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優しいあなたは……
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「ごめん、隠してたけど、信じてもらえないかもしれないけど、沙優は実の姉貴なんだ」
びっくりしている顔の美紅に、龍彦はもう真実を告げることを決めた。
「沙優は、本当に俺の姉さんだよ。映画も沙優の出版社の仕事で付き合わされたんだよ。沙優に相談したりって、身内の話をしていただけだし。もっと早くに言いたかったけど、言い出せなかったって言うか」
龍彦の告白にびっくりして美紅は目を見開く。
「へ?嘘ッ!って言うか、お姉さんだってそんな大事な事、なんで秘密にしてたの?それに、苗字も違うし」
龍彦に騙されていたと知り、美紅はなぜと龍彦が分からなくなる。
「……いい年して、兄弟で同じシェアハウスにいるってなんか恥ずかしかったから。それに姉貴がいる所じゃ原田も嫌だと思ったしさ!原田が実家にも帰れないし、だけど西川さんと別居したがってたから少しでも力になりたかった。みんなに相談したら、沙優が他人のフリするって言ってくれて」
龍彦は真っ赤になって力説する。もう誤解されたくなかった。
「亘理君」
自分のために隠していたんだと、龍彦やみんなの優しさが美紅は嬉しい。
「……言っただろ。お前が苦しんでる姿見たくないって」
「ありがとう」
涙を拭いながら微笑む美紅。
「変なの。私、亘理君が沙優さんの彼氏じゃないってわかってホッとしてる。なんでこんな気持ちになってんだろ」
誤解が解けて龍彦もホッとする。
勘違いして、寂しいと思ったり、ホッとしてくれる美紅に、龍彦も気持ちを抑えきれなくなってきた。
「それって、この先、少しは期待して良い?泣いたりホッとしたりって、俺のこと気になってるって思って良い?」
照れながら龍彦は尋ねる。
「え?あのッ!」
「別に直ぐに答え求めてないから。俺は待てるから。お前を好きだって気づいてから、ずっと西川さんに嫉妬してた。お前が結婚しても諦めきれない奴だからさッ。西川さんの浮気が分かった時も、お前が西川さんとの事考えて週末に戻った時だって、本当はすげー苛立ってたんだよ。本当は、帰したくなかった」
龍彦の告白に、まさかそんなに前から好意を寄せられていたとは思わなかった。
千秋の元に戻った事にも苛ついていたと思っていなかった。
いつも親身に話を聞いて励ましてくれていたからだ。
「嘘ッ!亘理君、私のこと好きだったの?」
美紅のストレートな豪球を、龍彦は真正面で受け止めながら俯き頷く。
「恥ずかしいから大声で聞くのやめてもらえませんか?ずっと好きですが何か?」
真っ赤になって照れる龍彦は、顔を上げても美紅が見れなくて顔を横に向ける。
「だから、お前が俺を好きになってくれるまで待つよ」
好きと言われて嬉しいのに、離婚したばかりの自分が龍彦の隣にいて良いわけがないと、どうしても美紅は自分を否定してしまいどう答えて良いか悩む。優しい龍彦を傷つけたくなかった。
びっくりしている顔の美紅に、龍彦はもう真実を告げることを決めた。
「沙優は、本当に俺の姉さんだよ。映画も沙優の出版社の仕事で付き合わされたんだよ。沙優に相談したりって、身内の話をしていただけだし。もっと早くに言いたかったけど、言い出せなかったって言うか」
龍彦の告白にびっくりして美紅は目を見開く。
「へ?嘘ッ!って言うか、お姉さんだってそんな大事な事、なんで秘密にしてたの?それに、苗字も違うし」
龍彦に騙されていたと知り、美紅はなぜと龍彦が分からなくなる。
「……いい年して、兄弟で同じシェアハウスにいるってなんか恥ずかしかったから。それに姉貴がいる所じゃ原田も嫌だと思ったしさ!原田が実家にも帰れないし、だけど西川さんと別居したがってたから少しでも力になりたかった。みんなに相談したら、沙優が他人のフリするって言ってくれて」
龍彦は真っ赤になって力説する。もう誤解されたくなかった。
「亘理君」
自分のために隠していたんだと、龍彦やみんなの優しさが美紅は嬉しい。
「……言っただろ。お前が苦しんでる姿見たくないって」
「ありがとう」
涙を拭いながら微笑む美紅。
「変なの。私、亘理君が沙優さんの彼氏じゃないってわかってホッとしてる。なんでこんな気持ちになってんだろ」
誤解が解けて龍彦もホッとする。
勘違いして、寂しいと思ったり、ホッとしてくれる美紅に、龍彦も気持ちを抑えきれなくなってきた。
「それって、この先、少しは期待して良い?泣いたりホッとしたりって、俺のこと気になってるって思って良い?」
照れながら龍彦は尋ねる。
「え?あのッ!」
「別に直ぐに答え求めてないから。俺は待てるから。お前を好きだって気づいてから、ずっと西川さんに嫉妬してた。お前が結婚しても諦めきれない奴だからさッ。西川さんの浮気が分かった時も、お前が西川さんとの事考えて週末に戻った時だって、本当はすげー苛立ってたんだよ。本当は、帰したくなかった」
龍彦の告白に、まさかそんなに前から好意を寄せられていたとは思わなかった。
千秋の元に戻った事にも苛ついていたと思っていなかった。
いつも親身に話を聞いて励ましてくれていたからだ。
「嘘ッ!亘理君、私のこと好きだったの?」
美紅のストレートな豪球を、龍彦は真正面で受け止めながら俯き頷く。
「恥ずかしいから大声で聞くのやめてもらえませんか?ずっと好きですが何か?」
真っ赤になって照れる龍彦は、顔を上げても美紅が見れなくて顔を横に向ける。
「だから、お前が俺を好きになってくれるまで待つよ」
好きと言われて嬉しいのに、離婚したばかりの自分が龍彦の隣にいて良いわけがないと、どうしても美紅は自分を否定してしまいどう答えて良いか悩む。優しい龍彦を傷つけたくなかった。
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