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1章 1年春〜夏
僕のその後を話してみます
しおりを挟むタイトルだけ変更しました。
内容は変更してません。
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はあ、苦しい。
ヒートがこんなに辛くて苦しいなんて。
ナオくんのあの匂いを嗅いだら落ち着く気がするのに。
タラタラと前からも後ろからも蜜液がこぼれ落ちて気持ち悪い。
いくら自分のモノを扱いてもちっとも収まらない。自分の中をもっと大きいもので埋めたくて仕方なくなる。
初めてのヒートだとどの薬が合うか分からなくてあまり効かないらしい。
僕のヒート3日目に、ヒートが終わったリョウくんが様子を見に来てくれた。
「初めてなんだって?辛いだろ?」
「うん。どうしていいか分からないよ。」
「手伝ってやろうか?」
「手伝うって?」
「後の孔から前立腺を刺激すると少しマシになるから。」
「!!!」
ムリムリムリ!!!
ガバッと布団を被った。
「まあ拒否られるとは思ったけど。自分でやれるならそうした方が楽だぞ。」
それもムリです…。目だけ布団から出してムリアピール。
「いきなりは出来ないか。初回だし、時が過ぎるのを待つしかないな。」
頑張れよっと最後に声を掛けて部屋を出て行った。
その後も、ちょくちょく様子を見に来てくれていて、だいぶ調子が良くなって来た頃、気になっていた事を聞いてみた。
「最近、ナオくんに会った?」
「昨日会った。」
「何か僕のこと言ってた?」
「大丈夫かって聞いてきたから、病気じゃないから大丈夫って答えておいた。」
「そう。怒ったりはしてない?」
そう僕が言うとリョウくんは、不思議そうな顔をした。
「怒ってなんかいなかったぞ。どうしてそんなこと聞くんだ。」
「だって、わざわざ僕に会いに来てくれたのに、そこで初めてのヒート起こしちゃうなんて迷惑以外の何者でもないし、万が一ナオくんがラット起こして、意思に反して僕を抱かなきゃいけなかったりしたら可哀想なことになっただろ?」
「ハル…。直哉言ってたぞ、他のαじゃなくて、俺の前でヒート起こしてくれて良かったって。」
「ナオくんがそんなことを?」
「うん。直哉は自分を厳しいほど律するタイプだからハルは無事だったけど、お前とあわよくば、みたいなタイプのαだったら、ヤられてたぞ。」
そ、そうだよね…。
「だいたいなあ、ラット起こさせたら可哀想って言うけど、それでヤられたハルは可哀想じゃないのかよ。」
「それは、好きでもない人にそんなことされたら、すごく嫌だよ。でも原因は僕ってことになるし。」
「はあぁ。いつか悪いαに付け込まれそう。」
「なにそれ。」
僕はクスクス笑う。
「ハル、顔がまだ赤いから眠ってろ。またな。」
「うん、いつも来てくれてありがとう。」
とりあえず、ナオくんが怒ってなくて安心する。しかも、『俺の前で良かった。』とまで言ってくれたのだ。
ん??けど、僕大事なこと忘れてない?
ヒートのパニックですっかり忘れてた!!!!
僕、ナオくんに好きって言っちゃってる!!
ぎゃー!今度会う時、どんな顔して会えばいいの!?
****
僕のヒートが明けてやって来たのは、中間テスト。学園は2学期制なので、今は6月中旬だ。
「いきなりテストだなんて、そんなの無理だよう。」
教室で半泣きになる僕。
「ヒートだったんだから仕方ないですよ。追試を受ければ、落第なんてことありませんから。」
そう慰めてくれたのは、クラス委員長の古谷くんだった。
「そうそう!学園は俺らΩには甘いから、追試さえ受ければ、結果はどうであれ、落第しないって先輩言ってたぞ。」
「だからって、山岸君、全く勉強してないってことはないでしょうね。」
古谷くんがジロリと睨む。
「えーどうでしょうねー。あははは。」
山岸くんは、空笑いをしながら自席に戻って行った。
とにかく僕は一つでも追試を逃れるべく、全力で試験に臨む。
なのに!!
