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柔らかな唇
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次の日、涼香先生のアシスタントとして一緒に料理を楽しみ、生徒達を見送ると、リビングダイニングキッチンの全てに掃除機をかけた。
涼香先生はその間にシャワーを浴びる。
リビングに戻ってきた涼香先生は、冷蔵庫からガス入りのミネラルウォーターを出してグラスに注ぐと私にも渡した。
お互い向き合う形でソファに座った。
「お疲れ様。里緒奈さんがアシスタントに入ってくれると本当にスムーズだわ」
嬉しそうに涼香先生は言ってくれて、それが私の喜びにもなる。
「毎日お手伝いに来ましょうか?」
私がそう言うと涼香先生は首を振る。
「英太が絶対いない日だけを頼んでるの。あの時は勢いで言ってしまったけど、もうここには立ち入れないようにしたかったんだけど、正直そうも行かなくて。あいつに借金してるのよ。ここの運営資金をね」
確かに、このマンションだけでも相当な金額を毎月支払っているだろうと思った。
「お気遣いしてただいてありがとうございます」
私が言うと涼香先生は笑顔で首を振る。
「本当に気にしないで。里緒奈さんに来てもらいたいの。週に2回でも里緒奈さんと会えるの嬉しいのよ。私、こういう仕事のせいか外部と接触も少ないし、友達も少ないし。里緒奈さんの事はお友達だと思っているんだから」
涼香先生の言葉が嬉しすぎた。
必要とされているのが嬉しくて堪らなかった。
「私もずっと涼香先生のそばでお料理もしたいし、楽しく過ごしたいです。これからもよろしくお願いします!」
私がそう言うと、涼香先生は、綺麗な指を私の首筋に当てた。
その艶かしい動きにドキリとした。
「幸せそうね。ここ、付けられてるわよ」
微笑む涼香先生の顔を見て、触れられてる場所の意味が分かって私は恥ずかしくなった。
昨夜の夫との痕跡を涼香先生に見られてしまった。
「あ、いえ。そのッ」
私はとにかく恥ずかしくて俯いた。
顔が熱くて真っ赤になっているのが分かったから、涼香先生に見られるのが恥ずかしくてたまらなかった。
「いいじゃない。夫婦円満で」
涼香先生の言葉に私は首を振った。
「5年ぶりに夫と。ずっとセックスレスだったんです」
何を言い訳をしてるんだと思い、私はそのあとは口を噤んだ。
「セックスレスね。たまに聞くわ。私は結婚してないからわからないけど」
そうよね。
こんな素敵な人だもの。
結婚してなくて恋人とラブラブなら、セックスレスなんて知るわけがない。
「でもレスじゃなくなって良かったじゃない」
明るく涼香先生は言ってくれた。
「……………でも、夫には不倫相手がいるんです」
私の言葉に、涼香先生はびっくりした顔をする。
「本当に?」
「数ヶ月前に、ここにくるよりもずっと前に興信所に依頼して調べてもらいました。夫と同じ会社の人です。ダブル不倫ですけど、相手には子供はいなくて。私には娘もいるし、不倫を知ったところで離婚もできず、だったら女に使われるくらいならそのお金で私も好きにしようって決めて」
私は恥ずかしげもなく涼香先生に全てを話した。
「……………確かに私は夫とエッチはしたけど、もうしたくないと思いました。レスになってから愛情もなかったし、他の女を抱いてると知ってから、夫はお金だと思うようになったし」
何を赤裸々に語っているんだと思ったけど、私は止まらなかった。
誰にも相談できずに、誰にも話せず、話し始めたら止まらなくなった。
涼香先生は、私のそばによると優しく抱きしめてくれた。
「頑張ってきたのね!偉いじゃない!」
まるで子供に言うように涼香先生は私に言ってくれる。
涼香先生の胸は柔らかくて、まるで自分が本当に子供に返ったような気がした。
「最近、娘にも褒められること増えたんです。料理のこととか美容のこととか。涼香先生をお手本にしてるんですけど」
「そう言ってもらえると嬉しいな。里緒奈さんがイキイキとしてくれると私も嬉しいのよ」
涼香先生はそう言うと、私の頬を両手で包んだ。
見つめ合うとドキドキした。
