お前の唇に触れていたい

五嶋樒榴

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好き?

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礼央は橋元の告白を聞きながら、今まで橋元がキスしたいと言っていたのが、冗談ではなく本気だったことが分かった。
そして目の前のカッコいい男性に、自分も惹かれていることを否定できなかった。
「うっそだぁ」
礼央は俯いてそう呟いた。
「ん?」
橋元はキョトンとして礼央を見つめる。
「そんな、本当だったら、僕‥………美味しすぎ」
礼央の言っていることが橋元には理解できない。
自分がゲイだと告白したことで、礼央を混乱させたかな?と橋元は思った。
「俺がゲイだって言って、びっくりしすぎた?」
橋元が言うと礼央は首を振った。
「………違います。だって、僕は‥………僕も、ゲイだから」
礼央の告白に、今度は橋元が驚く番だった。
「僕がゲイだって、知ってて告白して来ました?」
礼央が真っ赤になって震える声で言うと橋元を見る。橋元はフッと笑った。
「知ってたら、イチイチまどろっこしいことしてないで、君が部屋に入ってすぐ襲ってた」
橋元が言うと、礼央はプッと笑った。
「ヤバい。僕、襲われちゃう」
礼央はそう言うと俯いた。
恥ずかしくて橋元が見れない。
橋元は、カウンターを回ってキッチンに入ると、礼央を背後から抱きしめた。
礼央はドキドキしながら、細い身体を橋元に抱きしめられて動けない。
包丁をまな板に置いた。
橋元は175cmの身長で、167cmの礼央をギュッと抱きしめた。
「襲っていい?」
「聞きます?」
「うん。同意がないのは犯罪でしょ?」
橋元の言葉に礼央は笑う。
「それって襲うって言います?」
「分かんない」
ドキドキしながら礼央は、橋元の腕の力に男を感じていた。
「夕飯、食べてからじゃダメですか?」
礼央は落ち着きたかった。
「呼び出されたらヤダもん」
橋元が子供の様に甘える。
そのギャップに礼央は萌えた。
「ダメ?」
橋元が尋ねながら礼央のジーパンのボタンを器用に外す。
「あッ!」
チャックを下される。
「先生ッ!」
橋元の右手が、礼央のトランクスの中に入る。
「あッ!やぁッ!」
礼央は恥ずかしくて動けなくなった。
「やぁッ!ダメッ!」
はぁはぁと呼吸を乱して、礼央が橋元の手を掴んだ。
「いやですッ!僕、まだ、聞いてないッ」
礼央の硬くなったモノを握りながら橋元は礼央の首筋に唇を当てた。
礼央の温かい熱が、橋元の唇に伝わる。
「聞いてないって、何を?」
首筋に唇を這わしながら橋元は尋ねる。
橋元の息がかかり、礼央はゾクゾクする。
「ああッ………んッ。だから、先生の、気持ち」
橋元はちゅーッと礼央の首筋を吸う。
礼央は震えながら橋元のする事に抵抗できない。
「好きだよ。だから、一昨日も君を誘った。あの時、君とまた会えて、次の繋がりが欲しかった」
礼央は橋元の気持ちを聞いた途端力が抜けていった。
掴んでいた橋元の手を離すと、橋元は礼央のモノを扱き始めた。
優しく橋元は礼央に刺激を与える。
「そう言う礼央君は?俺を好きなの?」
橋元は礼央が悶えているのを感じながら自分も興奮していた。
「分かんないッ!確かに……一昨日会って、橋元先生に対するイメージは変わったけど……だからって、好きか……………正直分かんない」
はぁはぁと甘い吐息を漏らしながら礼央は言う。
橋元は礼央の気持ちを聞きながら扱く手を止めた。
「………だよな。なんか、突然うちに来る事になったけど、別にこうなる事を期待してた訳じゃないもんね」
橋元は、手を礼央のトランクスから抜き出すと、ジーパンを元に戻した。
礼央は気まずい空気に心臓がドクドク言う。
素直に言っただけなのに、礼央は罪悪感を感じた。
「向こうで大人しく待ってるから、夕飯作って」
橋元はそう言うと、何もなかった様にスッとキッチンから出た。
礼央は頭の中がぐちゃぐちゃで、どうしていいか分からなくなった。
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