優しいあなたは罪な人

繋がる体と募る不安

9

「真知子。今日一緒に遊ぼうよ」

美奈子が真知子を誘った。

「うん！良いよ！岡崎、みんなでゲームする？」

真知子は岡崎を誘う。

「お！良いね！じゃあ公園に集合すっか。西川も来るだろ？」

「あ、うん」

運良く、真知子と仲の良い岡崎繋がりで、千秋は美奈子と仲良くなれた。

「俺も行くぞ！公園な！」

もちろん成田も仲良しグループだった。
それぞれは一旦家に帰ると公園に集合した。
男女仲が良く、数名のグループでよく遊ぶことが増えていた。

「あー！また西川に負けたー！強いよお前」

ゲームに夢中になる成田と千秋。
女子は女子で話が盛り上がっている。

「分かるー。女子よりも可愛いよねー」

「名前も可愛いし」

「なんの話？」

女子の中にゲームで負けた成田が入る。

「西川の話だよ」

女子の声に千秋は反応する。

「何？俺が何？」

岡崎と対戦しながら千秋は気になって尋ねる。

「西川って可愛いよねって話！名前も千秋って可愛いじゃん！」

女子の声に千秋はムッとする。

「うるせー！可愛くねーよ！」

真っ赤になって怒鳴る千秋。

「えー！可愛くて素敵な名前だよー。私、今日から千秋君で呼ぼうかな」

美奈子の言葉に、千秋はドキッとした。
同級生の女子に、下の名前で呼ばれたのは幼稚園以来だった。

「良いでしょ？千秋君！」

真っ赤になりながら、千秋は美奈子を見る。

「す、好きに呼べよ！」

千秋はずっと美奈子が好きだったが、この雰囲気を壊したくなくて、告白する勇気もなくて、何事もなく小学校時代は過ぎて行った。
まだ自分に自信のなかった千秋が消極的だったのも仕方なかった。