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清らかな水
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青山の画廊から絵が届き、保奈美は泉水にお礼の電話をかけた。
泉水が直感で気に入った絵は受付に飾られて評判も良かった。
「泉水さんに絵のセンスがあったのは知りませんでした」
ワタルが絵を眺めながら言う。
「ワタル様、それは買いかぶりかと。芸術的センスは皆無ですよ」
桐生が笑いながら言う。ワタルも笑う。
今日は、全国を回っていた美緒と、ワタルはやっと初めて会えると、朝から楽しみにしていた。
事務所の応接室でワタルと保奈美と桐生が待っているとドアがノックされ、美緒と美緒の母親が入ってきた。
杖を付いた美緒は、泉水の言うように清らかな天使のようだった。
透明感がありワタルも一目で魅了された。
「わざわざ呼び出してごめんなさいね。なかなかスケジュールが合わなくて、まだワタルが美緒と会ったことがないって言うので」
保奈美がそう言うと、美緒は首を振った。
「いえ、僕こそ、なかなか事務所に来る機会がなくて、遅くなってすみませんでした。ワタルさん。はじめまして、夕月美緒です」
美緒は右手を差し出すと、ワタルは少し照れながらその手を優しく握った。
美緒は一瞬ピクリと反応したが、ワタルの温もりに安心したようだった。
「はじめまして。佐渡航路です。よろしくお願いします」
ワタルの声を聞いて美緒は少し顔を上げた。不思議とその角度で視線が合う位置だった。
「ねぇ、せっかくだから、耕助さんも呼んで写真撮ってもらいましょうよ。まだ時間あるかしら?」
保奈美が美緒の母親に尋ねると、母親は大丈夫と返事をした。
今日は午後からの予定だったが、耕助も合流して、写真撮影となった。
耕助は数日前、美緒のCDジャケットの撮影でもう会っている。
「直ぐにプリントアウトするから渡すよ」
楽しそうに耕助は数枚の写真をパソコンでプリントアウトするとそれぞれに渡し、スタッフも入れた全員の写真を社長室に飾った。
ひと時であったが、初めて事務所に全員が集まり、楽しい時間を過ごした。
「で、これがその写真なんだ」
むすっとして泉水は写真を見つめる。
夜になって、泉水の部屋で2人きりになると、ワタルはつい軽い気持ちで写真を見せてしまった。それがこの結果である。
「なんで私はここに写ってないのかな?問題です。この事務所の大株主は誰でしょう」
ワタルは苦笑いをする。
「チッチッチ。ブー。はい、時間切れ。答えは、私、御笠です」
不機嫌の極みで泉水はワタルを見つめる。
「美緒さんも時間なかったし、泉水さん忙しいだろうし」
必死に言い訳をするワタルを泉水はじっと見つめる。
「それでも、一言ぐらい誘ってくれても」
正直、美緒に夢中になっていて、泉水を忘れていたとは口が裂けても言えない。
泉水は一呼吸すると、フッと笑う。
「次回は許さないよ」
泉水はそう言ってワタルにキスをする。
写真をテーブルに置くと、泉水はワタルをベッドに押し倒した。
ワタルのパジャマを脱がしながら肌に唇を這わす。
「んん。泉水、さん」
くすぐったくて気持ちよくて、ワタルは甘い声を出す。
泉水の舌先がワタルの乳首を攻め立てる。コリッと固くなってワタルは堪らず喘ぐ。
チュッチュと音を立てて乳首をしゃぶりながら舐めまくる。ワタルは漏れそうな声を指を噛んで我慢をする。
「泉水さん、気持ちいい」
泉水は乳首を攻めながら右手でワタルのモノを扱く。ヌルヌルに濡れるモノが熱くてワタルは身をよじる。
「んん!キスして」
泉水はワタルの唇をしゃぶるように激しくキスをする。
ワタルはモノを扱かれながら、舌を泉水の口の中に滑り込ませる。