「リョウくーん!全科目追試になったあ。」
どの教科もほぼ満点のリョウくんに報告する。
「今回は仕方ない。ほら、追試の勉強見てやるから、図書館行こうぜ。」
「図書館…。」
ナオくんがいるかもしれない。
好きと伝えてから、まだ一度も会ってなかった。
「どうした?」
「あの、今日は僕の部屋で勉強しない?家から美味しいお菓子送られて来たから、リョウくんは、それ食べながら教えてよ。」
「お菓子は魅力的だけど、部屋だと狭いからヤダって言ってなかったか?」
そうなんだよね。部屋の机は当然一人用なので、二人以上で勉強するのには向いていない。
僕はそう言われて視線を泳がす。
すると、
「直哉に会うのが気まずいのか?」
とストレートに聞いてきた。
「…うん…。」
「直哉は、ハルがヒート起こしたことを何とも思ってないから安心しろ。」
リョウくんは、僕がナオくんに『告白』した事を知らないから、僕はヒートを目の前で起こした事を気に病んでいると思っている。
「でも…。」
「時間経てば経つほど、会いづらくなるし、ハルの性格からすると、ヒートのお前を運んでくれたことのお礼を言いたいんじゃないのか。」
リョウくんが言ったことの一字一句その通りだ。
「うん、やっぱり図書館行くよ。」
図書館に行ってもいないかもしれないし。
「お菓子を包んで持っていくから少し待ってて。」
お裾分けするお菓子を二人分ラッピングして、一つはリョウくんに渡し、もう一つはナオくん用に持って行く。
図書館で勉強をしていたが、ナオくんは来なかった。
「たまに、部活のない日もランニングとかしてるみたいだから、そっちにいるのかもな。テニス部の近くにランニングコースあるから行ってみるか?」
リョウくんが提案する。
「え?また迷惑かけないかな?」
「大丈夫だろ。俺もたまにそこでランニングしてるし。だいたい、学園の中で俺たちが立ち入ったらダメな場所ってほとんどないぞ。」
「うん…。」
とは言ったものの、図書館で偶然会うのと会いに行くのでは、全然緊張度合いが違う。
「ほら、行くぞ。」
リョウくんが僕を強引に連れ出した。
リョウくんの案内でテニス部近くのランニングコースに向かう。
当然だけど、中間テストが終わって学園の敷地内には、行き交う生徒があちらこちらに居る。
「ハルちゃーん!」
色んな生徒が声をかけてくるけど、リョウくんのおかげか、手を振ってくる程度なので、僕はニコリと微笑む程度に返して目的地に進む。
「ハルの人気ぶり侮ってたなあ。もう少し早く歩くぞ。」
「え?」
「ちんたら歩いてたら、どうでもいい奴に捕まりそう。」
「そう?」
「そうなの!」
そう言ってリョウくんは力強く僕の手を引っ張った。
ランニングコースに向かう途中にテニスコートがある。
テニスの球がラケットに当たる音がした。
「あれ?自主練でもしてるんか?」
リョウくんがテニスコートの中が見えるところに移動する。
すると、ナオくんが綺麗なサーブを決めているところだった。
かっこいい!!
テニスコートには、他に数人部員がいるようだった。夕凪先輩もいる…。
「リョウくん、練習中だし、またにしない?」
「この人数だしきっと自主練だろ。休憩時間に声掛けたらいいんじゃないか?」
「そうだけど…。」
僕が躊躇っていると、テニスコートの中のナオくんが打ち合いを終えて、ラケットをベンチに置き、ウィンドブレーカーを羽織ってコートを出る。
どこに行くんだろうと目で追っていると、ナオくんがこちらに向かって来た。
「春人、何か用か?」
「うん。」
テニスウェアのナオくん。
制服と違って、鍛えられた精悍な身体つきがはっきり分かる。
カッコ良すぎてまともに見れない。
「どうした?」
ナオくんは、僕の顔を覗き込む。
「直哉、俺もいるんだけど?」
「ああ、亮一も一緒か。良かった。」
「ひでーな。俺は目に入ってなかったのかよ。」
「許せ。」
全然許してもらえなくても良さそうな無表情でナオくんは、言う。
「はいはい、仕方ないな。」
リョウくんは、そんなナオくんに慣れているのか少しも気にしていなかった。
そんな時、
「ああーハルちゃんだあ!」
夕凪先輩が僕に気づく。その声で残りの部員も僕に気づいた。
「こっちおいでよー。」
みんなでラケットをブンブン振っている。
僕はペコリと頭を下げた。
「亮一、ちょっと待てるか?」
「ん?いいけど?」
「春人、俺に話あるんだろ?ちょっと先の庭園にベンチあるからそこ行こう。あと、これ着とけ。」
ナオくんは、そう言って着ていたウィンドブレーカーを僕に渡した。
言われた通り着てみるとブカブカで、袖から指の先も出ないけど。
そして、ウィンドブレーカーのフードを僕に被せた。
「じゃあ、ちょっと話してくるから、テニスでもして待って。俺のラケット使っていいから。」
「えー!αの中に置いてくの!?」
「亮一なら大丈夫だろ。」
「今日のナオくんひどいんですけど。」
「悪いな!ほら、春人行くよ。」
「うん。」
リョウくんには悪いけど、僕はナオくんと一緒に歩き出した。
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