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前に進む勇気
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次の日の土曜の夜、沙優は仕事で会社に泊まり込みだった。
裕介との飲み会の事を聞きたい美紅とりほと隆和は、日曜に出勤した沙優の帰りをリビングで待ち構えていた。
残りのメンバーの崇人は出掛けていて、龍彦は部屋で仕事をしている。
「どうだった?志田さんと飲み会!」
沙優が帰って来た途端、食い気味にりほがニヤニヤしながら尋ねる。
「別にー。普通に楽しかったけど」
何もないと言う顔で沙優は答える。
「そうなの?今回一緒に飲んで、親密なカンケイになったのかと期待してたのに」
隆和が興味津々で突っ込むが、沙優は余裕でフフフと笑う。
「2年も男がいなかった私を見くびらないでよ。そう簡単に知り合ったばかりの人と恋に落ちる訳がない」
「それ、自慢するところ?つーか、相手にされなかったんですね」
わざと残念そうに隆和は言う。
「だねー。沙優、可愛そう」
りほもこれでもかと沙優を弄る。
「ちょッ!美紅ちゃん!りほと隆和がいじめるー」
沙優は美紅に嘘泣きをすると、美紅はニコニコして沙優の頭をナデナデした。
「でもさ、沙優と志田さんって、私はお似合いだと思うよ。志田さん温厚で真面目で優しそうだし」
りほは勧めるが、裕介がバツイチなのを知ってる美紅はどう言って良いか分からなかった。
「なにそれ。突然くっつけようとしてる?」
面白がってるなと沙優はりほを見る。
「だってあんた婚活するって言ってたじゃない。志田さんなら相手として申し分ないし、落ち着きのないあんたには、志田さんが良いブレーキになるんじゃない?」
確かに裕介の経歴を考えれば、とても良い相手なのは間違いはない。
「んー。たださ、志田さんてバツイチなんだよね」
「嘘ぉ。マジで?」
意外過ぎてりほは驚く。
「意外だな」
流石に隆和も驚く。
「マジで。マジで」
知っている美紅は、何と反応して良いか分からず固まる。
「でも、沙優ってそう言う事気にするタイプなんだ」
また意外過ぎて、りほは再び驚く。
「違う違う。バツイチが気になるんじゃなくて、志田さんが恋愛に対してまだ前向きじゃないって言うかさ。離婚した理由も聞けてないし」
「そう言う事なんだ」
なるほどと、りほも隆和も納得した。
沙優は大人しくなっている美紅をチラッと見る。
「志田さんから聞いたけど、美紅ちゃん、志田さんがバツイチだった話を聞いていたんだね」
別に沙優は、話してくれなかったことを責めている訳ではないが、美紅はドキドキして慌てる。
「あ、ごめんなさい。わざと隠してたわけじゃないけど、私の口から言うことじゃないと思ってたから」
言い訳っぽいかと思いながら、困り顔の美紅に沙優は笑う。
「やだぁ、怒ってないわよ。それでこそ美紅ちゃんだもん。私も聞くなら直接本人から聞きたかったし」
沙優が全く気にしていなかったので美紅はホッとした。
「まぁ正直志田さんといて楽しかったし、居心地も良かったし?友達としてお付き合いができたら、それも良いかもね」
沙優はまだ裕介と、この先どうなるかとは考えてはいなかったが、また会いたいとは思った。
裕介との飲み会の事を聞きたい美紅とりほと隆和は、日曜に出勤した沙優の帰りをリビングで待ち構えていた。
残りのメンバーの崇人は出掛けていて、龍彦は部屋で仕事をしている。
「どうだった?志田さんと飲み会!」
沙優が帰って来た途端、食い気味にりほがニヤニヤしながら尋ねる。
「別にー。普通に楽しかったけど」
何もないと言う顔で沙優は答える。
「そうなの?今回一緒に飲んで、親密なカンケイになったのかと期待してたのに」
隆和が興味津々で突っ込むが、沙優は余裕でフフフと笑う。
「2年も男がいなかった私を見くびらないでよ。そう簡単に知り合ったばかりの人と恋に落ちる訳がない」
「それ、自慢するところ?つーか、相手にされなかったんですね」
わざと残念そうに隆和は言う。
「だねー。沙優、可愛そう」
りほもこれでもかと沙優を弄る。
「ちょッ!美紅ちゃん!りほと隆和がいじめるー」
沙優は美紅に嘘泣きをすると、美紅はニコニコして沙優の頭をナデナデした。
「でもさ、沙優と志田さんって、私はお似合いだと思うよ。志田さん温厚で真面目で優しそうだし」
りほは勧めるが、裕介がバツイチなのを知ってる美紅はどう言って良いか分からなかった。
「なにそれ。突然くっつけようとしてる?」
面白がってるなと沙優はりほを見る。
「だってあんた婚活するって言ってたじゃない。志田さんなら相手として申し分ないし、落ち着きのないあんたには、志田さんが良いブレーキになるんじゃない?」
確かに裕介の経歴を考えれば、とても良い相手なのは間違いはない。
「んー。たださ、志田さんてバツイチなんだよね」
「嘘ぉ。マジで?」
意外過ぎてりほは驚く。
「意外だな」
流石に隆和も驚く。
「マジで。マジで」
知っている美紅は、何と反応して良いか分からず固まる。
「でも、沙優ってそう言う事気にするタイプなんだ」
また意外過ぎて、りほは再び驚く。
「違う違う。バツイチが気になるんじゃなくて、志田さんが恋愛に対してまだ前向きじゃないって言うかさ。離婚した理由も聞けてないし」
「そう言う事なんだ」
なるほどと、りほも隆和も納得した。
沙優は大人しくなっている美紅をチラッと見る。
「志田さんから聞いたけど、美紅ちゃん、志田さんがバツイチだった話を聞いていたんだね」
別に沙優は、話してくれなかったことを責めている訳ではないが、美紅はドキドキして慌てる。
「あ、ごめんなさい。わざと隠してたわけじゃないけど、私の口から言うことじゃないと思ってたから」
言い訳っぽいかと思いながら、困り顔の美紅に沙優は笑う。
「やだぁ、怒ってないわよ。それでこそ美紅ちゃんだもん。私も聞くなら直接本人から聞きたかったし」
沙優が全く気にしていなかったので美紅はホッとした。
「まぁ正直志田さんといて楽しかったし、居心地も良かったし?友達としてお付き合いができたら、それも良いかもね」
沙優はまだ裕介と、この先どうなるかとは考えてはいなかったが、また会いたいとは思った。
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