グチュグチュと音を立てキスをしていると唾液がワタルの口元から垂れる。ワタルは泉水のキスに酔いしれる。
「んんッ!んふんッ!」
泉水の頭を抱きしめながらワタルは身体を硬くする。我慢できず泉水の掌で扱かれ果てると、白濁した体液が放たれた。
泉水の顔が離れる。
「気持ち良かったかい?」
ワタルは真っ赤になって潤んだ瞳でコクンと頷く。
ワタルの体液を拭き取ると泉水は起き上がる。
「泉水さん?」
「どうも私は嫉妬深いね。さっきは意地悪を言ってごめんよ」
照れながら泉水は言う。
「さっき写真を見た時、ワタルの側にいる美緒と桐生に嫉妬した。特に桐生。常にワタルの横にいてさ」
ワタルは笑うが、余計に雑誌を見せられないと焦る。
「泉水さん」
ワタルが泉水の背後にぴったりと肌を寄せる。
「愛してるよ。泉水さんだけだよ」
泉水は微笑む。
「もっと言って」
「愛してる。だから、こっち向いて笑って」
泉水は振り返ると、ワタルの頬を掌で触れる。
「私も愛してるよ。愛してる」
ワタルの唇に唇を重ねる。
唇を離すと見つめ合う。
「どうしてこんなに離れられなくなったんだろう。絶対、いなくならないでくれ。私の側から消えないでくれ」
泉水はワタルをギュッと抱きしめる。
「離れない。僕のことも、ずっと側に置いて」
ワタルは優しく泉水の頭を包むように抱きしめる。
泉水はワタルの背中に回した手でワタルの背筋を撫でる。ビクンとワタルが反応する。
「泉水さん、くすぐったい」
泉水は今度は脇をくすぐる。
「やッ!あはは」
ワタルはくすぐったがって笑いながらベッドに寝転がる。
泉水はフッと笑うとワタルに覆いかぶさる。
「ワタルの肌、温かい」
泉水はワタルの胸に頬を当てる。ワタルは泉水の髪を撫でる。
「いつか、海外で、2人きりで式をあげないか?」
泉水の言葉に髪を撫でる手が止まった。
「本当に?」
「ああ。ん?この場合、ワタルがウエディングドレス?いや、2人でタキシード?」
泉水の天然さにワタルは吹き出した。
「その時、考えようよ」
ワタルの笑顔に泉水は癒された。
「だね。ワタル、ずっと笑っていて。それだけでも私は幸せだから」
泉水が直感で気に入った絵は受付に飾られて評判も良かった。
「泉水さんに絵のセンスがあったのは知りませんでした」
ワタルが絵を眺めながら言う。
「ワタル様、それは買いかぶりかと。芸術的センスは皆無ですよ」
桐生が笑いながら言う。ワタルも笑う。
今日は、全国を回っていた美緒と、ワタルはやっと初めて会えると、朝から楽しみにしていた。
事務所の応接室でワタルと保奈美と桐生が待っているとドアがノックされ、美緒と美緒の母親が入ってきた。
杖を付いた美緒は、泉水の言うように清らかな天使のようだった。
透明感がありワタルも一目で魅了された。
「わざわざ呼び出してごめんなさいね。なかなかスケジュールが合わなくて、まだワタルが美緒と会ったことがないって言うので」
保奈美がそう言うと、美緒は首を振った。
「いえ、僕こそ、なかなか事務所に来る機会がなくて、遅くなってすみませんでした。ワタルさん。はじめまして、夕月美緒です」
美緒は右手を差し出すと、ワタルは少し照れながらその手を優しく握った。
美緒は一瞬ピクリと反応したが、ワタルの温もりに安心したようだった。
「はじめまして。佐渡航路です。よろしくお願いします」
ワタルの声を聞いて美緒は少し顔を上げた。不思議とその角度で視線が合う位置だった。
「ねぇ、せっかくだから、耕助さんも呼んで写真撮ってもらいましょうよ。まだ時間あるかしら?」
保奈美が美緒の母親に尋ねると、母親は大丈夫と返事をした。
今日は午後からの予定だったが、耕助も合流して、写真撮影となった。
耕助は数日前、美緒のCDジャケットの撮影でもう会っている。
「直ぐにプリントアウトするから渡すよ」
楽しそうに耕助は数枚の写真をパソコンでプリントアウトするとそれぞれに渡し、スタッフも入れた全員の写真を社長室に飾った。
