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前に進む勇気
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「こんばんは」
週末の夜、沙優との待ち合わせ場所に裕介が現れた。
「こんばんは。なんか付き合わせるみたいになってごめんなさい」
沙優が恐縮すると裕介は笑顔で首を振る。
「いえ。僕も期間限定にちょっと興味あったので」
裕介がそう言ってくれて沙優はホッとすると、二人は目的の店に向かって歩き始めた。
そして、その二人の姿を見て愕然としたのは、仕事帰りの美奈子だった。
まさか、幸せそうな裕介の姿を目撃するとは思っていなかった。
あの人、裕介の恋人?
美奈子は、遠のいて行く裕介の後ろ姿を見ながら胸が締め付けられる。
そしてすぐに龍彦の顔が思い浮かんでしまった。
裕介への関心よりも今の美奈子は、いくら拒否されていても、いつか龍彦が自分に振り向いてくれるのではないかと諦めていない。
美奈子はスマホの画面の時計を見てまだ龍彦は仕事中かと、つい龍彦の会社へ足が向かい、気がつくと龍彦の会社の前まで来ていた。
ただ、なかなか龍彦の姿を見つけられず、千秋と鉢合わせをするのも気まずかったので、今夜は諦めて地下鉄の駅に降りた。
改札に向かうと、改札の前に立っている龍彦を見つけて美奈子は思わず笑顔になる。
「亘理さんッ!」
自分を呼ぶ声に龍彦は振り返った。目の前に美奈子がいることに龍彦は驚く。
「川瀬さん?どうしたんですか?」
何故ここに美奈子がいるのかと、龍彦は焦りながらも怖くなる。
「偶然ですね。こっちに用があったので。こんな所で会えると思ってなかった」
偶然を装う美奈子の笑顔に龍彦はゾッとする。もしかしてストーカーをされているのかと思ってしまった。
「良かったら、夕飯まだならご一緒させてください」
美奈子の誘いにもちろん龍彦は応じるつもりはなかった。
それよりも、ここで美紅と待ち合わせをしていたので、美紅が来る前に美奈子と離れたかった。
「すみませんが、彼女と待ち合わせをしてるので」
龍彦に断られると、美奈子はシュンとなって俯く。
電車が到着したのか、改札に人が流れ出て来た。
龍彦は美紅に見られたらまずいと思い、美奈子に頭を下げてその場から離れる。
美奈子は、去って行った龍彦を追いかける事はできないと思い、別の改札口を通ってホームに向かった。
「お待たせ」
改札から離れた場所に立つ龍彦に美紅が声を掛けた。
「お疲れさん。行こっか」
龍彦が美紅に微笑み手を握る。
「たっ君、さっき誰かに挨拶してなかった?」
美紅に見られていたと分かり龍彦は緊張する。
「取引先の人だよ。たまたま見かけたから挨拶しただけ」
美紅は美奈子の顔が見えなかったが、その時の龍彦が、機嫌の悪い顔をしていたのでなんとなく気になってしまった。
週末の夜、沙優との待ち合わせ場所に裕介が現れた。
「こんばんは。なんか付き合わせるみたいになってごめんなさい」
沙優が恐縮すると裕介は笑顔で首を振る。
「いえ。僕も期間限定にちょっと興味あったので」
裕介がそう言ってくれて沙優はホッとすると、二人は目的の店に向かって歩き始めた。
そして、その二人の姿を見て愕然としたのは、仕事帰りの美奈子だった。
まさか、幸せそうな裕介の姿を目撃するとは思っていなかった。
あの人、裕介の恋人?
美奈子は、遠のいて行く裕介の後ろ姿を見ながら胸が締め付けられる。
そしてすぐに龍彦の顔が思い浮かんでしまった。
裕介への関心よりも今の美奈子は、いくら拒否されていても、いつか龍彦が自分に振り向いてくれるのではないかと諦めていない。
美奈子はスマホの画面の時計を見てまだ龍彦は仕事中かと、つい龍彦の会社へ足が向かい、気がつくと龍彦の会社の前まで来ていた。
ただ、なかなか龍彦の姿を見つけられず、千秋と鉢合わせをするのも気まずかったので、今夜は諦めて地下鉄の駅に降りた。
改札に向かうと、改札の前に立っている龍彦を見つけて美奈子は思わず笑顔になる。
「亘理さんッ!」
自分を呼ぶ声に龍彦は振り返った。目の前に美奈子がいることに龍彦は驚く。
「川瀬さん?どうしたんですか?」
何故ここに美奈子がいるのかと、龍彦は焦りながらも怖くなる。
「偶然ですね。こっちに用があったので。こんな所で会えると思ってなかった」
偶然を装う美奈子の笑顔に龍彦はゾッとする。もしかしてストーカーをされているのかと思ってしまった。
「良かったら、夕飯まだならご一緒させてください」
美奈子の誘いにもちろん龍彦は応じるつもりはなかった。
それよりも、ここで美紅と待ち合わせをしていたので、美紅が来る前に美奈子と離れたかった。
「すみませんが、彼女と待ち合わせをしてるので」
龍彦に断られると、美奈子はシュンとなって俯く。
電車が到着したのか、改札に人が流れ出て来た。
龍彦は美紅に見られたらまずいと思い、美奈子に頭を下げてその場から離れる。
美奈子は、去って行った龍彦を追いかける事はできないと思い、別の改札口を通ってホームに向かった。
「お待たせ」
改札から離れた場所に立つ龍彦に美紅が声を掛けた。
「お疲れさん。行こっか」
龍彦が美紅に微笑み手を握る。
「たっ君、さっき誰かに挨拶してなかった?」
美紅に見られていたと分かり龍彦は緊張する。
「取引先の人だよ。たまたま見かけたから挨拶しただけ」
美紅は美奈子の顔が見えなかったが、その時の龍彦が、機嫌の悪い顔をしていたのでなんとなく気になってしまった。
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