においてくれて良かった。サトス、感謝する」
「やっと会えたのですから」
「そうだな。まさか、僕に弟がいるとは、母さんは内緒にするのが家族を守る為だと思ったんだろうな」
「父さんとシラン兄さんと離れて直に僕がお腹にいることがわかったから、仕方なかったんでしょうね。
その後、あの方達の望んだ希望を叶えなければいけなかったし」
「そうだな。無理をして侯爵様の子種を受け入れて、無事に嫡男を産んで……転がるように身体が悪くなり、父さんと離れて生きる事を諦めてしまった。きっと父さん以外の子供を産んだ事が、母さんにとっては……」
「僕はグルマス様には良くしてもらいました。嫡男と一緒に学ばせてもらえたから、今があります。グルマス様は優しい方でしたね。あの身持ちの悪いグルマス様の姉から父さんを守ってくれたのですから。」
子供も産まれているのに何年経っても帰って来ない妻を心配してルーイが侯爵(グルマス)様を訪ねて………
「そうだな。侯爵様に騙されて家が傾きかけたなんて祖父の嘘で、あの未亡人に騙されたのも祖父で、父さんを未亡人へ差し出すことを結託したのも祖父だなんて。後から真実を聞いて父さんの嘆きは酷かった。」
侯爵様に会いに行かなければ真実が知れなかったし」
侯爵様は奥様を愛していて、妻を裏切って母と閨をするのは辛いと話した。母さんに、器具で子種を入れるから子供を産んで欲しいと頼んだそうだ。その提案であったから母さんも受け入れられたんだろう
「母さんには帰ってきて欲しかったよ。そしたらサトスと兄弟として過ごせたのに。今更だがな
じゃあ、僕は行くよ」
「あぁ、じゃあね」
サトスは兄を見送り、振り返った
「父さん、誕生日おめでとう。
母さんとお祝いしてる?」
持ってきた花を、兄が置いた花の隣に置いて手を合わせた
「じゃ、また来るよ」
その石には、こう打ってある
サリジュ 35歳 ここに眠る
ルーイ 70歳 ここに眠る
ルーイはまさかサリジュがそんな早く儚くなっていたとは知らなかった。
ルーイの元から離れた時、サトスがお腹にいることがわかり、グルマス様に産むまで待って欲しいと頼み、それを了解したグルマス様。
サトスを出産から1年待って、グルマスの子種を受け入れた。
グルマスの嫡男を産んだ時、出血過多のため予断を許さない状態が続いた。グルマス夫婦に献身的に世話になったが、ルーイと離れたことで気持ちに負けてしまい、病気に勝てなかった。
何度もルーイに連絡すると言ったが、サリジュが嫌がった。
あまりにも危ない状態が続いていたので、サリジュの言うことを聞くしかなかった。
サリジュが儚くなった後、サトスはグルマス家の使用人として面倒見てもらっていた。
サリジュに産んでもらった嫡男とサトスはいつも一緒にいた。学ばせてもらったお陰で学園にを入学でき、優秀な成績で卒業できた。後、学園で知り合った令嬢と婚姻した。
後悔するだろうとグルマス夫婦で話し合って、ルーイに真実を話した。。
サリジュのたっての希望でグルマスの子供を産んだ後連絡を入れられなかったが、ずっとサトスを父のルーイに会わせてやりたかった。
ルーイは、サリジュにそっくりなサトスに会って号泣した。
ルーイがだいぶ身体が弱ってきていることもあり、サリジュの側が良いだろうと、サトスの住む屋敷へ移る。
ルーイは儚くなったサリジュの眠る場所に毎日のように行っては泣きながらサリジュの墓石を抱き締めていた。
ある時、帰りの遅い父をサトスが探しにいき、倒れている父を母の墓で見つけた。
父、ルーイは幸せそうな顔で眠っていたらしい。
END
……………………………………
読みにくい文、誤字脱字ありましたら、申し訳ないです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
番外編 サリジュ
これで完結になります
……………………………………………………
「こんなこともわからないの?
