次男坊と言っても末っ子です。

もちた企画

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第4話 魔法の発動

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ホルン様?を乗せた馬車が見えなくなってしばらくするとハルは「先に謝れば罪は軽い」と何か深い事を言って一緒に騎士駐屯所へ向かうことになった。

騎士と言っても警備の人って感じで軽装だ。
帯剣はしてるけどね。
あとハルのおじさんは水の魔法を使うからってのが理由らしい。剣はとにかく胸当ての装備も水で濡れれば錆びるから「手入れがめんどくさい」ってボヤいてたっけ。

昼前に着いたボクらはちょうどタイミングよく交代で入れ替わるハルのおじさんを見つけて声をかける。

「とうちゃーん」

「ぉ なんだなんだ??」

「先に謝る!ごめんなさいっ」

「よし、いいぞ」

何も聞かず許すおじさんは素直にすごいと思った。

「大丈夫なんですか?毎回ですけど」

アサンはドン引きだ。

「ん?誰か傷つけたのか??」

「いいや」

「じゃあ物を壊したのか?」

「いいや?」

「それならいいさ、問題ない」

割り切ってるなー。
ハルの頭をガシガシ撫でてハルはご機嫌に戻った。

「みんなは飯食べたか?」

「これからだけど一旦解散だな、うちは母さんがもう作ってくれてるだろうし」

「そうか、じゃあアサンはどうする?」

ハルは一緒に行こうぜと誘うがアサンも断っていた。

「ハルに着いてきたけど家でまだやることがあるからボクも帰るよ」

「んじゃまた明日かな??」

「ほい、2人ともこれ持ってけ」

りんごを渡された。
騎士様最高!

「行商人が売れ残りで帰る頃には腐ってしまうってんで格安で買っといた」

「「 ありがとうございます 」」

「じゃあね、ハル!」

「またね、ハル。水魔法使えたら教えてね~」

「はっ!」アサンが魔法のこと言った瞬間に夢の出来事を思い出した。

帰りにやってみよう。

「2人ともまたな~」

ボクとアサンも家路に急ぐ。

「なんかホルン様がいっぱい買ってたの見たでしょ?あれの補充分をお願いした書類を送らなきゃいけないのを忘れててさ~帰ったら送らないと~」

まだ子供なのに仕事を手伝えるなんてすごいと感心していた。ボクの父さんは大工だから手伝うというかその場にいちゃダメってよく言われるんだよね。危ない道具が多いからなんとか??

カナヅチ持って走り回ってたらゲンコツが来たもんな。

「じゃあゼラここで~」

「あい~また明日ね~」

アサンと同じ口調で別れる。
少し先に昨日も来ていた空き地へ足を運ぶ。
そしてほぼ忘れてる夢を思い出し、ポケットにりんごを入れて大地に手をかざす。

「たしかこう…」

畑っぽいのを作った気がするんだよな。



しーーん。

「いや、こうだっけ??」

想像を現実に。だっけ?

「ここからここまで」

指で土をなぞる。
四角い枠を作ってこの範囲を畑の土みたく畝を作りたい。

「あぁ!そうだ、このりんごを~」

しゃりしゃりとりんごを食べ切って残った芯を土に埋めて成長させたい!大地に両手を当てて願う。

するとムッムッと土が動いて波打つ。

畑の土ではないが枠の外より内側はかなり柔らかい土になっていた。

「おお!?」

驚いた。
驚いたんだ!まさに驚愕……。

「いや、地味ぃぃぃ!!!」

魔法名もないし、耕作魔法とてでも名付けようか…。
農家の人はこうやってるのかな??

