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●人生の墓場●
エピローグ
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健はオフィスで書類に目を通していた。
内容は、蓮司が調べた沢井の調査報告書。
沢井と文香が知り合ったのは、30年前の文香の事故の時で、文香が入院中、リハビリを担当したのが理学療法士の沢井だった。
ただ、いつから文香が沢井と特別な関係になったのかまでは調査できていない。あくまでも、男女の関係にあるのでは、と言う想像の域だった。
しかし、文香が健に隠しておきたいことはこの事だったんだと理解した。
子供の頃から慕ってくれた、可愛い健に知られたくなかった秘密。健の前では、不貞行為を犯す女の顔を見せたくなかったのだと思った。
いずれ分かってしまうとしても、まさか健が、沢井のことを調べるとは文香は思っていない。
「親父は昔から知っていたんですか?」
蓮司の報告書を持って健は葵に尋ねる。
葵は報告書を手に取って眺めるとフッと笑った。
文香と沢井が関係していた事を知っていた顔だった。
「30年前じゃ、俺だってまだ高校生だぞ。この当時、文香叔母さんがこの男と何かあったかなんて知るわけがない」
確かに葵がその当時、全てを知って文香をサポートするには若すぎて無理がある。
そうなると、沢井と出会った事で、離婚に前向きになった文香自身が、自ら知識を得ていったとしか思えない。
智和も、半身不随の車椅子生活を送っていると思っていた文香が、まさか実はリハビリと称して男と逢瀬を重ねていたとは気付くはずもなかった。
そして、離婚した今となっては、何もかもが終わったのだ。
「文香さんは再婚するんですかね?」
「さあね。でも本気でその沢井という男と再婚するつもりがあるなら、もっと早くに的場と離婚していただろ」
確かに泥沼になったとしても、全てを捨ててでも、結婚する意思があればもうとっくに文香は離婚していたはずだ。
しかし結婚という選択肢よりも、自分の人生を謳歌する事に、文香はきっと目覚めたんだなと健は納得した。
「人間、自由が1番なんだよ」
葵が言うと説得力がある。自由奔放に生きているから。
「そうですね。同意です。あ、これは先日お見せした分の追加です」
健はもう1つの、大知が再び調べた厚みのあるファイルに入った報告書を葵に渡す。
「思ったよりも早くに真実が見えてきました」
「……いよいよか」
葵はその報告書の中の、水島弥之と言う名前をジッと見つめる。
健は腕を組んで頷くと、葵の背にある、大きな窓ガラスから見える青空を眺めた。
内容は、蓮司が調べた沢井の調査報告書。
沢井と文香が知り合ったのは、30年前の文香の事故の時で、文香が入院中、リハビリを担当したのが理学療法士の沢井だった。
ただ、いつから文香が沢井と特別な関係になったのかまでは調査できていない。あくまでも、男女の関係にあるのでは、と言う想像の域だった。
しかし、文香が健に隠しておきたいことはこの事だったんだと理解した。
子供の頃から慕ってくれた、可愛い健に知られたくなかった秘密。健の前では、不貞行為を犯す女の顔を見せたくなかったのだと思った。
いずれ分かってしまうとしても、まさか健が、沢井のことを調べるとは文香は思っていない。
「親父は昔から知っていたんですか?」
蓮司の報告書を持って健は葵に尋ねる。
葵は報告書を手に取って眺めるとフッと笑った。
文香と沢井が関係していた事を知っていた顔だった。
「30年前じゃ、俺だってまだ高校生だぞ。この当時、文香叔母さんがこの男と何かあったかなんて知るわけがない」
確かに葵がその当時、全てを知って文香をサポートするには若すぎて無理がある。
そうなると、沢井と出会った事で、離婚に前向きになった文香自身が、自ら知識を得ていったとしか思えない。
智和も、半身不随の車椅子生活を送っていると思っていた文香が、まさか実はリハビリと称して男と逢瀬を重ねていたとは気付くはずもなかった。
そして、離婚した今となっては、何もかもが終わったのだ。
「文香さんは再婚するんですかね?」
「さあね。でも本気でその沢井という男と再婚するつもりがあるなら、もっと早くに的場と離婚していただろ」
確かに泥沼になったとしても、全てを捨ててでも、結婚する意思があればもうとっくに文香は離婚していたはずだ。
しかし結婚という選択肢よりも、自分の人生を謳歌する事に、文香はきっと目覚めたんだなと健は納得した。
「人間、自由が1番なんだよ」
葵が言うと説得力がある。自由奔放に生きているから。
「そうですね。同意です。あ、これは先日お見せした分の追加です」
健はもう1つの、大知が再び調べた厚みのあるファイルに入った報告書を葵に渡す。
「思ったよりも早くに真実が見えてきました」
「……いよいよか」
葵はその報告書の中の、水島弥之と言う名前をジッと見つめる。
健は腕を組んで頷くと、葵の背にある、大きな窓ガラスから見える青空を眺めた。
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