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母は強くなる
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緊張の対面は、本当に最初の1時間ぐらいだった。
気がつけば麻奈はエプロンをして、涼香先生と一緒にパンケーキを作っていた。
「ママ、見て見て!お店のパンケーキみたいにフワフワだよぉ」
皿を揺らしながら楽しそうに麻奈は言う。
「麻奈ちゃんとてもお料理上手よ。里緒奈さんより上達早いかも」
涼香先生が褒めてくれるので、麻奈はすっかり上機嫌だった。
涼香先生が麻奈のために、大好物のグラタンとスモークサーモンの手毬ずしと海老マヨまで作ってくれていた。
しかもそれらが全てセンス良く彩りよく盛り付けをされていて、最初は麻奈も食べるのを戸惑っていた。
そして食後のパンケーキも、生クリームたっぷりにフルーツを飾り付けたのは、涼香先生にアドバイスを受け麻奈が全てひとりでやっていた。
女同士の楽しい食事会は、料理や美容の話で盛り上がり本当に楽しい時間だった。
私がお礼にキッチンで片付けをしていると、涼香先生と麻奈は恋話をしていた。
麻奈に中学に入ってから、ボーイフレンドができた事は私も知っている。
部活の先輩に告白されたと言っていた。
スマホで写真も見せてもらったが、なかなか爽やかな優しそうな子だったので、見守る事にして余計な事は言っていない。
「カッコいい子ね。でもママを心配かけるような事はしたらダメよ」
やんわりと涼香先生は麻奈に釘を刺してくれた。
「はぁい。いつか涼香先生にも紹介しても良い?実物を見てもらって、ジャッジして」
ふふふと笑いながら麻奈は言っている。
「良いわよー。でも、私、厳しいわよ。覚悟しておくように彼にも言っておいてね。大事な麻奈ちゃんに相応しくなかったらー」
「相応しくなかったら?」
「私が徹底的に教育します!」
涼香先生がそう言うと麻奈は大声で笑う。
こんな風に穏やかな時間を過ごすのは、本当に涼香先生のおかげだと感謝した。
「随分騒がしいね」
リビングのドアが開いて、私はそっちを見た。
英太さんが立っていてびっくりした。
「あら、今日はどうしたの?」
涼香先生が言うと英太さんが笑う。
「忘れ物を取りに来たんだよ」
楽しそうに英太さんは私と麻奈を見た。
「涼香先生の弟の英太さんよ。娘の麻奈です」
私が麻奈に言うと、麻奈はにっこり笑って英太さんに挨拶をした。
「可愛いね。里緒奈さんに似てるけど、里緒奈さんより美人になりそうだ」
英太さんの言葉に私はムッとしたが、麻奈は嬉しそうな顔をした。
「忘れ物って?もう荷物は全部運んだでしょ?あなたの部屋に何もないわよ」
英太さんは最近本気の恋人が出来て、他にマンションを借り始めた。
「こっちの部屋にね。通帳忘れた」
そう言って、事務所的に使っている部屋に入って行った。
用が済んだのか、英太さんは出てくると麻奈を見つめた。
「これからも姉貴と仲良くしてね。俺の部屋使ってもいいよ」
英太さんがそう言うと麻奈は笑った。
「本当?じゃあ、お泊まりに来ちゃおうかな!」
楽しそうに無邪気に麻奈は言う。私は内心ハラハラした。
「じゃあ、また帳簿見に来るよ。またね。あ、そうだ。里緒奈さん、ちょっと」
私は英太さんに声を掛けられて、リビングを出て玄関に向かった。
「来てると思わないからビビった。でも最近、姉貴の電話の声が機嫌良かったのも頷ける」
クスクス笑いながら英太さんは言う。
「もしこの先何かあればこの家に娘と来れば良い。姉貴が幸せになるなら、俺は何も言う事ないから」
何かあればとは、夫との離婚を示唆してるのだろうと思った。
「英太さん。娘を連れてこれたのも英太さんのおかげなの。私、娘とも涼香先生と仲良くして欲しいから」