わからない、わからないが一応りんごはここに捨て?埋めておこう!もうちょい広く?もしりんごが出来たら大きくなってほしいからもう少し畑の土に変えよう。
今度は指でなぞらないで足の歩数で枠を書いてみる。

真っ直ぐ5歩、そして左に5歩これを繰り返して大きな四角を作ってみる。
最初は両手をついてたのに今は思うだけで見た範囲を畑の土のように柔らかく出来た。本当に思うがまま。

ちょっと楽しくなっていつも遊んでいる範囲を全て畝を作ってみた。立派な畑だ。
水がないからりんごも育たないんだろうけど。はじめに気がつけばよかったんだが夢中になりすぎた。反省反省。

ちょっと残念に思い耽っていると少し先に池がある事を思い出してそこに向かってみる。

準備一切無しで池を見つけると喜んでみたのだがどうやって水をあそこまで持っていくかを考えてなかった。

じゃあ池の近くならどうだろうか?
空き地に戻ってりんごの芯を引っ張り出して池の近くへ同じように<ゼラ5歩畑>を完成させてみた。
池の影響で乾いていない土なのでまさに畑に適した土だろう。

「ここで大きくなれよ~」

一仕事?二仕事?終えて家に帰ろうとしたら空き地の土が畑のままだったことに気がついて元の土に戻るよう想像して地ならしをした。来た時と同じような?空き地に戻ったので良しとする。りんごが出来たらいいなぁと足取りは軽い。
そのまま家に帰って「お腹すいた~」と言ったらりんごが出てきた。近所の人からりんごもらったんですって…。

まさかそれ!騎士産ですか?とは言えない。

ちゃんと頂きましたよ。なんでかって?一旦戻った父さんがボクの分も平らげたそうなのでね。
いやいいんだ。ボクらの大黒柱だもん。文句はない。

――小腹が空きつつ夕方。
そして母さんの手伝いで服を家に取り込んでいた時に父さんの同僚の大工さんが息を切らして走ってきてこう言ったんだ。

「すまない!事故で親父さんが」

「え?」

「主人がなんですか?!」

「両手を挟まれて怪我させちまった」

「えっ!今どこですか?」

「診療所で俺が案内しますんでどうぞ…」

「ゼラ、母さんちょっと行ってくるわね」

「はい!父さんをお願いします!」

自宅待機ですね。分かります。
さっきまでの作業を終わらせて父さんと母さんの着替えと寝る準備をしてと。夕飯前でお腹も空いたが台所には立つなと言われてるから腹を減らして待つより診療所へ向かうことにした。
こっから近いし、まだ夜じゃないから暗くないし。

1人だと恐いとかそんなんじゃないやい。

1人で言い訳をつらつら喋りながら診療所までやってきた。

「……すいません、ラクトいますか?」

こそこそっと入ってみると受付の人とばっちり目が合った。

「あ~息子さん?大工のラクトさんでいいかしら?」

「そうですそうです」

ぶんぶんと頭を縦に振る。

「こちらです」

受付の女性は立ち上がり部屋まで案内してくれた。
部屋の前でノックをして「ラクトさん面会です」とボクを扉の前に立たせた。

「はーい」と母さんが返事をして扉が開かれると両手というか上半身が包帯だらけのミイラがいた。

「あら!ゼラ~」

急に抱っこされるが抵抗できない自分が情けない。

「と、父さんはどう??」

「この通りさ、大丈夫両手は大丈夫じゃないけどな」

あのミイラがやはり父さんだった。
無駄にイケメンの顔が包帯だらけになっているのでウケる。

「すごい格好だね」

「だろ?イタタ…なんか治癒師が他の街に行ってて応急処置だけだそうだ。両手骨折であと上半身は火傷だ」

両手を上げようとして痛がる父さん、声だけ聞くと元気そうだが火傷ってひどいな。

「何か持ってくる物ある?家戻るよ」

「おぉ!助かるミネア、一緒に戻って着替えと飯頼みたい」

母さんは頷き一度一緒に帰ることにした。

「迷わなかった?」

「うん、場所知ってたからね」

「ゼラも大きくなったわね~」

手を繋ぎ歩く家路。
家について食事と着替えの支度を終えてボクの分のご飯ばっちりあるから「家にいるよ」と母さんを見送った。

骨折、火傷ねぇ。
足りない頭を捻っても治し方なんて分からないもんは分からない。
ボクは夕ご飯を腹いっぱい食べ終わるとそのまま寝てしまうのだった。





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