82 / 195
真実の扉が開き始めた
13
しおりを挟む
スマホでは連絡のつかない千秋に、美奈子は家の固定電話から電話をかけた。
だが、千秋は出ない。知らない番号だから無視されたのかと思い、美奈子は電話を切った。
もうこのまま本当に、千秋とは連絡を取り合えないんだと思い美奈子はどうしようと不安になる。
本当に自分のせいで千秋が別居したのなら、きちんと謝りたかった。
一方で、仕事中で出られなかった千秋は、取引先だと思い折り返し電話をかけた。
『はい』
美奈子の声に千秋は固まる。
「……電話して来たの美奈子だったのか」
スマホだと連絡がつかないから、固定電話から電話をして来たんだと千秋は分かった。
『ごめんなさい。真知子から聞いたの。千秋君が別居してるって』
岡崎から伝わったんだと、千秋は愚痴ってしまった事を後悔した。
『あの夜の電話のせいだよね?私のせいで、奥さんに私たちのことバレたの?』
「……美奈子だけのせいじゃない。俺だって、自分の意思で妻を裏切ったんだから」
何度でも回避はできた。
それをしなかったのは自分だと千秋は思った。
『ごめんなさい。本当にごめんなさい!奥さんとなんとか元に戻れないの?』
「それは美奈子には関係ないから。頼むからもう連絡してこないで欲しい。美奈子は旦那さんと幸せになって」
もうそれしか言えない。
夫婦仲がこじれれば、美奈子だって不幸になる。
『そんなの無理だよ。私だけ、無理だよ』
美奈子は涙がポロポロと溢れてくる。
「無理じゃない。俺たちは何もなかった。ただ友達だ。だから、もう二度と関わり合うのはやめよう。俺を思ってくれるなら、もう俺のことも一切忘れて」
美奈子のヒックヒックと言う泣き声に千秋は胸が痛む。
結局、美紅も美奈子も泣かせてしまった。
「美奈子は大丈夫だよ。俺も、もうこの先は、妻のことだけ考えたい。さよなら」
千秋は言い終えると一方的に電話を切った。
もう、全てを終わりにしたかった。
美紅が許してくれるのを、ただひたすら待つしかないのだから。
だが、千秋は出ない。知らない番号だから無視されたのかと思い、美奈子は電話を切った。
もうこのまま本当に、千秋とは連絡を取り合えないんだと思い美奈子はどうしようと不安になる。
本当に自分のせいで千秋が別居したのなら、きちんと謝りたかった。
一方で、仕事中で出られなかった千秋は、取引先だと思い折り返し電話をかけた。
『はい』
美奈子の声に千秋は固まる。
「……電話して来たの美奈子だったのか」
スマホだと連絡がつかないから、固定電話から電話をして来たんだと千秋は分かった。
『ごめんなさい。真知子から聞いたの。千秋君が別居してるって』
岡崎から伝わったんだと、千秋は愚痴ってしまった事を後悔した。
『あの夜の電話のせいだよね?私のせいで、奥さんに私たちのことバレたの?』
「……美奈子だけのせいじゃない。俺だって、自分の意思で妻を裏切ったんだから」
何度でも回避はできた。
それをしなかったのは自分だと千秋は思った。
『ごめんなさい。本当にごめんなさい!奥さんとなんとか元に戻れないの?』
「それは美奈子には関係ないから。頼むからもう連絡してこないで欲しい。美奈子は旦那さんと幸せになって」
もうそれしか言えない。
夫婦仲がこじれれば、美奈子だって不幸になる。
『そんなの無理だよ。私だけ、無理だよ』
美奈子は涙がポロポロと溢れてくる。
「無理じゃない。俺たちは何もなかった。ただ友達だ。だから、もう二度と関わり合うのはやめよう。俺を思ってくれるなら、もう俺のことも一切忘れて」
美奈子のヒックヒックと言う泣き声に千秋は胸が痛む。
結局、美紅も美奈子も泣かせてしまった。
「美奈子は大丈夫だよ。俺も、もうこの先は、妻のことだけ考えたい。さよなら」
千秋は言い終えると一方的に電話を切った。
もう、全てを終わりにしたかった。
美紅が許してくれるのを、ただひたすら待つしかないのだから。
0
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる