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第三話
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臨の家に招かれた一哉は、臨の家がとても大きくて、家政婦だけでなく執事までいてビビった。
「まぁ!臨のお友達がお見えなの?はじめまして!」
テンションの高い、どう見ても臨の姉にしか見えない母親に一哉はびっくりして腰がひけた。
「はじめまして。倉橋一哉です。お邪魔します」
一哉は緊張しながら挨拶する。
臨の母親はとても可愛くて人懐こい感じで、まるで少女がそのまま大人になったようだった。
「本当に母親?いくつだよ!」
臨の部屋に入ると一哉は堪らず聞いた。
「えーと、24歳で僕を産んでるから、もう41かな」
とても41には見えなかった。
「臨はお母さん似なんだな」
「うん。よく言われる。1番嫌なのは、ふたりでいると姉妹に見られるさ」
ムッとしながら臨は言うが、一哉は納得してしまった。
「臨ってひとりっ子なの?」
「ううん。弟がいる。それがさ、弟は父親似で僕と全く似てないんだ。でもね、弟の方が僕より上に見えるんだよね」
臨はどう見ても中学生か、女の子に見えるなと一哉は思ったが、気にしていると可哀想なので口には出さなかった。
「弟はいくつ?」
「中3。もう直ぐ部活も引退の受験生」
臨はそう言ってベッドに腰掛けた。
一哉もなんとなく臨の隣に腰掛けた。
「そうなんだ」
一哉が言うと臨は一哉を見つめる。
「か、一哉は?兄弟、いるの?」
側に一哉がいて、臨はなぜか顔が熱くなる。
「姉貴がいる。うちの附属の大学生。遊んでばっかで家にもほとんど帰ってこないけどね」
笑いながら一哉は言う。
一哉の笑顔をジッと臨が見ていると、その視線を一哉も気が付いた。
しばらく見つめ合うふたり。
「…………さっき、嫉妬したの、僕を友達だと思ってくれたからでしょ」
絢斗に嫉妬したことを蒸し返され一哉は赤面する。
「嫉妬して悪かったな」
一哉はそう言ってプイッと顔を横に向けた。
視線が外れて臨はズキンとする。
「嫉妬してくれて嬉しかったの!一哉が僕を必要としてくれて嬉しいの!」
臨が慌ててそう言うと、一哉は困った顔で臨を見る。
「もう、それ、ヤバいから。臨にそう言うこと言われると調子狂うんだよ」
髪を掻きながら一哉は言う。
「一哉?」
臨がジッと一哉を見つめる。一哉は頬を赤く染め臨の頬に触れる。
「……………クッソ!煽るなよッ!」
一哉はそう言うと、臨の唇を見つめながら顔を近付ける。
「臨!友達来てるんだって?」
ガチャっとノックもなしにドアが開いて、一哉はびっくりしてベッドから立ち上がった。その瞬発力は凄かった。
「あ、音お帰り。ってノックぐらいしてよッ」
臨は真っ赤な顔で動けず、それを言うのが精一杯だった。
弟の音がドアを開けなければ、自分と一哉はどうなっていたのか想像すると、臨はドキドキが止まらず声も震えてしまった。
「まぁ!臨のお友達がお見えなの?はじめまして!」
テンションの高い、どう見ても臨の姉にしか見えない母親に一哉はびっくりして腰がひけた。
「はじめまして。倉橋一哉です。お邪魔します」
一哉は緊張しながら挨拶する。
臨の母親はとても可愛くて人懐こい感じで、まるで少女がそのまま大人になったようだった。
「本当に母親?いくつだよ!」
臨の部屋に入ると一哉は堪らず聞いた。
「えーと、24歳で僕を産んでるから、もう41かな」
とても41には見えなかった。
「臨はお母さん似なんだな」
「うん。よく言われる。1番嫌なのは、ふたりでいると姉妹に見られるさ」
ムッとしながら臨は言うが、一哉は納得してしまった。
「臨ってひとりっ子なの?」
「ううん。弟がいる。それがさ、弟は父親似で僕と全く似てないんだ。でもね、弟の方が僕より上に見えるんだよね」
臨はどう見ても中学生か、女の子に見えるなと一哉は思ったが、気にしていると可哀想なので口には出さなかった。
「弟はいくつ?」
「中3。もう直ぐ部活も引退の受験生」
臨はそう言ってベッドに腰掛けた。
一哉もなんとなく臨の隣に腰掛けた。
「そうなんだ」
一哉が言うと臨は一哉を見つめる。
「か、一哉は?兄弟、いるの?」
側に一哉がいて、臨はなぜか顔が熱くなる。
「姉貴がいる。うちの附属の大学生。遊んでばっかで家にもほとんど帰ってこないけどね」
笑いながら一哉は言う。
一哉の笑顔をジッと臨が見ていると、その視線を一哉も気が付いた。
しばらく見つめ合うふたり。
「…………さっき、嫉妬したの、僕を友達だと思ってくれたからでしょ」
絢斗に嫉妬したことを蒸し返され一哉は赤面する。
「嫉妬して悪かったな」
一哉はそう言ってプイッと顔を横に向けた。
視線が外れて臨はズキンとする。
「嫉妬してくれて嬉しかったの!一哉が僕を必要としてくれて嬉しいの!」
臨が慌ててそう言うと、一哉は困った顔で臨を見る。
「もう、それ、ヤバいから。臨にそう言うこと言われると調子狂うんだよ」
髪を掻きながら一哉は言う。
「一哉?」
臨がジッと一哉を見つめる。一哉は頬を赤く染め臨の頬に触れる。
「……………クッソ!煽るなよッ!」
一哉はそう言うと、臨の唇を見つめながら顔を近付ける。
「臨!友達来てるんだって?」
ガチャっとノックもなしにドアが開いて、一哉はびっくりしてベッドから立ち上がった。その瞬発力は凄かった。
「あ、音お帰り。ってノックぐらいしてよッ」
臨は真っ赤な顔で動けず、それを言うのが精一杯だった。
弟の音がドアを開けなければ、自分と一哉はどうなっていたのか想像すると、臨はドキドキが止まらず声も震えてしまった。
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