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前に進む勇気
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美紅はひさしぶりに絹子とランチをしていた。
お互いの近況を話したり、楽しい話題に花が咲いたが、美紅は最近龍彦の様子が気になる事を絹子に聞いて欲しかった。
「たっ君がね、何か悩んでるって言うか、私にも言えないことがあるみたいなんだ」
美紅の悩みに絹子は耳を傾ける。
「仕事のこと?」
「んー。多分仕事のことだと思うけど、人間関係かも……」
千秋が美紅に電話をしてきたことで、龍彦と千秋の間に何かあったのではと美紅は気になる。
でも本当は、千秋のことではなく仕事の事だと美紅は思いたかった。
「確かに私が元いた支店の大きなプロジェクトや、他にもクライアントを抱えてるから大変なのは分かってるんだけど、それだけじゃない様な気がして」
「女のカンてやつ?」
美紅はコクンと頷く。
「ナニナニ?今度は亘理君が浮気疑惑?」
流石にそれはないでしょと言う顔で絹子は美紅を見る。
「浮気とかそう言うんじゃないよ。たっ君、そんなこと絶対しないし、私とも、ちゃんと仲良しだし」
照れながら美紅が言うと、絹子はプッと吹き出す。
「それだけ余裕で惚気られるなら浮気の心配はないわね。となると、やっぱりただ仕事が大変なだけじゃない?」
仕事の疲れともまた別のものを美紅は感じていた。
龍彦に愛されて幸せなのに、目で見えない何か違う違和感に美紅は襲われる。
「西川さんの事があったから、恋人に対して過敏になるのかも知れないけど、それって逆を返せば、それだけ亘理君を好きすぎて余裕がないって事なんだろうね」
「それはあるかも。たっ君が好きすぎてって当てはまるかな。私が一番辛い時、ずっと励ましてくれてたし。しかもその時も、私のことが好きだったって後から聞いて、何も知らずに甘えてて申し訳ないと思ったし」
「めっちゃ愛されてんじゃない。惚気話でお腹いっぱいですが?」
ニヤニヤしながら絹子は茶化す。
「良いじゃんッ!絹子にしか惚気られないんだからッ」
真っ赤になって美紅は唇を尖らせる。
「どうしても気になるならやんわりと聞いてみたら?ただ仕事で大変なら、見守ってあげるのも大事だと思うよ。とにかくあんたは気にしすぎなのよ」
確かに過敏すぎかなと美紅は反省する。
「やっぱり絹子に話を聞いてもらうのが一番だね。そうだね、やんわりと聞いてみようかな」
笑顔で美紅はそう言ったものの、いざ龍彦を目の前にすると、千秋の事が絡むと思うと、聞きたいが聞くことができないでいた。
お互いの近況を話したり、楽しい話題に花が咲いたが、美紅は最近龍彦の様子が気になる事を絹子に聞いて欲しかった。
「たっ君がね、何か悩んでるって言うか、私にも言えないことがあるみたいなんだ」
美紅の悩みに絹子は耳を傾ける。
「仕事のこと?」
「んー。多分仕事のことだと思うけど、人間関係かも……」
千秋が美紅に電話をしてきたことで、龍彦と千秋の間に何かあったのではと美紅は気になる。
でも本当は、千秋のことではなく仕事の事だと美紅は思いたかった。
「確かに私が元いた支店の大きなプロジェクトや、他にもクライアントを抱えてるから大変なのは分かってるんだけど、それだけじゃない様な気がして」
「女のカンてやつ?」
美紅はコクンと頷く。
「ナニナニ?今度は亘理君が浮気疑惑?」
流石にそれはないでしょと言う顔で絹子は美紅を見る。
「浮気とかそう言うんじゃないよ。たっ君、そんなこと絶対しないし、私とも、ちゃんと仲良しだし」
照れながら美紅が言うと、絹子はプッと吹き出す。
「それだけ余裕で惚気られるなら浮気の心配はないわね。となると、やっぱりただ仕事が大変なだけじゃない?」
仕事の疲れともまた別のものを美紅は感じていた。
龍彦に愛されて幸せなのに、目で見えない何か違う違和感に美紅は襲われる。
「西川さんの事があったから、恋人に対して過敏になるのかも知れないけど、それって逆を返せば、それだけ亘理君を好きすぎて余裕がないって事なんだろうね」
「それはあるかも。たっ君が好きすぎてって当てはまるかな。私が一番辛い時、ずっと励ましてくれてたし。しかもその時も、私のことが好きだったって後から聞いて、何も知らずに甘えてて申し訳ないと思ったし」
「めっちゃ愛されてんじゃない。惚気話でお腹いっぱいですが?」
ニヤニヤしながら絹子は茶化す。
「良いじゃんッ!絹子にしか惚気られないんだからッ」
真っ赤になって美紅は唇を尖らせる。
「どうしても気になるならやんわりと聞いてみたら?ただ仕事で大変なら、見守ってあげるのも大事だと思うよ。とにかくあんたは気にしすぎなのよ」
確かに過敏すぎかなと美紅は反省する。
「やっぱり絹子に話を聞いてもらうのが一番だね。そうだね、やんわりと聞いてみようかな」
笑顔で美紅はそう言ったものの、いざ龍彦を目の前にすると、千秋の事が絡むと思うと、聞きたいが聞くことができないでいた。
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