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新しい時が流れる
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龍彦は次の日、クライアントの会社へ直行だった。
先方の部長と仕事の話を終えると、応接室にコーヒーが運ばれて来た。
「川瀬さん、ありがとう」
部長が声を掛けたので、龍彦もそちらに目を向け会釈する。
「亘理君は初めてだったかな。1ヶ月位前から来てもらってる川瀬さん。この部署には2週間前からなんだけどね。美人だろ」
得意気に部長が言うと、川瀬さんと呼ばれた美奈子は龍彦に会釈する。
「部長。それセクハラっすよ。ねぇ、川瀬さん」
龍彦が美奈子に笑顔を向けると、美奈子は恥ずかしそうに頷いただけで、失礼しました。と出て行った。
「マジ、美人だろ?亘理君、どう?確か年も近かったよね?」
ニヤニヤしながら部長は尋ねる。
「あー、確かに美人すねぇ。でも俺、彼女いるんで」
龍彦が笑顔で答えると部長はびっくりした顔になる。
「えー!亘理君彼女出来たの?いついつ?どんな彼女?同じ会社?可愛い系?美人系?写真見せてよ!」
面白がって部長は龍彦を質問責めにする。
龍彦は、誰が教えるか。このたぬきオヤジ。と思いながら笑って誤魔化した。
「では、今日はここで」
龍彦が立ち上がり、部長と一緒に応接室を出ると、龍彦の担当の伊藤と言う男性社員が声を掛けて来た。
「亘理さん。来週大丈夫?」
今度飲みに行こうと誘われていた件かと龍彦も覚えている。
「大丈夫だよ」
伊藤の方が2歳年上だが、この会社の中では一番話しやすくてたまに飲みに行っていた。
「ちょっと、ちょっと」
伊藤は龍彦を廊下の端に連れて行く。
「あの、実は連れて行きたい人、いるんだけど良いかな?」
「え?」
「川瀬さんってさっきコーヒー持ってった人なんだけど」
ああ、そう言うことか。と龍彦は笑う。
「なんだ、付き合ってたの?」
「違う、違うッ!まだそこまで行ってない」
「だったら俺がいない方が良いんじゃね?俺、ドタキャンするよ?」
「いや、それじゃ警戒されますからッ!お願いしますよー」
必死な伊藤に龍彦は仕方ねぇーと言う顔になる。
「マジ、頼む!誘うきっかけが欲しくてさぁ」
「分かったよー。じゃあ、頃合い見て俺は帰るから、その日は伊藤さんのゴチね」
「ありがとうッ!」
たまにはそう言うのもいいか。と龍彦は思うと、クライアントを後にした。
先方の部長と仕事の話を終えると、応接室にコーヒーが運ばれて来た。
「川瀬さん、ありがとう」
部長が声を掛けたので、龍彦もそちらに目を向け会釈する。
「亘理君は初めてだったかな。1ヶ月位前から来てもらってる川瀬さん。この部署には2週間前からなんだけどね。美人だろ」
得意気に部長が言うと、川瀬さんと呼ばれた美奈子は龍彦に会釈する。
「部長。それセクハラっすよ。ねぇ、川瀬さん」
龍彦が美奈子に笑顔を向けると、美奈子は恥ずかしそうに頷いただけで、失礼しました。と出て行った。
「マジ、美人だろ?亘理君、どう?確か年も近かったよね?」
ニヤニヤしながら部長は尋ねる。
「あー、確かに美人すねぇ。でも俺、彼女いるんで」
龍彦が笑顔で答えると部長はびっくりした顔になる。
「えー!亘理君彼女出来たの?いついつ?どんな彼女?同じ会社?可愛い系?美人系?写真見せてよ!」
面白がって部長は龍彦を質問責めにする。
龍彦は、誰が教えるか。このたぬきオヤジ。と思いながら笑って誤魔化した。
「では、今日はここで」
龍彦が立ち上がり、部長と一緒に応接室を出ると、龍彦の担当の伊藤と言う男性社員が声を掛けて来た。
「亘理さん。来週大丈夫?」
今度飲みに行こうと誘われていた件かと龍彦も覚えている。
「大丈夫だよ」
伊藤の方が2歳年上だが、この会社の中では一番話しやすくてたまに飲みに行っていた。
「ちょっと、ちょっと」
伊藤は龍彦を廊下の端に連れて行く。
「あの、実は連れて行きたい人、いるんだけど良いかな?」
「え?」
「川瀬さんってさっきコーヒー持ってった人なんだけど」
ああ、そう言うことか。と龍彦は笑う。
「なんだ、付き合ってたの?」
「違う、違うッ!まだそこまで行ってない」
「だったら俺がいない方が良いんじゃね?俺、ドタキャンするよ?」
「いや、それじゃ警戒されますからッ!お願いしますよー」
必死な伊藤に龍彦は仕方ねぇーと言う顔になる。
「マジ、頼む!誘うきっかけが欲しくてさぁ」
「分かったよー。じゃあ、頃合い見て俺は帰るから、その日は伊藤さんのゴチね」
「ありがとうッ!」
たまにはそう言うのもいいか。と龍彦は思うと、クライアントを後にした。
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