ひと時であったが、初めて事務所に全員が集まり、楽しい時間を過ごした。
「で、これがその写真なんだ」
むすっとして泉水は写真を見つめる。
夜になって、泉水の部屋で2人きりになると、ワタルはつい軽い気持ちで写真を見せてしまった。それがこの結果である。
「なんで私はここに写ってないのかな?問題です。この事務所の大株主は誰でしょう」
ワタルは苦笑いをする。
「チッチッチ。ブー。はい、時間切れ。答えは、私、御笠です」
不機嫌の極みで泉水はワタルを見つめる。
「美緒さんも時間なかったし、泉水さん忙しいだろうし」
必死に言い訳をするワタルを泉水はじっと見つめる。
「それでも、一言ぐらい誘ってくれても」
正直、美緒に夢中になっていて、泉水を忘れていたとは口が裂けても言えない。
泉水は一呼吸すると、フッと笑う。
「次回は許さないよ」
泉水はそう言ってワタルにキスをする。
写真をテーブルに置くと、泉水はワタルをベッドに押し倒した。
ワタルのパジャマを脱がしながら肌に唇を這わす。
「んん。泉水、さん」
くすぐったくて気持ちよくて、ワタルは甘い声を出す。
泉水の舌先がワタルの乳首を攻め立てる。コリッと固くなってワタルは堪らず喘ぐ。
チュッチュと音を立てて乳首をしゃぶりながら舐めまくる。ワタルは漏れそうな声を指を噛んで我慢をする。
「泉水さん、気持ちいい」
泉水は乳首を攻めながら右手でワタルのモノを扱く。ヌルヌルに濡れるモノが熱くてワタルは身をよじる。
「んん!キスして」
泉水はワタルの唇をしゃぶるように激しくキスをする。
ワタルはモノを扱かれながら、舌を泉水の口の中に滑り込ませる。
グチュグチュと音を立てキスをしていると唾液がワタルの口元から垂れる。ワタルは泉水のキスに酔いしれる。
「んんッ!んふんッ!」
泉水の頭を抱きしめながらワタルは身体を硬くする。我慢できず泉水の掌で扱かれ果てると、白濁した体液が放たれた。
泉水の顔が離れる。
「気持ち良かったかい?」
ワタルは真っ赤になって潤んだ瞳でコクンと頷く。
ワタルの体液を拭き取ると泉水は起き上がる。
「泉水さん?」
「どうも私は嫉妬深いね。さっきは意地悪を言ってごめんよ」
照れながら泉水は言う。
「さっき写真を見た時、ワタルの側にいる美緒と桐生に嫉妬した。特に桐生。常にワタルの横にいてさ」
ワタルは笑うが、余計に雑誌を見せられないと焦る。
「泉水さん」
ワタルが泉水の背後にぴったりと肌を寄せる。
「愛してるよ。泉水さんだけだよ」
泉水は微笑む。
「もっと言って」
「愛してる。だから、こっち向いて笑って」
泉水は振り返ると、ワタルの頬を掌で触れる。
「私も愛してるよ。愛してる」
ワタルの唇に唇を重ねる。
唇を離すと見つめ合う。
「どうしてこんなに離れられなくなったんだろう。絶対、いなくならないでくれ。私の側から消えないでくれ」
泉水はワタルをギュッと抱きしめる。
「離れない。僕のことも、ずっと側に置いて」
ワタルは優しく泉水の頭を包むように抱きしめる。
泉水はワタルの背中に回した手でワタルの背筋を撫でる。ビクンとワタルが反応する。
「泉水さん、くすぐったい」
泉水は今度は脇をくすぐる。
「やッ!あはは」
ワタルはくすぐったがって笑いながらベッドに寝転がる。
泉水はフッと笑うとワタルに覆いかぶさる。
「ワタルの肌、温かい」
泉水はワタルの胸に頬を当てる。ワタルは泉水の髪を撫でる。
「いつか、海外で、2人きりで式をあげないか?」
泉水の言葉に髪を撫でる手が止まった。
「本当に?」
「ああ。ん?この場合、ワタルがウエディングドレス?いや、2人でタキシード?」
泉水の天然さにワタルは吹き出した。
「その時、考えようよ」
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