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シチ
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「美都子。お前は本当に……」
呆れ声を出したのは、鷹雄ではなく正二だった。
「確かに1番は鷹雄さんが悪いってのは俺も分かっとる。だがな、俺がこの家のことを何も知らんと帰って来たと、本当に思っておるんか?」
正二の言葉に美都子は驚く。
「親父がした事、俺は全て知ってるんだよ」
正二は鷹雄を見て言う。
鷹雄は諦めて、正二がこれから話すことをもう止めるつもりはなかった。
「今だから言うよ。鷹雄さんに敵対意識を持っていた親父の子分が、どうしても俺を祭り上げたかったようで、美都子と鷹雄さんの結婚の経緯や、親父が摂子にしとった事を報告する輩がいてな」
戸灘が摂子にしていた事が、正二にもバレていたことに摂子は真っ青になり、鷹雄もそれまで知っていたのかと驚いた。
「親父が死んだ原因は、その男が裏切ったからなんだよ。きっと俺が当てにならん事がわかって、政龍組を潰したかったんだろ。もちろんそいつは鷹雄さんが片付けとる」
裏切り者が、敵対していた北沢組に戸灘の情報を流していたのだった。
「……嘘」
美都子は衝撃的な話に、信じられない気持ちで呟いた。
「まさか、オヤジが摂子にしとった事まで正二さんが知ってたとは。オヤジを裏切った奴のことは三木組長から聞いて知った。だから、俺はオヤジの遺言通りに正二さんをこの家に連れ戻したかったんだ」
権力争いで、再び無駄な血を流させたくなかった。
「摂子の事は、何も知らないと思ってたあんたに言えるわけないさ。親父がした恥を晒せるわけがない。摂子の為にも、俺の中で秘密にしておきたかった」
正二にしてみれば、父親がして来たことの摂子への贖罪でもあった。
全て正二が知ってたと知り、何も知らなかったのは自分だけだと美都子はショックを受ける。
結局自分は井の中の蛙で、その中でただ喚き散らして虚勢を張っていただけだと思い知った。
「だからって、私が鷹雄と離婚しなくちゃいけない理由はないわ。私は悪くない!私は何も悪くない!鷹雄が欲しかっただけ!」
美都子はキッと摂子を睨む。
「絶対にあんたに鷹雄を渡さない!離婚なんて絶対にしてやらない!それでも鷹雄を奪うなら、あんたを殺して私も死ぬわ」
美都子の凄まじい、鬼気迫る迫力に摂子は何も言い返せなかった。
「……帰るわ。兄さん。あんたともこれっきりよ。2度と兄だとは思わない」
ユラユラと立ち上がり、美都子は座敷を出て行った。
絶対に鷹雄を離さないと、ただその執念だけが美都子を支える気力となった。
呆れ声を出したのは、鷹雄ではなく正二だった。
「確かに1番は鷹雄さんが悪いってのは俺も分かっとる。だがな、俺がこの家のことを何も知らんと帰って来たと、本当に思っておるんか?」
正二の言葉に美都子は驚く。
「親父がした事、俺は全て知ってるんだよ」
正二は鷹雄を見て言う。
鷹雄は諦めて、正二がこれから話すことをもう止めるつもりはなかった。
「今だから言うよ。鷹雄さんに敵対意識を持っていた親父の子分が、どうしても俺を祭り上げたかったようで、美都子と鷹雄さんの結婚の経緯や、親父が摂子にしとった事を報告する輩がいてな」
戸灘が摂子にしていた事が、正二にもバレていたことに摂子は真っ青になり、鷹雄もそれまで知っていたのかと驚いた。
「親父が死んだ原因は、その男が裏切ったからなんだよ。きっと俺が当てにならん事がわかって、政龍組を潰したかったんだろ。もちろんそいつは鷹雄さんが片付けとる」
裏切り者が、敵対していた北沢組に戸灘の情報を流していたのだった。
「……嘘」
美都子は衝撃的な話に、信じられない気持ちで呟いた。
「まさか、オヤジが摂子にしとった事まで正二さんが知ってたとは。オヤジを裏切った奴のことは三木組長から聞いて知った。だから、俺はオヤジの遺言通りに正二さんをこの家に連れ戻したかったんだ」
権力争いで、再び無駄な血を流させたくなかった。
「摂子の事は、何も知らないと思ってたあんたに言えるわけないさ。親父がした恥を晒せるわけがない。摂子の為にも、俺の中で秘密にしておきたかった」
正二にしてみれば、父親がして来たことの摂子への贖罪でもあった。
全て正二が知ってたと知り、何も知らなかったのは自分だけだと美都子はショックを受ける。
結局自分は井の中の蛙で、その中でただ喚き散らして虚勢を張っていただけだと思い知った。
「だからって、私が鷹雄と離婚しなくちゃいけない理由はないわ。私は悪くない!私は何も悪くない!鷹雄が欲しかっただけ!」
美都子はキッと摂子を睨む。
「絶対にあんたに鷹雄を渡さない!離婚なんて絶対にしてやらない!それでも鷹雄を奪うなら、あんたを殺して私も死ぬわ」
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「……帰るわ。兄さん。あんたともこれっきりよ。2度と兄だとは思わない」
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