次男坊と言っても末っ子です。

もちた企画

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第15話 冒険者認定試験

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「ぇ?」

扉に人がたくさん!
ボクらは冒険者ギルド前に来たけど人多すぎない?!
これじゃ入れないじゃん。

「ゼラ~」

おぉ!アサンは早いなって後ろにハルもいるな。

「2人ともおはよう」

「おはよ~」

「はぁ、おはよ…」

ハルが元気ないけどどうしたんだろ?

「なんだよ、別にいいだろ」

不貞腐れてそっぽ向いたハルを指差してアサンが笑う。

「ボス見たかったんだってさ~」

「ダンジョンに入るんだからまた出るんじゃない?」

投げやりに伝えると「そうか、確かに」と頷き一呼吸。

「んじゃ行くか!」

いやいやなんかごった返してるよ??

「ゼラはギルドマスターに用事なんだろ?」

「え?!違うよ?冒険者登録してダンジョン行くだけ」

「そうなの?登録に来たら声かけろって言ってなかった?」

「いや、言ってないと思うよ?」

「……言ったが聞こえてなかったようだな、ゼラ」

急に頭を掴まれて振り返るとギルドマスターのおっさんがいた。

「アサンとハロルドはさっき話したが今は依頼の取り合いでな。ちょっと賑わっている」

おっさんは行かなくていいのかと目を細めてみたが気にしてないようだ。

「じゃあ続きやろうぜ?ゼラ」

「…え??また?」

冒険者登録に相手の力量を測るってほんとにやるんだ??

「ただ単に負けず嫌いなだけです」

昨日の補助役の人が剣を持ってボクの隣に立つ。

「じゃあボクの負けで」

「なにぃ?」

尻餅をついて息を吸い込む。

「ぐぁ、さすがギルドマスター最強!」

ワザと大きい声で言うと扉の前にいた人たちが一斉に振り向く。
ニコッと笑ったギルドマスターはむんずとボクを持ち上げて連れ去られる。

昨日の訓練場へとやってきたボクたちはハルからギルドマスターよりダンジョン許可じゃなくて冒険者試験を開始することになった。
ギルドマスターに一撃を入れたらDランクという破格?な企画らしく見物人が増えていく。
冒険者登録をするってことだけを聞いてきたハルは「???」だったが気負いせずぶつかってこいと伝えて背中を押す。最後に伝えた「結構簡単だったよ」は聞こえていたらしく「ほぉ…」とドスの効いた声が聞こえてきたが笑顔で手を振っておいたからセーフだ。…セーフだよね?

「よし、まずはハロルドだな。お前はあのオットーの息子なんだろ?」

「え?父ちゃん知ってるの?」

「知ってるも何も飲み仲間だ。聞いてるぜ?親父を超えるんだろ??」

「もちろん」

ニィと笑うハルは剣を構える。

「だったら俺にも負けてられないぞ?本気で向かってきな」

「当たっても文句なしな!」

「こっちのセリフだ、小僧」

真っ直ぐ突っ込むハルは簡単に避けられて頭を木剣で小突かれる。
そのまま盛大に転んですぐに起き上がる。

「反応はよし」

「今蹴ろうとしただろ、大人気ない」

「ちゃんと躱せたじゃないか」

「うっせ」

頭を手で押さえながら立ち上がる。

「ハル、魔法使っちゃえ」

「おうよ」

「あ?親父と一緒の水か?俺と相性悪いからやめとけやめとけ」

「ウォーター!」

ぺちゃっ

「……」

足元を濡らす水はギルドマスターのおっさんが魔法で出した風によって乾いていく。

「……」

「うまくいかねぇ!」

「ハロルドはFだな」

「はい」

補助の人は木のプレートを持ってハルへ渡していた。

「ちょ、Fって1番下じゃん!」

「…がんばれ!」

「えぇぇ…」

「次はアサンだな」

「アサンは魔法か?」

「はい、ボクはゼラからもらったこの精霊で戦います」

小さな杖を持って前に出るアサンと精霊。

「アサン、精霊に名前ってつけた?」

「え?つけてないよ、つけれるの??」

おや?知らない?

「つけてあげなよ」

「わかった、考えとく」

光る球体に向かって何がいいかなぁと話しかけていた。

「アサンから先手くれてやるよ。ほら、来い!」

「いきます!!」

ボワっ

精霊の光が強くなるとアサンの周りに火の粉が舞う。
アサンの周りがポツポツと赤い光が点滅して熱を帯びてくる。
さすが火属性!かっこいい!!

