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新しい時が流れる
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週が明け、美奈子は伊藤に改めて金曜日のお礼を言った。
「すみません。結局ご馳走になってしまって」
「良いですよ。俺が誘ったんだし」
伊藤は笑ってコピーを取っている。
「それ、私やりますよ。何部コピーですか?」
美奈子が気を遣って伊藤を手伝う。
「あ、じゃあ、3部ずつで」
伊藤がデスクに戻ると、美奈子は言われたようにコピーを取りホチキスで止めていく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「いえ」
美奈子は笑顔で自分のデスクに戻った。
「もしもし、シンセイの伊藤です。亘理さん、いらっしゃいますか?」
伊藤が龍彦に電話を掛けているのだと美奈子は気がつくと、龍彦が目に浮かんだ。
イケメンで背が高く爽やかな笑顔に、女子にモテるのも分かっているし、彼女がいることも分かっているが、思い出すとどうしても惹かれている自分がいた。
「あ、亘理さん?そちらから頂いた資料拝見して、午後の打ち合わせに打診してみますから」
さっきのコピーがそうだったのかと、内容までは見ていなかったと美奈子はパソコンのメールを開く。
龍彦からのメールの添付資料だったのかと目を通した。
「打ち合わせが終わったら直ぐに連絡しますから。じゃあ」
伊藤が電話を切ると、美奈子は伊藤を見る。
「伊藤さん」
美奈子の声に伊藤は美奈子を見た。
「あの、これ、良かったら私もお手伝いしたらダメですか?」
「え?」
突然どうしたのかと、伊藤は美奈子を見る。
「もっと専門的な仕事もしたくて。内容を見て私もお手伝いしたいって思って」
本当は、もっと龍彦と接する機会を増やしたいだけだった。
「え、っと。俺的には手伝ってもらえたら嬉しいけど、川瀬さんには川瀬さんの仕事もあるだろうし」
「じゃあ、私が部長に頼んでみます」
美奈子は立ち上がると部長のデスクに向かった。
しばらくすると、伊藤が呼ばれた。
「伊藤。亘理君からの資料ちょっと見せてよ」
「あ、はい」
伊藤は立ち上がると資料を持って部長の前に立つ。
「……なるほどね。女性の視点からも見てもらうのも良いかもな」
資料に目を通しながら部長は呟く。
「午後の打ち合わせ、川瀬さんも同席して。とりあえずこの件だけは川瀬さんは伊藤のアシスタントって事で動いてもらって」
伊藤は美奈子と接近できる機会ができて嬉しくなる。
「はい!わかりました!川瀬さん、よろしくね」
「こちらこそ、色々教えてくださいね」
美奈子はこれで龍彦と接点ができたと喜んだ。
「すみません。結局ご馳走になってしまって」
「良いですよ。俺が誘ったんだし」
伊藤は笑ってコピーを取っている。
「それ、私やりますよ。何部コピーですか?」
美奈子が気を遣って伊藤を手伝う。
「あ、じゃあ、3部ずつで」
伊藤がデスクに戻ると、美奈子は言われたようにコピーを取りホチキスで止めていく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「いえ」
美奈子は笑顔で自分のデスクに戻った。
「もしもし、シンセイの伊藤です。亘理さん、いらっしゃいますか?」
伊藤が龍彦に電話を掛けているのだと美奈子は気がつくと、龍彦が目に浮かんだ。
イケメンで背が高く爽やかな笑顔に、女子にモテるのも分かっているし、彼女がいることも分かっているが、思い出すとどうしても惹かれている自分がいた。
「あ、亘理さん?そちらから頂いた資料拝見して、午後の打ち合わせに打診してみますから」
さっきのコピーがそうだったのかと、内容までは見ていなかったと美奈子はパソコンのメールを開く。
龍彦からのメールの添付資料だったのかと目を通した。
「打ち合わせが終わったら直ぐに連絡しますから。じゃあ」
伊藤が電話を切ると、美奈子は伊藤を見る。
「伊藤さん」
美奈子の声に伊藤は美奈子を見た。
「あの、これ、良かったら私もお手伝いしたらダメですか?」
「え?」
突然どうしたのかと、伊藤は美奈子を見る。
「もっと専門的な仕事もしたくて。内容を見て私もお手伝いしたいって思って」
本当は、もっと龍彦と接する機会を増やしたいだけだった。
「え、っと。俺的には手伝ってもらえたら嬉しいけど、川瀬さんには川瀬さんの仕事もあるだろうし」
「じゃあ、私が部長に頼んでみます」
美奈子は立ち上がると部長のデスクに向かった。
しばらくすると、伊藤が呼ばれた。
「伊藤。亘理君からの資料ちょっと見せてよ」
「あ、はい」
伊藤は立ち上がると資料を持って部長の前に立つ。
「……なるほどね。女性の視点からも見てもらうのも良いかもな」
資料に目を通しながら部長は呟く。
「午後の打ち合わせ、川瀬さんも同席して。とりあえずこの件だけは川瀬さんは伊藤のアシスタントって事で動いてもらって」
伊藤は美奈子と接近できる機会ができて嬉しくなる。
「はい!わかりました!川瀬さん、よろしくね」
「こちらこそ、色々教えてくださいね」
美奈子はこれで龍彦と接点ができたと喜んだ。
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