貴女は今まで何を学んでいたの?」
「すっすみません。直ぐに直します」
「もう、いいわ!他の人に頼むから」
「すみません………」
ハァ。なんで?私はなんでこんな簡単な計算ミスを……
この職場に来て2ヶ月になるけれど、なかなかうまくいかない
私ってもしかしたら、仕事ができない人だったのかな。
あの時、ロイス長官への恋慕にわざと簡単な書類ミスをしていたように思うけれど……まさか自分は仕事の能力無かったんじゃ………
「サリジュ君?そんなに落ち込むなよ。まだ入ったばかりなんだし」
「グルマス様」
いつも何かと優しくしてくれる隣の席のマイク、グルマス様。
「私、何やってもダメですね」
「そんなことはない!今に出来るようになるよ」
「あっ、ありがとうございます」
そして私は定時になったので、慌てて家族の元へ帰宅した。
「ただいま」
「おかあしゃま、お帰りなさい」
「シラン、ただいま。お父さんは?」
「いるけど………」
「また来てるのね」
「ルーイ、ただいま」
「サリジュ、お帰り!」
「サリジュさん、お邪魔してるわ。ねぇ、お腹空いたの。。何か食べるものある?」
「………これから夕飯を作りますが……」
「じゃあ、ご馳走になったら帰ろうかな。うふふっ、ルーイ、良いかしら?」
「あぁ、いいさ!サリジュ、サチの分も頼むよ」
「ねぇ、ルーイそれでねっ」
バタンッ
「おかあしゃま」
「いいのよ、嫌な思いしてない?」
「ううん。おかあしゃまは大丈夫?」
「そうねぇ……お腹空いたわね。今日はお肉買ってきたから食べようね。私たちはこっちで食べようね」
私は6年前にロイス長官達に勧められた環境省で、ルーイと知り合った。
1年過ぎた頃、ルーイから告白され私達は婚姻した。
同じ職場はまずいだろうと私が退職した。
程なく私が懐妊したので退職して良かったと思った。
シランも4歳になり保育所に預けられるようになったので、私も働くことにした。
その頃からルーイの行動がらおかしくなったし、サチさんがよく来るようになった。
「あはは~、ルーイったらぁ。」
騒がしい声が隣の部屋から聞こえる
何故?いつもあの人は家に来るのだろう
何故?旦那様はシランと私を大事にしてくれないのだろう。
婚姻してシランを授かり、最初は幸せだったのだけど……
ルーイの幼馴染みが地元に帰ってきてから、我が家に訪ねて来るようになり、毎日のように押し掛けてきてはルーイと話ばかりしている。
ルーイも何故か喜んで迎え入れて……
家族なのに、私達はどうなっていくのだろう
嫌な気持ち
「うわぁ~ん」
「シラン?どうしたの?」
「おかあしゃま、あの人なんで?おとおしゃまといるの?僕だっていっしょにいたいのに」
「うぁ~ん。いやだよー」
「うるさいぞ!どうしたんだ?シラン静かにしろ!」
「なんか……それって本気で言ってるの?」
「サリジュ?どうした?」
「どうしたも、こうしたもないわよ!息子が泣いてるのに!うるさい?あんた達のほうがうるさいわよ!!それに何よ!いつもいつも何で?帰ってくれば他人が家にいるしっ、シランを1人にして何を考えてるのよ?」
「何言ってるんだ?他人?サチは俺にとって妹みたいなもんだ」
「みたいなもん?じゃあ、他人じゃないの!それに、いつもいつも我が家に何をしに来てるわけ?旦那様はその人と、不倫でもしてるのですか?」
「ふざけるな!そんなことしてない」
「じゃあ、何故いつもいるの?」
「あらっ、じゃあルーイと浮気していいのね。ルーイ、奥様から許可ぎがおりたわよ。じゃあ、今からホテルでもいかない?」
「…………行かない。サチ、もう帰ってくれ」
「そうなの?じゃあ、また来るわね。ごちそうさま」
バタンッ
「「…………………」」
あれから、私はルーイと距離をとっている。
この状況はまずいと思っているが、シランのことを思うと、許せないでいる。
今日も仕事から帰れば………サチさんの靴がある
「なんか……疲れたな」
「おかあしゃま、おかえりなさい」
「シラン、お外に何か食べに行こうか」
「うんっ」
バタンッ
「「…………」」
「帰ってきたのにシランちゃん連れて行っちゃったわね」
「ルーイ、ほんとなくて話さなくていいの?」
「いいんだ。もう、こんな借金だらけの俺と一緒にいたら、サリジュもシランも気の毒だ。このまま嫌われて俺と別れほうが……」
「でもさ、ルーイが実家の犠牲になるなんてっ。それに酷いわよ!ルーイに離縁して、あんな女の所へ行って再婚しろなんてっ!」
「それでも親を捨てられない。
あの方の所へ行けば血の繋がったシランに迷惑がかからないようにできる。サチ、悪者にしてごめんな。」
「ルーイ、あんなにサリジュさんと婚姻できて喜んでたのに……ルーイが、気の毒すぎるわ。」
「仕方ないんだよ」
ガタンッ
「「!!」」
「なにそれ?ルーイ?どういこと?、」
「あっ」
「どう言うことなの?私に何を隠しているの?教えて!」
「ルーイ、もうサリジュさんに話したら?
