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前に進む勇気
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龍彦に全く相手にされない美奈子は、つい裕介が一緒にいた沙優が気になって電話をしてしまった。
「まだ電話に出てくれて良かった」
ホッとする美奈子に、裕介は何の用があるのかと気になる。
『別れたとはいえ夫婦だったんだから、電話が来れば何かあったのかと気にはなるよ』
「やっぱり優しいね。先週の金曜日に見かけた時も、相変わらず優しい笑顔だった」
『え?』
「たまたま見かけたの。裕介が青山でデートしてるところ。彼女ができたんだね」
裕介は、沙優と会っているところを見られたんだとやっと分かった。
『別に彼女とは、そんな関係じゃないよ』
「そうなんだ」
美奈子はため息をつく。
「どうして私、裕介のこと裏切っちゃったんだろう。あんなことがなければ、こんなに辛くないのに。裕介と幸せに暮らしていたはずなのに」
美奈子の突然の電話に、ヨリを戻したいのかと裕介は考えた。
『もう過ぎたことだよ。僕達はもう元には戻れないって決めたから離婚したんだし』
裕介は突っぱねる。
「そうだけど、やっぱり後悔してるの。ごめんなさい」
美奈子が復縁を望んでいるのかと思ったが、ただ裕介の中ではもう復縁はあり得なかった。
「……あの人が好きなの?」
『ごめん。もう美奈子には関係ないよね?』
「分かってるの。私が悪かったって。でも寂しくて。気になった相手には振り向いてもらえないし」
『気になった相手?』
突然美奈子が何を言いたいのか裕介は疑問を感じたが、千秋の事を言っているのかと不快になる。
まだ千秋と繋がりがあるから離婚の話し合いの時も、裕介が思っていた以上にすんなり離婚が成立したんだと思った。
「あ、ごめんなさい。こんなこと言いたかったんじゃないけど」
龍彦を思い浮かべて、つい美奈子は口が滑ってしまっていた。
『美奈子って残酷だよね。美奈子が僕を裏切った事で僕達は離婚したのに、その僕に浮気した相手との相談?』
裕介が勘違いしている事に美奈子は気づく。
「違うのッ!西川君の事じゃないのッ!」
『僕もはっきり目が覚めたよ。もう二度と連絡しないでくれ』
「裕介!待って!私!」
焦る美奈子の言葉を最後まで聞かず裕介は電話を切った。
美奈子の身勝手さに憤る。
寂しくなれば、結局裕介のところにすり寄ってくる。感情だけで甘えてくる。
自分だけを見てくれていた時は、そんな美奈子が愛おしかったが、あれだけ愛していたはずなのに今は嫌悪感しかない。
公介が前に、美奈子は依存症だと言った言葉を身をもって感じた。
やり切れない悔しさと寂しさに、裕介はベッドに横になると目を掌で覆った。
「まだ電話に出てくれて良かった」
ホッとする美奈子に、裕介は何の用があるのかと気になる。
『別れたとはいえ夫婦だったんだから、電話が来れば何かあったのかと気にはなるよ』
「やっぱり優しいね。先週の金曜日に見かけた時も、相変わらず優しい笑顔だった」
『え?』
「たまたま見かけたの。裕介が青山でデートしてるところ。彼女ができたんだね」
裕介は、沙優と会っているところを見られたんだとやっと分かった。
『別に彼女とは、そんな関係じゃないよ』
「そうなんだ」
美奈子はため息をつく。
「どうして私、裕介のこと裏切っちゃったんだろう。あんなことがなければ、こんなに辛くないのに。裕介と幸せに暮らしていたはずなのに」
美奈子の突然の電話に、ヨリを戻したいのかと裕介は考えた。
『もう過ぎたことだよ。僕達はもう元には戻れないって決めたから離婚したんだし』
裕介は突っぱねる。
「そうだけど、やっぱり後悔してるの。ごめんなさい」
美奈子が復縁を望んでいるのかと思ったが、ただ裕介の中ではもう復縁はあり得なかった。
「……あの人が好きなの?」
『ごめん。もう美奈子には関係ないよね?』
「分かってるの。私が悪かったって。でも寂しくて。気になった相手には振り向いてもらえないし」
『気になった相手?』
突然美奈子が何を言いたいのか裕介は疑問を感じたが、千秋の事を言っているのかと不快になる。
まだ千秋と繋がりがあるから離婚の話し合いの時も、裕介が思っていた以上にすんなり離婚が成立したんだと思った。
「あ、ごめんなさい。こんなこと言いたかったんじゃないけど」
龍彦を思い浮かべて、つい美奈子は口が滑ってしまっていた。
『美奈子って残酷だよね。美奈子が僕を裏切った事で僕達は離婚したのに、その僕に浮気した相手との相談?』
裕介が勘違いしている事に美奈子は気づく。
「違うのッ!西川君の事じゃないのッ!」
『僕もはっきり目が覚めたよ。もう二度と連絡しないでくれ』
「裕介!待って!私!」
焦る美奈子の言葉を最後まで聞かず裕介は電話を切った。
美奈子の身勝手さに憤る。
寂しくなれば、結局裕介のところにすり寄ってくる。感情だけで甘えてくる。
自分だけを見てくれていた時は、そんな美奈子が愛おしかったが、あれだけ愛していたはずなのに今は嫌悪感しかない。
公介が前に、美奈子は依存症だと言った言葉を身をもって感じた。
やり切れない悔しさと寂しさに、裕介はベッドに横になると目を掌で覆った。
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