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繋がる体と募る不安
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裕介との関係が修復され、美奈子は千秋とLINを辞めようと考え始めた。
このまま繋がっていたら、また千秋に甘えてしまうと思った。
【おはよう。もう、LINやめようと思って】
通勤時間の決まった時間のLIN。
日曜日の朝送って一度も返事がなかったのは、そのせいかと千秋は納得した。
千秋は吊り革に掴まりながら美奈子からのLINを読んで、美奈子に自分が必要なくなったんだと理解した。
寂しいような、悔しいような複雑な気持ちになった。
【そっか。旦那さんに悪いって思うよね。分かった。LINもやめよう】
裕介に対して美奈子が後悔しているからLINをやめると言い出したんだと、千秋が勘違いをしていると美奈子は思った。
本音は、たった一度の関係だったが、美奈子の中に刻まれた千秋を忘れられなかった。
【それだけじゃないの。もしまた、千秋君に甘えるのが怖いの。お互いの家庭のために一度だけって約束したからそれは絶対破りたくない。でも、繋がっていたら、また甘えたくなるかもしれない】
美奈子の返事に千秋は切なくなる。
確かにこうして繋がり続ければ、約束を守る自信がなかった。
でも美奈子を失いたくない気持ちが湧き上がる。
【大丈夫だよ。心配しなくても、俺は二度と美奈子と会わない。美奈子が甘えても、もう会うことは絶対ないから。だから、あの日のことは無かった事にして友達としてLINできないかな】
自分は最低な男だと思いながら、美奈子が離れて行くのが怖かった。
美紅への後ろめたさがありながら、美奈子との会話を止めることが出来ない。
毎日の、美奈子を思う時間がなくなるのが怖かった。
美奈子も本当は千秋との繋がりを切りたく無かった。千秋が引き止めてくれて、内心は嬉しくてたまらない。
【本当に、私が甘えても突っぱねてくれる?私、千秋君に嫌われたくないから、会わないって突っぱねてくれれば我慢できるから】
美奈子はLINを送りながら、千秋が距離を保ってくれれば大丈夫だと思った。
もう二度と会えなくても、やっぱり千秋と繋がっていたい。
【ああ。でも突っぱねたら俺が美奈子に嫌われるかもな。でも友達としてなら嫌いになったりしない?】
こんな会話も楽しいと千秋は思ってしまった。
友達だと自分に言い聞かせて、都合の良いように関係を変えているだけなのを気がついていない。
【嫌ったりしない。千秋君のおかげで、私は夫婦として頑張れるって思ったんだもん。千秋君に会わなかったら、もっと自暴自棄な行動してたかもしれない】
自分たちの関係は、必要悪だったんだと美奈子は正当化しようとしていた。
身勝手なのはもう百も承知。
そして自分は千秋との繋がりを絶とうとしたが、千秋が友達だとお互い割り切れるなら良いと他力本願になっていた。
【ううん。美奈子の力になりたい。これからもずっと】
【ごめんね。LINやめようなんて言っておきながら、やっぱりやめられない】
美奈子の返事を読んで千秋はホッとした。
【大丈夫だよ。友達だろ】
【うん。ありがとう】
結局2人はLINを辞められなかった。
このまま繋がっていたら、また千秋に甘えてしまうと思った。
【おはよう。もう、LINやめようと思って】
通勤時間の決まった時間のLIN。
日曜日の朝送って一度も返事がなかったのは、そのせいかと千秋は納得した。
千秋は吊り革に掴まりながら美奈子からのLINを読んで、美奈子に自分が必要なくなったんだと理解した。
寂しいような、悔しいような複雑な気持ちになった。
【そっか。旦那さんに悪いって思うよね。分かった。LINもやめよう】
裕介に対して美奈子が後悔しているからLINをやめると言い出したんだと、千秋が勘違いをしていると美奈子は思った。
本音は、たった一度の関係だったが、美奈子の中に刻まれた千秋を忘れられなかった。
【それだけじゃないの。もしまた、千秋君に甘えるのが怖いの。お互いの家庭のために一度だけって約束したからそれは絶対破りたくない。でも、繋がっていたら、また甘えたくなるかもしれない】
美奈子の返事に千秋は切なくなる。
確かにこうして繋がり続ければ、約束を守る自信がなかった。
でも美奈子を失いたくない気持ちが湧き上がる。
【大丈夫だよ。心配しなくても、俺は二度と美奈子と会わない。美奈子が甘えても、もう会うことは絶対ないから。だから、あの日のことは無かった事にして友達としてLINできないかな】
自分は最低な男だと思いながら、美奈子が離れて行くのが怖かった。
美紅への後ろめたさがありながら、美奈子との会話を止めることが出来ない。
毎日の、美奈子を思う時間がなくなるのが怖かった。
美奈子も本当は千秋との繋がりを切りたく無かった。千秋が引き止めてくれて、内心は嬉しくてたまらない。
【本当に、私が甘えても突っぱねてくれる?私、千秋君に嫌われたくないから、会わないって突っぱねてくれれば我慢できるから】
美奈子はLINを送りながら、千秋が距離を保ってくれれば大丈夫だと思った。
もう二度と会えなくても、やっぱり千秋と繋がっていたい。
【ああ。でも突っぱねたら俺が美奈子に嫌われるかもな。でも友達としてなら嫌いになったりしない?】
こんな会話も楽しいと千秋は思ってしまった。
友達だと自分に言い聞かせて、都合の良いように関係を変えているだけなのを気がついていない。
【嫌ったりしない。千秋君のおかげで、私は夫婦として頑張れるって思ったんだもん。千秋君に会わなかったら、もっと自暴自棄な行動してたかもしれない】
自分たちの関係は、必要悪だったんだと美奈子は正当化しようとしていた。
身勝手なのはもう百も承知。
そして自分は千秋との繋がりを絶とうとしたが、千秋が友達だとお互い割り切れるなら良いと他力本願になっていた。
【ううん。美奈子の力になりたい。これからもずっと】
【ごめんね。LINやめようなんて言っておきながら、やっぱりやめられない】
美奈子の返事を読んで千秋はホッとした。
【大丈夫だよ。友達だろ】
【うん。ありがとう】
結局2人はLINを辞められなかった。
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