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新しい時が流れる
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待ちに待った土曜日になり、龍彦と美紅は、シェアハウスのオーナーで、龍彦の叔父の亘理詠悟の家にやって来た。
詠悟は45歳だが、独身のせいか若々しく、渋くてイケメンで、美紅は詠悟に初めて会った時、龍彦は詠悟にそっくりだと思った。
亘理家は代々地主で、不動産業と大手有名予備校を経営している。
美紅が住まわせてもらっているシェアハウスは、元々亘理家の本宅だったが、詠悟の両親が温泉のある熱海の別荘に移り住んだために、詠悟一人で住むには広すぎて、沙優の提案でシェアハウスにしたのだった。
もちろん亘理家の事情を美紅は一切知らない。
「叔父さん、車借りに来た」
インターホンを鳴らして龍彦が言うと、詠悟からの返事が聞こえ、しばらくすると詠悟が出てきた。
「いらっしゃい、美紅ちゃん。いつ見ても可愛いね」
詠悟はにっこり美紅に微笑む。龍彦は心の中でチッと舌打ちした。
「ここのコーヒー、詠悟さんお好きなので買って来ちゃいました」
美紅は手土産に買って来たコーヒー豆を詠悟に渡す。
「いつもありがとう。今度は美紅ちゃんだけでおいで。美味しいコーヒー淹れてあげるよ」
「言い方がやらしいわッ!つーか美紅にデレデレするのやめてよね」
龍彦がムッとしているのが詠悟は楽しい。
「すーぐ嫉妬するとか鬱陶しいよ。全く、美紅ちゃんもこいつのどこが良かったの?」
龍彦を弄りながら、詠悟は車のキーを龍彦の目の前にぶら下げる。
美紅は笑って誤魔化す。
「叔父様、ありがとうございます」
龍彦はそう言って詠悟に手を合わせると、車のキーを受け取った。
「詠悟さん。ありがとうございます」
美紅も頭を下げる。
「いえいえ。気をつけろよー、ペーパードライバー。愛車と美紅ちゃん傷つけたら許さないからね」
「どっちも傷つけねーわッ!」
ムキになる龍彦に詠悟はクスクス笑う。揶揄い甲斐がある。
「はいはい。いってらっしゃい」
詠悟が手をヒラヒラさせて見送ると、美紅は再びペコリとお辞儀をして助手席に乗り込んだ。
「じゃあ、明日まで借りるね」
「ああ。俺がいなかったらキーは月曜日の朝に返しに来い」
「了解!」
龍彦は運転席に腰掛けるとエンジンをかけた。
詠悟の家のガレージから車が走り出すと、見送っていた詠悟も家の中に入って行った。
「ったく。叔父さんにも困ったもんだ。美紅にデレデレしやがって」
まだそれはムカムカしていた。
「デレデレじゃないよー。可愛い甥っ子の彼女だからって可愛がってくれてるだけだよ」
美紅がフォローすると、龍彦は右手を伸ばして美紅の手を握る。
「可愛いこと言うから、罰に信号で止まるたびにチューしてもーらお」
「もうッ!乗り慣れてないんだし、左ハンドルなんだから運転に集中してッ!」
美紅は恥ずかしくて堪らない。
付き合ってからと言うもの、龍彦のギャップにやられっぱなしだった。
「はいはい。駐車するまで我慢するよ」
冗談を言いながらも、龍彦も内心はドキドキしていた。
ずっと好きだった美紅と恋人同士になれて、やっとゆっくり二人きりで過ごせることに興奮する。
早くホテルで二人きりになりたいと思いながら、車は高速に乗り横浜方面へ向かった。
詠悟は45歳だが、独身のせいか若々しく、渋くてイケメンで、美紅は詠悟に初めて会った時、龍彦は詠悟にそっくりだと思った。
亘理家は代々地主で、不動産業と大手有名予備校を経営している。
美紅が住まわせてもらっているシェアハウスは、元々亘理家の本宅だったが、詠悟の両親が温泉のある熱海の別荘に移り住んだために、詠悟一人で住むには広すぎて、沙優の提案でシェアハウスにしたのだった。
もちろん亘理家の事情を美紅は一切知らない。
「叔父さん、車借りに来た」
インターホンを鳴らして龍彦が言うと、詠悟からの返事が聞こえ、しばらくすると詠悟が出てきた。
「いらっしゃい、美紅ちゃん。いつ見ても可愛いね」
詠悟はにっこり美紅に微笑む。龍彦は心の中でチッと舌打ちした。
「ここのコーヒー、詠悟さんお好きなので買って来ちゃいました」
美紅は手土産に買って来たコーヒー豆を詠悟に渡す。
「いつもありがとう。今度は美紅ちゃんだけでおいで。美味しいコーヒー淹れてあげるよ」
「言い方がやらしいわッ!つーか美紅にデレデレするのやめてよね」
龍彦がムッとしているのが詠悟は楽しい。
「すーぐ嫉妬するとか鬱陶しいよ。全く、美紅ちゃんもこいつのどこが良かったの?」
龍彦を弄りながら、詠悟は車のキーを龍彦の目の前にぶら下げる。
美紅は笑って誤魔化す。
「叔父様、ありがとうございます」
龍彦はそう言って詠悟に手を合わせると、車のキーを受け取った。
「詠悟さん。ありがとうございます」
美紅も頭を下げる。
「いえいえ。気をつけろよー、ペーパードライバー。愛車と美紅ちゃん傷つけたら許さないからね」
「どっちも傷つけねーわッ!」
ムキになる龍彦に詠悟はクスクス笑う。揶揄い甲斐がある。
「はいはい。いってらっしゃい」
詠悟が手をヒラヒラさせて見送ると、美紅は再びペコリとお辞儀をして助手席に乗り込んだ。
「じゃあ、明日まで借りるね」
「ああ。俺がいなかったらキーは月曜日の朝に返しに来い」
「了解!」
龍彦は運転席に腰掛けるとエンジンをかけた。
詠悟の家のガレージから車が走り出すと、見送っていた詠悟も家の中に入って行った。
「ったく。叔父さんにも困ったもんだ。美紅にデレデレしやがって」
まだそれはムカムカしていた。
「デレデレじゃないよー。可愛い甥っ子の彼女だからって可愛がってくれてるだけだよ」
美紅がフォローすると、龍彦は右手を伸ばして美紅の手を握る。
「可愛いこと言うから、罰に信号で止まるたびにチューしてもーらお」
「もうッ!乗り慣れてないんだし、左ハンドルなんだから運転に集中してッ!」
美紅は恥ずかしくて堪らない。
付き合ってからと言うもの、龍彦のギャップにやられっぱなしだった。
「はいはい。駐車するまで我慢するよ」
冗談を言いながらも、龍彦も内心はドキドキしていた。
ずっと好きだった美紅と恋人同士になれて、やっとゆっくり二人きりで過ごせることに興奮する。
早くホテルで二人きりになりたいと思いながら、車は高速に乗り横浜方面へ向かった。
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