女同士でって思いながらも、私は涼香先生を見つめた。
「もっと素敵な女性になれるもの」
涼香先生はそう言うと、私の唇に、柔らかい唇を重ねて来た。
涼香先生はその間にシャワーを浴びる。
リビングに戻ってきた涼香先生は、冷蔵庫からガス入りのミネラルウォーターを出してグラスに注ぐと私にも渡した。
お互い向き合う形でソファに座った。
「お疲れ様。里緒奈さんがアシスタントに入ってくれると本当にスムーズだわ」
嬉しそうに涼香先生は言ってくれて、それが私の喜びにもなる。
「毎日お手伝いに来ましょうか?」
私がそう言うと涼香先生は首を振る。
「英太が絶対いない日だけを頼んでるの。あの時は勢いで言ってしまったけど、もうここには立ち入れないようにしたかったんだけど、正直そうも行かなくて。あいつに借金してるのよ。ここの運営資金をね」
確かに、このマンションだけでも相当な金額を毎月支払っているだろうと思った。
「お気遣いしてただいてありがとうございます」
私が言うと涼香先生は笑顔で首を振る。
「本当に気にしないで。里緒奈さんに来てもらいたいの。週に2回でも里緒奈さんと会えるの嬉しいのよ。私、こういう仕事のせいか外部と接触も少ないし、友達も少ないし。里緒奈さんの事はお友達だと思っているんだから」
涼香先生の言葉が嬉しすぎた。
必要とされているのが嬉しくて堪らなかった。
「私もずっと涼香先生のそばでお料理もしたいし、楽しく過ごしたいです。これからもよろしくお願いします!」
私がそう言うと、涼香先生は、綺麗な指を私の首筋に当てた。
その艶かしい動きにドキリとした。
「幸せそうね。ここ、付けられてるわよ」
微笑む涼香先生の顔を見て、触れられてる場所の意味が分かって私は恥ずかしくなった。
昨夜の夫との痕跡を涼香先生に見られてしまった。
「あ、いえ。そのッ」
私はとにかく恥ずかしくて俯いた。
顔が熱くて真っ赤になっているのが分かったから、涼香先生に見られるのが恥ずかしくてたまらなかった。
「いいじゃない。夫婦円満で」
涼香先生の言葉に私は首を振った。
「5年ぶりに夫と。ずっとセックスレスだったんです」
何を言い訳をしてるんだと思い、私はそのあとは口を噤んだ。
「セックスレスね。たまに聞くわ。私は結婚してないからわからないけど」
そうよね。
こんな素敵な人だもの。
結婚してなくて恋人とラブラブなら、セックスレスなんて知るわけがない。
「でもレスじゃなくなって良かったじゃない」
明るく涼香先生は言ってくれた。
「……………でも、夫には不倫相手がいるんです」
私の言葉に、涼香先生はびっくりした顔をする。
「本当に?」
「数ヶ月前に、ここにくるよりもずっと前に興信所に依頼して調べてもらいました。夫と同じ会社の人です。ダブル不倫ですけど、相手には子供はいなくて。私には娘もいるし、不倫を知ったところで離婚もできず、だったら女に使われるくらいならそのお金で私も好きにしようって決めて」
私は恥ずかしげもなく涼香先生に全てを話した。
「……………確かに私は夫とエッチはしたけど、もうしたくないと思いました。レスになってから愛情もなかったし、他の女を抱いてると知ってから、夫はお金だと思うようになったし」
何を赤裸々に語っているんだと思ったけど、私は止まらなかった。
誰にも相談できずに、誰にも話せず、話し始めたら止まらなくなった。
涼香先生は、私のそばによると優しく抱きしめてくれた。
「頑張ってきたのね!偉いじゃない!」
まるで子供に言うように涼香先生は私に言ってくれる。
涼香先生の胸は柔らかくて、まるで自分が本当に子供に返ったような気がした。
「最近、娘にも褒められること増えたんです。料理のこととか美容のこととか。涼香先生をお手本にしてるんですけど」
「そう言ってもらえると嬉しいな。里緒奈さんがイキイキとしてくれると私も嬉しいのよ」
涼香先生はそう言うと、私の頬を両手で包んだ。
見つめ合うとドキドキした。
女同士でって思いながらも、私は涼香先生を見つめた。
「もっと素敵な女性になれるもの」
涼香先生はそう言うと、私の唇に、柔らかい唇を重ねて来た。
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