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その罪を許せるか許せないか
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週末の生活も何度目かが過ぎ、美紅は自分のためにも千秋との今後を真剣に考える。
千秋から愛されているのはよく分かっている。
美奈子との浮気も、一時的な気の迷いだったんだろうと思っている。
美紅は洗濯物を畳みながら、ソファに座ってコーヒーを飲みながら仕事の資料に目を通す千秋を見つめた。
「ん?どうした?」
美紅の視線を感じて、千秋は笑顔で美紅を見る。
この笑顔を見ると、千秋と別居中で悩んでいるのが不思議なぐらいだった。
「ううん。今後のこと、そろそろ決断する頃かなって思って」
美紅の言葉に千秋は緊張する。
自分が悪いのは十分分かっているし、今の生活に満足しているわけではないが、美紅と週末だけでも穏やかに過ごせるのなら、美紅に触れられなくても別れたくなかった。
「美紅は、どうしたいと思ってる?俺は、勝手だけど別れたくない。美紅を本当に愛してる。美紅に触れることができなくても、俺はこの先ずっと美紅と一緒にいたい」
千秋の悲しそうな顔に美紅は辛くなる。
美紅が悪いわけではないが、千秋のそんな顔は見ていたくない。
「もうすぐ結婚記念日だね。一年前に戻りたい」
美紅の言葉に千秋は胸がズキズキする。
一年前は、こんな生活になるなんて想像もしていなかった。
どうしてバレなければ良いなどと思ったんだろうと、千秋は美紅に嘘をついたことが今更ながらに自分を許せない。
「一年前には戻れないけど、もう一度だけチャンスをくれないか?もう二度と美紅を裏切らない。都合が良すぎるかもしれないけど、もう一度美紅の夫として美紅を守らせて欲しい」
真剣な千秋の目に、美紅は千秋を切り捨てられなかった。
「千秋さん。私も千秋さんともう一度やり直したいって気持ちあるよ。千秋さんに触れて欲しいって思ってる。元の夫婦生活に戻りたいよ」
美紅は言いながら涙が溢れて来た。
千秋を嫌いになれないのがある意味辛かった。
浮気したことは許せないのはもちろんあるが、千秋が美奈子と関係を持ったのは一度だけだと思うと、その一度の過ちをずっと引きずるのも嫌だった。
「千秋さん。今夜、千秋さんと同じベッドに寝ても良い?」
思ってもいなかった美紅からの申し出に千秋は耳を疑った。
「美紅?今の聞き間違えじゃないよね?」
信じられないと言う顔で千秋は美紅を見た。
美紅は少しだけ笑顔を見せて頷いた。
千秋から愛されているのはよく分かっている。
美奈子との浮気も、一時的な気の迷いだったんだろうと思っている。
美紅は洗濯物を畳みながら、ソファに座ってコーヒーを飲みながら仕事の資料に目を通す千秋を見つめた。
「ん?どうした?」
美紅の視線を感じて、千秋は笑顔で美紅を見る。
この笑顔を見ると、千秋と別居中で悩んでいるのが不思議なぐらいだった。
「ううん。今後のこと、そろそろ決断する頃かなって思って」
美紅の言葉に千秋は緊張する。
自分が悪いのは十分分かっているし、今の生活に満足しているわけではないが、美紅と週末だけでも穏やかに過ごせるのなら、美紅に触れられなくても別れたくなかった。
「美紅は、どうしたいと思ってる?俺は、勝手だけど別れたくない。美紅を本当に愛してる。美紅に触れることができなくても、俺はこの先ずっと美紅と一緒にいたい」
千秋の悲しそうな顔に美紅は辛くなる。
美紅が悪いわけではないが、千秋のそんな顔は見ていたくない。
「もうすぐ結婚記念日だね。一年前に戻りたい」
美紅の言葉に千秋は胸がズキズキする。
一年前は、こんな生活になるなんて想像もしていなかった。
どうしてバレなければ良いなどと思ったんだろうと、千秋は美紅に嘘をついたことが今更ながらに自分を許せない。
「一年前には戻れないけど、もう一度だけチャンスをくれないか?もう二度と美紅を裏切らない。都合が良すぎるかもしれないけど、もう一度美紅の夫として美紅を守らせて欲しい」
真剣な千秋の目に、美紅は千秋を切り捨てられなかった。
「千秋さん。私も千秋さんともう一度やり直したいって気持ちあるよ。千秋さんに触れて欲しいって思ってる。元の夫婦生活に戻りたいよ」
美紅は言いながら涙が溢れて来た。
千秋を嫌いになれないのがある意味辛かった。
浮気したことは許せないのはもちろんあるが、千秋が美奈子と関係を持ったのは一度だけだと思うと、その一度の過ちをずっと引きずるのも嫌だった。
「千秋さん。今夜、千秋さんと同じベッドに寝ても良い?」
思ってもいなかった美紅からの申し出に千秋は耳を疑った。
「美紅?今の聞き間違えじゃないよね?」
信じられないと言う顔で千秋は美紅を見た。
美紅は少しだけ笑顔を見せて頷いた。
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