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●アンビバレント●
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健は自分の車に行くとトランクを開けた。
そして段ボール箱に入った、土で汚れたビニール袋の中を蓮司に見せる。
プラスチックの容器の中に、お菓子が入っていたと思われる四角い錆びた缶が二つ。
「これ、俺のだ。俺と賢一郎のだ」
蓮司は目を丸くして驚く。
それぞれの缶の蓋の上に、名前が書いてあるシールが貼っていた。滲んではいたが、辛うじて読むことができた。
「やっぱりお前が呉田蓮司だったのか。家を解体して庭の木や石を退けていたらこれが出てきたそうだ」
まさに今、探していた物だった。
まさか掘り起こされていたとは思わなかった。
「勝手に処分する訳にも行かなくて、お前の物か確認してからと思ってね」
健はプラスチックの容器を開け、蓮司の名前が書いてある錆びた缶の箱を手渡した。
「そっちは賢一郎のだ。賢一郎のおじいさんの家に行ってきた。それは俺が渡すよ」
「賢一郎君の現在は分かったのか?」
蓮司が賢一郎の家に行ったと知り、蓮司が何か話が聞けたのかと健は探ろうとする。
「分かったけど、それ以外には何も。賢一郎は両親と仲が良かった。特に母親とは、まるで恋人同士のようにね」
「恋人同士?何だそれは」
「賢一郎のスマホを見たんだよ。母親の写真が沢山残っていた。ツーショットまであって。賢一郎がマザコンだったとは意外だったよ」
蓮司の言葉に、健はそういう事かと唇を歪めた。
「……それがこれの答えだったのか」
先に賢一郎のタイムカプセルの中を見ていた健は、納得したように缶の蓋を開けた。
その中には、賢一郎の祖父が見つけられなかった写真が、地中で水浸しにならないように入れられた保存袋の中に、ぎっしりと詰まっていた。
そして段ボール箱に入った、土で汚れたビニール袋の中を蓮司に見せる。
プラスチックの容器の中に、お菓子が入っていたと思われる四角い錆びた缶が二つ。
「これ、俺のだ。俺と賢一郎のだ」
蓮司は目を丸くして驚く。
それぞれの缶の蓋の上に、名前が書いてあるシールが貼っていた。滲んではいたが、辛うじて読むことができた。
「やっぱりお前が呉田蓮司だったのか。家を解体して庭の木や石を退けていたらこれが出てきたそうだ」
まさに今、探していた物だった。
まさか掘り起こされていたとは思わなかった。
「勝手に処分する訳にも行かなくて、お前の物か確認してからと思ってね」
健はプラスチックの容器を開け、蓮司の名前が書いてある錆びた缶の箱を手渡した。
「そっちは賢一郎のだ。賢一郎のおじいさんの家に行ってきた。それは俺が渡すよ」
「賢一郎君の現在は分かったのか?」
蓮司が賢一郎の家に行ったと知り、蓮司が何か話が聞けたのかと健は探ろうとする。
「分かったけど、それ以外には何も。賢一郎は両親と仲が良かった。特に母親とは、まるで恋人同士のようにね」
「恋人同士?何だそれは」
「賢一郎のスマホを見たんだよ。母親の写真が沢山残っていた。ツーショットまであって。賢一郎がマザコンだったとは意外だったよ」
蓮司の言葉に、健はそういう事かと唇を歪めた。
「……それがこれの答えだったのか」
先に賢一郎のタイムカプセルの中を見ていた健は、納得したように缶の蓋を開けた。
その中には、賢一郎の祖父が見つけられなかった写真が、地中で水浸しにならないように入れられた保存袋の中に、ぎっしりと詰まっていた。
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