すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

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第二話

3

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茉理と一緒に一哉と臨も茉理の教室にやって来た。

「買えた?」

教室で待っていた絢斗が茉理に声をかける。

「ダメだったぁ。授業が延びたせいだよ」

プンプンしながら茉理は言う。

「よぉ。一哉も一緒か。ん?そっちのは?」

絢斗が臨を見つめる。

「俺のクラスの朝比奈。購買部で茉理と会って、一緒に飯食うことにしたんだよ」

臨は真っ赤になって絢斗を見る。

「朝比奈臨。よろしく」

「ああ。俺は柳井絢斗。よろしくな」

絢斗は素っ気ないが、臨は真っ赤なまま絢斗を見つめる。

「ん?なに?俺の顔に何か?」

流石に視線を感じて絢斗は尋ねる。

「中学と高校の入学式で新入生代表した人だよね!凄いなって思ってたんだ」

可愛い笑顔で臨が言うと、絢斗はああー、と言う顔をする。

「別にたいしたことないよ。他の奴らより少しだけ勉強出来ただけだし」

サラッと言うが、絢斗じゃなきゃ嫌味に聞こえるなと茉理と一哉は思った。
4人は仲良く昼を食べ始める。
似た感じの者同士、茉理と臨は話も合った。

「はい、半分だけど」

臨がクリームパンを半分にして茉理に渡す。

「良いの?」

茉理は目を輝かせる。

「うん。食べてよ」

「ありがとー!臨、優しい」

笑顔で茉理が言うと、臨も可愛い笑顔を向けた。

「…………なんか、ここだけ共学ぽくね?」

ポツリと一哉が言うと絢斗はフッと笑う。

「なぁ!一哉と臨、毎日一緒に昼食おうよ」

楽しかった茉理はふたりに言う。

「別に俺は良いけど?臨は?」

一哉が臨に尋ねる。

「僕も良いよ!みんなで食べた方が楽しいじゃん」

「じゃあ、一緒に食べられるときはこっち来いよ!」

茉理は笑顔で言う。
茉理のその笑顔を見ながら、絢斗も満足そうに微笑んだ。
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