インシデント~楜沢健の非日常〜

五嶋樒榴

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●愛したのが始まり●

2-4

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今までオフィスでしていた仕事の引き継ぎが全て終わると、静真は祥子のボディガードとなり、昼間は年老いた道子の手伝いで糸坂家の仕事をするようになった。

「こんなに上手くいくと思わなかった」

ベッドで裸で抱き合いながら、祥子は静真に微笑む。

「何が?」

訳が分からず静真は尋ねる。

「私ね、静真ともっと一緒にいたくて、ある事を考えたの。お父さんって本当に恨まれてるのよ。色んな人からね。敵が多いの」

祥子が、あの怪文書の事を言っているんだとそれだけは理解した。
ただ、ある考えとは何かが分からない。

「私の母もその1人よ。母もお父さんを憎んでた。お父さんの女癖の悪さのせいで、母は私を置いて追い出されるように出て行ったわ。だから、誰がこの家を狙っても不思議じゃない」

1人で語る祥子に、静真は余計に何が言いたいのか分からない。
静真の顔を見て、祥子はクスリと笑う。

「まだ分からない?静真が私のボディガードになれた理由よ」

「え?」

「私が仕組んだの。差出人が誰とも分からない脅迫文をお父さんに送りつけて、静真が私のボディガードになるように頼んだの」

祥子の仕業だと分かり静真は驚く。

「私、もっと静真とたくさん会いたいの。だからダメ元でアレをお父さんに送ったのよ」

祥子の告白に静真は納得すると微笑む。
怪文書の出どころがわかって本当に安心した。

「悪い子だ。でも、成功して良かった」

静真は祥子にキスをする。

「ねぇ、私が大学を卒業したら私たちの関係をお父さんに話しましょう。反対されたらこの家を出ても良いわ」

祥子の目は本気だった。

「ああ。俺もそれまでにもっと頑張るよ。これからも祥子を大切にするよ」

静真は祥子を抱きしめる。祥子も静真に抱きつく。
触れ合う肌が激しく熱を帯びるほど、2人は溶け合うように愛し合った。
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