ごめんなさいね、今までこんな芝居したくなかったのよ」
「サチさん、私………」
「あなたの勤めている部署にグルマスって言う人いるでしょ?」
「えっ?ええっ………」
「そいつの家が……そいつがルーイの親を騙したのよ!
うまい話を持ちかけて、こちらの資金を全て使わせた上で騙したのよ!全てよ……全て奪った上でルーイを自分の姉の所行かせれば借金を清算してやるって持ちかけてきて。」
「なぜ?なぜ?ルーイを?」
「ルーイを見かけて惚れたって言う話よ。その未亡人はグルマスの姉らしいわ。
そして、あんな善良な顔をしているマイク、グルマスはあんたを狙ってるのよ!」
「えっ?そんなっ!私にはシランがいます!若い娘でもあるましっ!」
「だからよ」
「えっ?」
「グルマスの奥様とは子供がいないの。サリジュさんは子供がいるでしょ。だから、あなたを第二夫人にして跡取りを作るつもりなのよ」
「いやです!私はルーイと別れるつもりはありません」
「サリジュ、僕は親を捨てられないんだ。ずっと、ずっと僕の為に生きていたような人達なんだ。僕が死にそうになった時もずっと両親が僕を助けてくれた。だから……守ってやりたいんだ」
「ルーイ?…………わかったわ。
貴方と別れて、グルマスさんのところへ行くわ。」
「サリジュ!!」
「ふっ、そうすれば貴方がそんな女のところへ行かなくてすむかもしれない。グルマス様に頼むわ。
私がグルマスさんの子供を産むからルーイから手を引いてくださいと。」
「ダメだ!ダメだ!サリジュにそんな思いさせられない!!」
「あのね、初めて話すけど聞いてくれる?
私は学生の頃すごく、勉強を頑張ってたの。王宮で勤めるため。文官になりたくてね」
「…………うん」
「それはね、恋をしたからなのよ。
たまたま学園に来た殿下側近のロイス長官に一目惚れをして、絶対にまた会いたいって……その人は綺麗な紫色の瞳で。私は全ての持ち物を紫に変えるくらい好きだった。そして希望が叶って文官になったの。成績が良かったから殿下の執務室勤務に配属されたし、憧れのロイス長官の側で仕事が出きるようになった。ある時、ちよっとしたミスをしてしまったの。叱られると思ったらロイス長官が私を呼んで、私と席を並べてミスしたところを教えてくれた。私ったら何を勘違いしたかミスしたらまた側に呼んでもらえるし、私の名前を呼んでもらえるって……。
馬鹿よね。それなら優秀な仕事人間になったほうが良いのに。
私はちょこちょこミスをし、ロイス長官に叱られるようになったんだけど、名前呼ばれる度に馬鹿みたいに舞い上がって呆れられてただけなのに………。
ラウル殿下の婚姻式で、私は大事な仕事をやらかした。陛下から大事なワインの注文があったのに忘れてしまって。それは陛下がとても大事にしている隣国の方へ出すワインだったの。我が国にしかないブドウで作られる貴重なワインで、とても楽しみに来られると言う話だったのに。ロイス長官は休みで婚約者と婚姻式へ参列に来ていたのだけど私は、わざわざ長官の控え室へ行ってミスを伝え、婚約者との時間を奪って。長官は怒っていたけど、それでも自分の伝で届くようにしてくれた。だけど私のせいで搬送口から暗殺者を簡単に入れてしまった。普段もう閉まっている搬送口だったのに……。賭博から逃げようとした暗殺者が魔道具でできた神経を麻痺させる煙玉を投げて、そのせいで私は倒れてしまった。そして私を助けようとしたロイス長官まで倒れて……。
王宮の職員に迷惑かけて混乱させて……全て私のせい。