ボクは1人ではしゃぎ、ハルは隣で木のプレートを持って凹んでいた。

火の粉は降り続けておっさんの周りをゆらゆらと舞って服を焦がそうとしている。

「なるほど、範囲魔法か?だがまぁ、時間かけすぎだぜ?」

「おらよ!」

風がおっさんの周囲を包んで火の粉が上に舞い上がってかき消してしまった。

「最初はくれてやるって言ってんだからさ、ファイヤーランスとかアローとか直接攻撃したほうが無難だぜ?ほら、息も上がっちまってる」

「ハァ、ハァ」

「アサンはEだな」

「はい」

木のプレートの縁を銀色が光っている。
受け取ったアサンはお辞儀をして戻ってくる。
息が上がっていたけど大丈夫かな?

「アサン、大丈夫?」

「平気、平気、精霊さんが制御に回ってくれたから暴走はしなかったよ」

「そっか、いい名前つけてあげなよ?」

「もちろん!」

へちゃっと座り込んで空を見上げて深呼吸しているアサンはやり切った表情で爽やかだった。
その隣には鉄のプレートを羨ましそうに見るハルはいるんだけどね。

「じゃあ、ゼラ!次だ」

「は~い」

すたすたと歩いてギルドマスターの前にくる。
補助の人が近づいてきて昨日と同じ剣を渡していた。

「え?木剣じゃないの?」

「お前には不要だろ?」

「いやいや、ランクだけ分かればいいんじゃない?!」

「まぁ、そうなんだがなぁ」

歯切れ悪ぅ。

「でもまぁ、いいんじゃねぇか?ほら、こいよ」

「とりゃぁぁ」

土で作った棒を手にギルドマスターに挑む男児6歳。
もちろん、ハルの剣術どおりにはいかない。

真っ直ぐ上から振り下ろす棒をギルドマスターは避けようともしないで真っ直ぐみてくる。

「魔法があんのになんでソレなんだよ??」

疑問が聞こえるがボクは真っ直ぐ振り下ろす!
頭を直撃!ってところで剣が棒に向かって動いた……今だ!!

ゴゥン!!

目線も棒に行ったのを見逃さなかったボクは地面から少し硬くした土でできた拳を突き上げてギルドマスターの顎にクリーンヒットさせた!!

「が、が、ぁ」

何も言えず倒れるギルドマスター。
よし、計画通り。
実は、訓練場に着いた時から魔力を流していつでも操作できるようにしといたんだよね。
前と同じ結果になったけどいっか。

「あ!!」

振り返って驚くボク。

「ランクは??」

補助の人がギルドマスターを起こす。
「てめぇ!」と睨んでくる。こっわぁ。

「ランクを知るための試験なのに」とか補助の人は首を横に振っている。

「ゼラ、不意打ちは無しだ!やるんだったら俺もそうする。避けてみろ!」

風が強く鳴き出した。
空は曇り空になって雨雲が近づく。

「そうか、そうすりゃ良かったんだ。おい!ゼラ、俺の攻撃を受けれたらBをくれてやるがどうする?」

「ボク、Fで大丈夫です。ぁコラ!ハル」

「はっはっは、俺に鼻血出させてよく言うぜ」

ギルドマスターは止まらない、補助の人も困った顔をしている。
風がどんどん強くなってギルドマスターの近くで竜巻になる。た、立ってるのが精一杯なのにギルドマスターは髪や服しか靡いていない。あれが魔法なんだ。すごいなぁ。

「こいつを止めて見せろよ?被害がちぃっとデカくなっちまうからなぁぁ!!」

周りを吹き飛ばしながらこっちにくる竜巻、さっきまで凹んでいたハルは猪1番に立ち上がり遠くへアサンの腕を引っ張り逃げていた。おのれ。

「これをどうにかしたらFでいい?」

「好きにしろよ。ほら降参するなら今だぞ??」

「わかりました」

ペコっとお辞儀をして竜巻と対峙する。
まぁ、すごいけど全然怖くないんだよね。なんでだろう?

「よいしょ」

ドォぉぉぉん!

冒険者ギルドと同じくらいの大きさの土棘を立ち巻きの下から出現させた。
大きな音と共に竜巻は消えて、オベリスクだけが残る。

「こ、これは」

「竜巻のど真ん中に柱を入れたから竜巻は無くなっちゃった」

するすると大地へ帰っていく土の棘。
天候はそのまま曇りだけどギルドマスターは固まっていた。

「じゃあFってことで」




「「 そんなわけあるかぁぁぁぁ 」」




訓練場から離れて見ていた人は呆然とこちらを見ているしかなかった。





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