甘い蜜と苦い蜜

五嶋樒榴

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柔らかな唇

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私たちは料理教室の後、キスをするのが日課になった。
涼香先生は女性しか愛せないレズビアンだけど、今は恋人がいないのだと教えてくれた。
「半年前に関係を解消したの。向こうの浮気が原因で」
涼香先生をフる女はどんな女か気になった。
でも、きっと素敵な人だったんだろうと想像した。
そう思うと、素敵な涼香先生が、年上の私なんかとキスしたいと思ってくれるのが不思議だった。
「私なんて、何も魅力もないのに、涼香先生のそばにいたいなんて、本当は図々しいって分かってるんです。でも、涼香先生にキスしてもらえるのが嬉しくて」
私は自分の真心を伝えていくしかないと思った。
「里緒奈さんはとっても素敵よ。可愛いし。だから、私も里緒奈さんとキスしたいのよ」
そう言って涼香先生は私にキスをする。
甘く蕩けるキスと、僅かなスキンシップ。
本当はもっと激しく胸を揉みしだかれたい。
涼香先生に直に触れて欲しい。
私の中の欲望は膨れ上がるばかりだった。
「私には、涼香先生しかいないんです。だから、ずっとそばにいさせてください」
私は涼香先生にすがりながら訴えた。
「大丈夫よ。私も里緒奈さんが大切なの。可愛くて堪らないの。好きよ」
好きよ、と言う言葉に私は嬉しくて心が痺れていた。
身体の芯も熱くなった。
でも、キス以上の関係は涼香先生は望んでいないのか、軽いスキンシップ以上は、その後も何もなかった。
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