私が言うと英太さんは満足そうに頷いて帰って行った。
気がつけば麻奈はエプロンをして、涼香先生と一緒にパンケーキを作っていた。
「ママ、見て見て!お店のパンケーキみたいにフワフワだよぉ」
皿を揺らしながら楽しそうに麻奈は言う。
「麻奈ちゃんとてもお料理上手よ。里緒奈さんより上達早いかも」
涼香先生が褒めてくれるので、麻奈はすっかり上機嫌だった。
涼香先生が麻奈のために、大好物のグラタンとスモークサーモンの手毬ずしと海老マヨまで作ってくれていた。
しかもそれらが全てセンス良く彩りよく盛り付けをされていて、最初は麻奈も食べるのを戸惑っていた。
そして食後のパンケーキも、生クリームたっぷりにフルーツを飾り付けたのは、涼香先生にアドバイスを受け麻奈が全てひとりでやっていた。
女同士の楽しい食事会は、料理や美容の話で盛り上がり本当に楽しい時間だった。
私がお礼にキッチンで片付けをしていると、涼香先生と麻奈は恋話をしていた。
麻奈に中学に入ってから、ボーイフレンドができた事は私も知っている。
部活の先輩に告白されたと言っていた。
スマホで写真も見せてもらったが、なかなか爽やかな優しそうな子だったので、見守る事にして余計な事は言っていない。
「カッコいい子ね。でもママを心配かけるような事はしたらダメよ」
やんわりと涼香先生は麻奈に釘を刺してくれた。
「はぁい。いつか涼香先生にも紹介しても良い?実物を見てもらって、ジャッジして」
ふふふと笑いながら麻奈は言っている。
「良いわよー。でも、私、厳しいわよ。覚悟しておくように彼にも言っておいてね。大事な麻奈ちゃんに相応しくなかったらー」
「相応しくなかったら?」
「私が徹底的に教育します!」
涼香先生がそう言うと麻奈は大声で笑う。
こんな風に穏やかな時間を過ごすのは、本当に涼香先生のおかげだと感謝した。
「随分騒がしいね」
リビングのドアが開いて、私はそっちを見た。
英太さんが立っていてびっくりした。
「あら、今日はどうしたの?」
涼香先生が言うと英太さんが笑う。
「忘れ物を取りに来たんだよ」
楽しそうに英太さんは私と麻奈を見た。
「涼香先生の弟の英太さんよ。娘の麻奈です」
私が麻奈に言うと、麻奈はにっこり笑って英太さんに挨拶をした。
「可愛いね。里緒奈さんに似てるけど、里緒奈さんより美人になりそうだ」
英太さんの言葉に私はムッとしたが、麻奈は嬉しそうな顔をした。
「忘れ物って?もう荷物は全部運んだでしょ?あなたの部屋に何もないわよ」
英太さんは最近本気の恋人が出来て、他にマンションを借り始めた。
「こっちの部屋にね。通帳忘れた」
そう言って、事務所的に使っている部屋に入って行った。
用が済んだのか、英太さんは出てくると麻奈を見つめた。
「これからも姉貴と仲良くしてね。俺の部屋使ってもいいよ」
英太さんがそう言うと麻奈は笑った。
「本当?じゃあ、お泊まりに来ちゃおうかな!」
楽しそうに無邪気に麻奈は言う。私は内心ハラハラした。
「じゃあ、また帳簿見に来るよ。またね。あ、そうだ。里緒奈さん、ちょっと」
私は英太さんに声を掛けられて、リビングを出て玄関に向かった。
「来てると思わないからビビった。でも最近、姉貴の電話の声が機嫌良かったのも頷ける」
クスクス笑いながら英太さんは言う。
「もしこの先何かあればこの家に娘と来れば良い。姉貴が幸せになるなら、俺は何も言う事ないから」
何かあればとは、夫との離婚を示唆してるのだろうと思った。
「英太さん。娘を連れてこれたのも英太さんのおかげなの。私、娘とも涼香先生と仲良くして欲しいから」
私が言うと英太さんは満足そうに頷いて帰って行った。
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