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●終の住処●

エピローグ

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東京に戻り、健は自宅マンションの自分の部屋に入った。
ホッとしてスーツを脱ぐとシャワーを浴びにバスルームに向かった。

「帰っていたのか」

廊下に出ると、丁度葵も帰宅して来た。

「ええ。お帰りなさい」

「お前もご苦労だったな。メールを読んで驚いたよ。深海先生に何事もなくて良かった」

葵がホッとすると健は微笑む。

「良い人だね、深海さん。今日1日一緒に過ごせて良かった」

「そうか?俺がガキの頃は怖い先生で有名だったぞ」

葵は顰めっ面をする。

「それは親父がとんでもねーガキだったからでしょ?」

葵はふふふと笑い、リビングのドアを開けると健に振り返った。

「お前が終わったら俺も風呂に入る」

健はシャワーだけで済ませる予定だったので、風呂に湯を入れるのが面倒だなと舌打ちする。

「その後少し飲まないか?」

葵の誘いに健は笑う。

「起きていられたらね」

健はバスルームに入り、バスタブの栓をすると湯張りボタンを押した。


 あいつに全てを奪われたからさ。


桑畑の声が健の頭の中で響く。

「そうだね。奪われたら、許せない」

健はポツリと呟くと、バスタブのヘリをグッと握った。
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