ロイス長官にいっぱい迷惑かけて、婚約者様を傷つけて……だから退職して、王都から離れた環境省へ来たのよ。
人に迷惑かけたような私が、ルーイのおかげで幸せになれた!私に旦那様ができるなんて……シランまで授けてもらえた。
だから、貴方に恩返ししたい。私と別れてください。そして、グルマス様に頼んでみます。あの人が子供をどうしても欲しいのなら産んで、私がルーイの役に立ちます!」
「ダメだよ!サリジュにそんな思いさせられない。嫌な思いは僕がするから」
「うぁーん」
「「!!シラン?」」
「どうしたの?シラン?あっ、シラン何故?ルーイ来て!!」
「どうしたんだ?えっ?何故?火が?」
「私達が話してる間、悪戯で火をつけたのかも。シラン、火傷してるわ!病院へ行かなきゃ」
「僕が連れていくよ」
「私もすぐに行くから、先に行ってて」
バタバタバタッ
「ルーイ、任せてごめんなさい。
」
「シランは2~3日安静だって」
「そうなのね、ルーイ悪いけシランを頼める?休めるかしら?」
「いいよ。今は仕事が暇だからね」
「実は今日言うつもりだったのだけど、隣町のうちの会社の商店がお祭りをするらしく、そこへ手伝いに行かなきゃいけなくて。シランをルーイに、頼むつもりだったの。3日後には帰ってくるからお願いできる?」
「いいよ!さっきの話しの続きは、また帰ってきたら。」
「………ええ。そうね。シランが寝ているうちに家に帰ってシランとルーイの荷物を持ってくるわ」
サリジュはシランとルーイの着替えを渡し…………そして離縁書を部屋に残し、消えた。
「グルマス様、妻を、妻を返してください。
僕の大事な妻を!サリジュを返してください」
「しつこいですね。貴方の家、サリジュのおかげで立ち直ったのでしょう?良かったですね。」
「そんなっ」
「聞いてないの?貴方の両親はとても喜んでくれたけどね。
それに……貴方も姉の所へ行かなくて済みましたしね。それとも……姉の所へ行きますか?子供が一人ぼっちになってしまいますよ」
「うっ……」
「サリジュは自分から来たんですよ。貴方を助けるために。
それに……もう僕の子種を受け入れましたし。ふっ。
そうだなぁ、2人くらい産んでもらうつもりです。もちろん、僕と妻の子供としてね。
だから、子供が2人産まれたら……でも、それでも貴方が良ければの話ですけどね。
それじゃ、サリジュが待ってるから行きます。
あぁ、心配しないで。僕、結構サリジュを、気に入ってます。大事にしますよ。じゃあ」
「………なんてことだ!サリジュ。サリジュ。ごめん、サリジュ」
「サリジュ君、今日君の旦那が僕に会いに来たよ。追い返したけど、良かったんだよね?」
「えぇ、それで良いのです。グルマス様、我が家を助けてくださりありがとうございます。」
ふら~っ
「サリジュ君!!」
あれから僕は、両親とはうまくいっていない。
あんなにも両親が、大事だったのに、サリジュを失って何もかもおかしくなってしまった。
もうじき3年になる
サチが侯爵家の知り合いから聞いたてきた。サリジュは子供を産んだらしい。
グルマス様と奥様が大事そうに男の子を抱いて子供用品を見ていたと言う話だ。
だが、サリジュを見た人はいない。
グルマス様は子供を2人と言っていたか?
2人産むまで帰してくれないのだろうか………「サリジュ」うっうっ。
シランは15歳になった。王都の貴族学園に入ることになった。
サリジュが助けてくれたお陰で子爵家として貴族としていられている。
サリジュ、君は今どうしてる?
