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その罪を許せるか許せないか
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美紅は部屋に戻ると、千秋の元にすぐ戻る勇気はないが、週末だけ家に戻っても良いかと千秋に伝えるために電話をかけた。
『本当に?週末だけでも戻って来てくれるのか?』
美紅の声を聞いて千秋の声は弾んだ。
少しずつ美紅の気持ちが、自分に戻っているのではないかと思った。
「うん。でも寝室は別にしたいの。もちろん、触れ合うのもして欲しくない。千秋さんの近くにいることができるのか、この先も千秋さんと生活をしていけるのか、千秋さんの元に戻って考えたいの」
美紅の言い分は千秋にもよく分かる。
無理に前の生活には戻すつもりもなかった。
少しでも近くに美紅を感じて、信頼を取り戻したいと思った。
『美紅が週末だけでも一緒に過ごしてくれるだけで充分だよ!俺が望むのは、美紅が近くにいてくれて、前みたいに笑ってくれれば良い。そこから、美紅が俺をまだ愛してくれるなら、元の生活に戻って良いって思ってくれるなら、美紅が全て望むように俺はするから』
本当に週末を一緒に過ごすことが正解かは美紅には分からなかったが、それでも愛情が残っているなら、それをちゃんと見極めたいと思った。
「うん。じゃあ、今度の土曜日に戻るね。何か食べたい物ある?」
美紅の手料理が久しぶりに食べれるんだと、千秋は想像しただけで泣きそうになった。
『そうだなぁ。美紅の作る物はなんでも美味しいから、すっごい悩むな。ハンバーグも良いし、とんかつも良いし』
千秋との何気ない会話が、美紅には懐かしくて目が熱くなる。
毎日こんな風に他愛もない会話を楽しんでいたんだと思うと、あの頃に戻りたくて仕方ない。
なぜ?どうして?と言う言葉が美紅の胸を締め付ける。
「分かった。分かったから。千秋さんが好きなもの考えておくから、楽しみにしてて」
美紅はそう言って話を止めた。
泣いているのがバレたくなかった。
『土曜日は仕事なんだけど、終わったら直ぐに帰るから。美紅が出迎えてくれるの、すっごく楽しみだよ』
「うん。じゃあ。おやすみなさい」
美紅は直ぐに通話を切った。
千秋は美紅との電話が終わってため息をつく。
今度こそ、美紅に嫌われたくない。何がなんでも美紅の心を自分に戻さなければと思った。
『本当に?週末だけでも戻って来てくれるのか?』
美紅の声を聞いて千秋の声は弾んだ。
少しずつ美紅の気持ちが、自分に戻っているのではないかと思った。
「うん。でも寝室は別にしたいの。もちろん、触れ合うのもして欲しくない。千秋さんの近くにいることができるのか、この先も千秋さんと生活をしていけるのか、千秋さんの元に戻って考えたいの」
美紅の言い分は千秋にもよく分かる。
無理に前の生活には戻すつもりもなかった。
少しでも近くに美紅を感じて、信頼を取り戻したいと思った。
『美紅が週末だけでも一緒に過ごしてくれるだけで充分だよ!俺が望むのは、美紅が近くにいてくれて、前みたいに笑ってくれれば良い。そこから、美紅が俺をまだ愛してくれるなら、元の生活に戻って良いって思ってくれるなら、美紅が全て望むように俺はするから』
本当に週末を一緒に過ごすことが正解かは美紅には分からなかったが、それでも愛情が残っているなら、それをちゃんと見極めたいと思った。
「うん。じゃあ、今度の土曜日に戻るね。何か食べたい物ある?」
美紅の手料理が久しぶりに食べれるんだと、千秋は想像しただけで泣きそうになった。
『そうだなぁ。美紅の作る物はなんでも美味しいから、すっごい悩むな。ハンバーグも良いし、とんかつも良いし』
千秋との何気ない会話が、美紅には懐かしくて目が熱くなる。
毎日こんな風に他愛もない会話を楽しんでいたんだと思うと、あの頃に戻りたくて仕方ない。
なぜ?どうして?と言う言葉が美紅の胸を締め付ける。
「分かった。分かったから。千秋さんが好きなもの考えておくから、楽しみにしてて」
美紅はそう言って話を止めた。
泣いているのがバレたくなかった。
『土曜日は仕事なんだけど、終わったら直ぐに帰るから。美紅が出迎えてくれるの、すっごく楽しみだよ』
「うん。じゃあ。おやすみなさい」
美紅は直ぐに通話を切った。
千秋は美紅との電話が終わってため息をつく。
今度こそ、美紅に嫌われたくない。何がなんでも美紅の心を自分に戻さなければと思った。
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