俺は絶対に男になんてときめかない!~ときめいたら女体化する体質なんてきいてない!~

立花リリオ

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64「俺がする3」※

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「……っ、はあ……はっ……♡」

じんじん痺れる舌で口内に溜まった唾液をごくりと嚥下する。
そうだ、えっと…。
飲まないと。

なんだっけ、…何を。

「…ん、……は、やば……すぐ、出るかも…ッ」

俺の肩口にすりと甘えるように顔を寄せながら息を弾ませて三ツ矢が呟いた。
小さく痙攣しているのが直に伝わって来て、本当にもう出てしまうんだとぼんやりと考える。

出る…。
そう、そうだ…これ。

「ま、待って…」
「…っ…え…?…う、うん…」

肩をそっと押して声を掛けると、三ツ矢が戸惑いながら身体を起こした。
俺も一緒に起き上がりそのままのしかかるように三ツ矢の手が添えられたままビクビク震えて我慢しているそれへ顔を寄せた。

「…っ、…え…えっ…?…り、律、ちゃん…ッ?……わ、ちょ、ちょっと…ま、…ッ♡」
「……ん、……」

ちゅっと先っぽを吸ってみる。
途端に、びゅるっと噴き出した白濁の液が顔に掛かってしまった。

「…ッ…うッ……あ、あ…ッ♡…はあッ…………ご、ごめ…ッ…でちゃった……、くそ、…ダサすぎる……」

息を荒げながら三ツ矢が謝るが熱い飛沫を浴びて俺も一瞬動きが止まってしまった。

「って、いやいや、顔、かかっちゃってる…ッごめん…すぐ拭くから、えっと、ティッシュ…」

恥ずかしそうに零した三ツ矢を後目に、顔に掛かったそれを指先ですくって舐める。
ほとんど無意識にそうしていた。

「…ん…♡……♡…………んんっ……♡…」
「わあー!律ちゃんなに舐めてるの…ッだめだって…」

三ツ矢が焦ったように制止するが、構わずかかったものを指先に絡めて舐めとる。
手が止まらなかった。
絶対おいしい訳ないのに。
なんで俺平気なんだろう。
ずっと満たされなかった下腹部がじわりと温まって少しだけ和らいだ気がした。

「…あー…もー…俺、こんな事しに来た訳じゃないんだけど……ほんとなにしてんだ…、目とか、入ってないよね…?ごめんね…」

ティッシュが見つからなかったのか自分の袖を伸ばして顔を拭ってくるがもうほとんど俺は顔周りについていた精液を飲み込んでしまっていた。
顔を拭われているとすうっと冷静になってきて、今しがた俺がしたことが一気に蘇って顔から火が出そうなくらいの恥ずかしさが込み上げてくる。
目を合わせないようにふらりと立ち上がり「顔洗ってくる…」と声を掛けて洗面台に逃げ込んだ。




たっぷり時間を掛けて、顔を清めてから戻ると座って待っていた三ツ矢がソファから立ち上がって俺の顔を覗き込んできた。
気まずいのは三ツ矢も同じようでどこか緊張したような様子で動きがぎこちない。

「…えっと…その、身体は大丈夫…?…」
「うん…そっちこそ、平気?」
「お、俺は全然、大丈夫だよー………うん、…ほんとぜんぜん…」

「…」

落ち着いた状態でこんな話するのは少しだけ、…いやかなり気まずいけどちゃんとしとかないとと思い視線を逸らしながら小さく呟いた。

「…ごめん……。こんなことに巻き込んじゃって…体質の事…ちょっとだけ説明させて」

自分の知り得る中で、三ツ矢に話せそうな事を伝える。
といっても女体化するという体質に加え戻し方ももう知られちゃったからほとんど話せることってないんだけど。

「…つまり、定期的に接触が必要なんだね、そのために協力してくれる人がいるって事か…」
「う、うん…」
「俺もさ、その精気摂取に協力できるよ?…律ちゃんが、嫌じゃなければ…だけど…」
「えっ!?ななんで?三ツ矢が?」
「そ、そりゃあさ、俺達、…トモダチだし?…信じられないならもう一回、してみる?」
「…えっ…」
「……ほら、さっきだってできたし、…いや、違う…そうじゃなくて…」

へらりとした笑顔で取り繕っていた三ツ矢が途中で言葉を区切って眉毛を下げて息を吐くと、ちらりと心細げに視線を絡めてくる。

「俺が協力したいんだ……」

じわじわと三ツ矢のほっぺが赤くなっているのを眺めながら頷いていいものなのかと考える。
期待を込められた瞳で見つめられると無下にできないから困ったものだ。
どうやってもこの空気を打破できそうもない。
二人して座ったソファでじっと見詰められて動けないまま握り締めていた拳を隣から伸びてきた大きな掌が包み込んだ。

「…っ……?」

ただそれだけの事なのに、心臓が跳ねたみたいにドキドキしてしまった。
指先が強張った俺の手の甲を大切そうに撫でるので心臓が痛いくらいバクバクしてくる。

張り詰めた空気の中で言葉を発しようと口を動かした瞬間、突然ノックの音が室内に響いた。
思わず身体を跳ねさせて扉の方に視線を向ける。


「律…三ツ矢来てないか?」

「あ…壮馬くんだ、どうしよう?出た方がいいのかな?」
「え、えっと…」

俺達がわたわたと会話している間に室内の異変に気付いたのか、間髪入れずガチャリとドアノブが回される。

「…入るぞ」

あ、鍵、そうだ掛けてなかった、かも…。
すっかり忘れていたが三ツ矢を引き入れた時に締めるのをすっかり忘れていた。
入って来た壮馬が俺達を目に留めて唖然と目を開いて数秒、ゆっくりとこちらへ歩いてくる。

「……なに、してんだ…三ツ矢」

お互い真っ赤な状態でソファに座って手を握り合っている俺たちを見た壮馬が言葉を発するのと同時ぐらいに駆け出し三ツ矢目掛けて拳をふるった。
ゴッと鈍い音がして三ツ矢がソファから崩れ落ちる。

「わ、わああー!!そ、壮馬っ!!なにして…やめ、やめてッ!」

慌てて二人の間に入って落ち着けようと壮馬の肩を掴むが依然三ツ矢をギロリと睨んだまま息を荒げていてぎゅっと握られた拳は言葉通り今にも振り上げてしまいそうだったので必死で腕にしがみついて止めようとする。

「おい…ッ律になにしやがったッ…言いようによってはもう一発だ…」
「…って……いてて……」
「壮馬待って…!話を…」
「やー…いいよ、律ちゃん…、大丈夫……ごめん、壮馬くん」

赤く腫れあがった頬が痛々しいのに、いきなり殴りかかられた三ツ矢は頬を擦りながら小さく謝った。
その様子に強張っていた壮馬の身体が少し緩んだので俺も止めに入っていた俺も緊張が緩んでしまってその場に座り込む。

「…律。説明しろ」


・・・・・・・・・・・・


「…という訳、なんだけど…」
「…、………なんで、よりによって三ツ矢なんだよ……」

壮馬が眉間を指で押さえて小さく息を吐くと、低く掠れた声を吐き出した。
また心配事が増えてしまった。
俺、また迷惑掛けちゃってる…。
肩を落とした俺の肩に手を伸ばし優しく撫でると三ツ矢が小さく微笑んだ。

「…まあ、そういう事だから…これからは俺も律ちゃんのこと、助けてあげられるね」
「ダメに決まってんだろ」
「えー、わかんないじゃん。決めるのは律ちゃんだし。ねー?」
「え、えっと…」
「律、ちゃんと嫌な事は嫌だと言え、三ツ矢はだめだ」
「え、えー…その」

二人に詰め寄られて困ってしまう。
どっちの肩を持っても事態は好転しないと肌で感じるので曖昧に濁そうとするが、二人の会話は止まることなく続いていて俺は口を噤んで聞き耳を立てるに留まった。

「…律ちゃんが言ってたよ。壮馬くんとキスするのは体質のためでそれ以外に他意はないって、体質を知ってる人なら戻るために協力できるんだよね。だったら、俺でもいいってことだよね」
「…、律は体質がバレたからしただけだ、……お前にだってそれ以上の感情なんか、ねえんだよッ…そこ忘れるなよ…」
「…わかってるよ……そんなこと……」

困ったように苦笑いした三ツ矢の視線が少し下がる。
憂いを帯びた表情が少しだけ気になったが、すぐに元のふにゃとした顔に戻って笑って呟いた。

「…でもそれでも…他の奴とこんなことしてるって知らないままでいるよかマシだよ…」
「…そーかよ」

フンと鼻を鳴らしてつまらなそうに吐き捨てた壮馬が今度はこちらを見る。
思わず肩がぎくりと揺れた。

「で、…律。飲んだのか」
「…え?……えっと…?」
「えっと、じゃない。わかってんだろ」
「……う、うん…で、でも…ちょっとだけだよ…?」

頷くしかなかった。
よくわからないいい訳を添えて。
俺の返答に青筋を浮かべて、そうかと小さく呟いた壮馬が突然立ち上がりズボンに手を掛けたのでぎょっと目を見開いて後ずさる。

「俺のも、飲め」
「えっええ!?」
「出したらその分飲むんだろ?三ツ矢の量じゃ足りないかもしれない。この後消灯になった時に異常があったら困るだろ」

もっともらしい事言ってるしわからない事もないけど。
俺の気持ちとしては否である。
さすがに、先ほどの精神的ダメージがでかすぎるからちょっとインターバルがほしい。
顔に思いっきり嫌と書いてあるのが気に入らないのか壮馬の顔がさらに険しくなった。
隣では初耳だと言わんばかりに目を開いた三ツ矢が立ち上がって声を荒げている。

「な、なにそれ!?えっ飲むって…さっき、律ちゃんがしてたあれ?…待って待って!俺まだできるから!飲まなきゃいけないなら俺のでもいいんじゃない?」
「お前はッ出てけ!」
「やだー!待ってよ、律ちゃん、ね?俺の、なんかうっとり舐めてたし…、俺、ほら、全然…、その…勃ってるし……♡」
「お前ッ!なんで勃ってるんだよッ!」

照れながら指差した股間をみて壮馬が思いっきり引き攣った顔をして怒鳴った。
俺もそれに関しては驚きを隠せずというか、なんでそんな状態になっているのか正直めちゃくちゃ引いてる。

「あの…俺、そもそも、したくないんだけど…」

そう呟いたが、俺を見つめる二人の目は据わっていてどう足掻いても引き下がってくれそうになかった。




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