シランには、嘘偽り無く話して、あるよ。決して母が僕達を捨てて出ていったなんて思わないように。
シランは母っ子だったから、優しい母のことを忘れていないよ。
そして、家族のために犠牲になったことも決して忘れないと言っている。
「兄上?」
「サトスか、見つかったか……」
「いつ此方へ?」
「いや、着いたばかりなんだよ。
着いたばかりなのに見つかってしまったな」
「帰り、必ず邸へ寄ってくださいよ」
「あぁ、だがマリエが体調が悪くてね。今日は父さんの誕生日だったから慌てて馬で来たのだ。直ぐにまた帰るつもりなんだ」
「義姉上は……」
「ははっ、3人目がね。今辛そうなんだ」
「そうですか、じゃあ急いで帰らなくちゃ」
「そうするよ」
「父を側においてくれて良かった。サトス、感謝する」
「やっと会えたのですから」
「そうだな。まさか、僕に弟がいるとは、母さんは内緒にするのが家族を守る為だと思ったんだろうな」
「父さんとシラン兄さんと離れて直に僕がお腹にいることがわかったから、仕方なかったんでしょうね。
その後、あの方達の望んだ希望を叶えなければいけなかったし」
「そうだな。無理をして侯爵様の子種を受け入れて、無事に嫡男を産んで……転がるように身体が悪くなり、父さんと離れて生きる事を諦めてしまった。きっと父さん以外の子供を産んだ事が、母さんにとっては……」
「僕はグルマス様には良くしてもらいました。嫡男と一緒に学ばせてもらえたから、今があります。グルマス様は優しい方でしたね。あの身持ちの悪いグルマス様の姉から父さんを守ってくれたのですから。」
子供も産まれているのに何年経っても帰って来ない妻を心配してルーイが侯爵(グルマス)様を訪ねて………
「そうだな。侯爵様に騙されて家が傾きかけたなんて祖父の嘘で、あの未亡人に騙されたのも祖父で、父さんを未亡人へ差し出すことを結託したのも祖父だなんて。後から真実を聞いて父さんの嘆きは酷かった。」
侯爵様に会いに行かなければ真実が知れなかったし」
侯爵様は奥様を愛していて、妻を裏切って母と閨をするのは辛いと話した。母さんに、器具で子種を入れるから子供を産んで欲しいと頼んだそうだ。その提案であったから母さんも受け入れられたんだろう
「母さんには帰ってきて欲しかったよ。そしたらサトスと兄弟として過ごせたのに。今更だがな
じゃあ、僕は行くよ」
「あぁ、じゃあね」
サトスは兄を見送り、振り返った
「父さん、誕生日おめでとう。
母さんとお祝いしてる?」
持ってきた花を、兄が置いた花の隣に置いて手を合わせた
「じゃ、また来るよ」
その石には、こう打ってある
サリジュ 35歳 ここに眠る
ルーイ 70歳 ここに眠る
ルーイはまさかサリジュがそんな早く儚くなっていたとは知らなかった。
ルーイの元から離れた時、サトスがお腹にいることがわかり、グルマス様に産むまで待って欲しいと頼み、それを了解したグルマス様。
サトスを出産から1年待って、グルマスの子種を受け入れた。
グルマスの嫡男を産んだ時、出血過多のため予断を許さない状態が続いた。グルマス夫婦に献身的に世話になったが、ルーイと離れたことで気持ちに負けてしまい、病気に勝てなかった。
何度もルーイに連絡すると言ったが、サリジュが嫌がった。
あまりにも危ない状態が続いていたので、サリジュの言うことを聞くしかなかった。
サリジュが儚くなった後、サトスはグルマス家の使用人として面倒見てもらっていた。
サリジュに産んでもらった嫡男とサトスはいつも一緒にいた。学ばせてもらったお陰で学園にを入学でき、優秀な成績で卒業できた。後、学園で知り合った令嬢と婚姻した。
後悔するだろうとグルマス夫婦で話し合って、ルーイに真実を話した。。
サリジュのたっての希望でグルマスの子供を産んだ後連絡を入れられなかったが、ずっとサトスを父のルーイに会わせてやりたかった。
ルーイは、サリジュにそっくりなサトスに会って号泣した。
ルーイがだいぶ身体が弱ってきていることもあり、サリジュの側が良いだろうと、サトスの住む屋敷へ移る。
ルーイは儚くなったサリジュの眠る場所に毎日のように行っては泣きながらサリジュの墓石を抱き締めていた。
ある時、帰りの遅い父をサトスが探しにいき、倒れている父を母の墓で見つけた。
父、ルーイは幸せそうな顔で眠っていたらしい。
END
……………………………………
読みにくい文、誤字脱字ありましたら、申し訳ないです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
51
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
貴方が私を嫌う理由
柴田はつみ
恋愛
リリー――本名リリアーヌは、夫であるカイル侯爵から公然と冷遇されていた。
その関係はすでに修復不能なほどに歪み、夫婦としての実態は完全に失われている。
カイルは、彼女の類まれな美貌と、完璧すぎる立ち居振る舞いを「傲慢さの表れ」と決めつけ、意図的に距離を取った。リリーが何を語ろうとも、その声が届くことはない。
――けれど、リリーの心が向いているのは、夫ではなかった。
幼馴染であり、次期公爵であるクリス。
二人は人目を忍び、密やかな逢瀬を重ねてきた。その愛情に、疑いの余地はなかった。少なくとも、リリーはそう信じていた。
長年にわたり、リリーはカイル侯爵家が抱える深刻な財政難を、誰にも気づかれぬよう支え続けていた。
実家の財力を水面下で用い、侯爵家の体裁と存続を守る――それはすべて、未来のクリスを守るためだった。
もし自分が、破綻した結婚を理由に離縁や醜聞を残せば。
クリスが公爵位を継ぐその時、彼の足を引く「過去」になってしまう。
だからリリーは、耐えた。
未亡人という立場に甘んじる未来すら覚悟しながら、沈黙を選んだ。
しかし、その献身は――最も愛する相手に、歪んだ形で届いてしまう。
クリスは、彼女の行動を別の意味で受け取っていた。
リリーが社交の場でカイルと並び、毅然とした態度を崩さぬ姿を見て、彼は思ってしまったのだ。
――それは、形式的な夫婦関係を「完璧に保つ」ための努力。
――愛する夫を守るための、健気な妻の姿なのだと。
真実を知らぬまま、クリスの胸に芽生えたのは、理解ではなく――諦めだった。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
あなた方の愛が「真実の愛」だと、証明してください
こじまき
恋愛
【全3話】公爵令嬢ツェツィーリアは、婚約者である公爵令息レオポルドから「真実の愛を見つけたから婚約破棄してほしい」と言われてしまう。「そう言われては、私は身を引くしかありませんわね。ただし最低限の礼儀として、あなた方の愛が本当に真実の愛だと証明していただけますか?」
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
後悔などありません。あなたのことは愛していないので。
あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」
婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。
理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。
証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。
初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。
だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。
静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。
「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」
悪女の私を愛さないと言ったのはあなたでしょう?今さら口説かれても困るので、さっさと離縁して頂けますか?
輝く魔法
恋愛
システィーナ・エヴァンスは王太子のキース・ジルベルトの婚約者として日々王妃教育に勤しみ努力していた。だがある日、妹のリリーナに嵌められ身に覚えの無い罪で婚約破棄を申し込まれる。だが、あまりにも無能な王太子のおかげで(?)冤罪は晴れ、正式に婚約も破棄される。そんな時隣国の皇太子、ユージン・ステライトから縁談が申し込まれる。もしかしたら彼に愛されるかもしれないー。そんな淡い期待を抱いて嫁いだが、ユージンもシスティーナの悪い噂を信じているようでー?
「今さら口説かれても困るんですけど…。」
後半はがっつり口説いてくる皇太子ですが結ばれません⭐︎でも一応恋愛要素はあります!ざまぁメインのラブコメって感じかなぁ。そういうのはちょっと…とか嫌だなって人はブラウザバックをお願いします(o^^o)更新も遅めかもなので続きが気になるって方は気長に待っててください。なお、これが初作品ですエヘヘ(о´∀`о)
優しい感想待ってます♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる