135 / 206
●愛したのが始まり●
4-2
しおりを挟む
糸坂は真っ青な顔で健をただ睨む。
「21年前の7月、あんたは娘が誘拐されたと、俺たちの父親を犯人に仕立てた。まだ1歳になったばかりだったあんたの娘は、何故か俺たちの家の押し入れから見つかった。そして父親の事は、自殺に見せかけてあんたが殺したんだろ?」
報道では、健と静真の父は警察の手から逃れるために逃亡し、投身自殺を図ったとされている。
「な、何を言ってるんだ!お前の父親が金欲しさに祥子を誘拐したんじゃないか!俺は被害者だッ!」
実際は、弥之への積年の嫉妬と弥之の妻、雛絵への欲情を、弥之を陥れる事で手に入れる事を実行した。
前もって弥之の家の鍵を入手して合鍵を作り、家に誰もいない時に祥子を押し入れに置き去りにするのはさして難しい事ではなかった。
その結果、水島家は糸坂の手で全てを奪われた。
「しらばっくれんなよ。会社の金を私利私欲に使っていたのはあんただろ?」
射るような目つきで健は糸坂を見る。その目は憎しみに溢れていた。
「楜沢の親父に聞いたよ。親父は父親と幼馴染だったんだ」
葵と水島の間に、そんな繋がりがあったのかと糸坂は震える。
「父親は死ぬ直前、大阪にいた親父にあんたの悪事を全て話していたんだよ。まさか親父も、父親が投身自殺に見せかけて殺されることも、母親までを毒牙にかけようと目論んでいた事も知らなかったけどな」
糸坂が追い詰めて殺す前に、まさか弥之が葵に連絡を取っていたとは知らなかった。
そしてこの婚約も、全て復讐のために仕組まれていたのかと初めて気がついた。
あの怪文書も健の仕業だと糸坂は思った。
「あの脅迫まがいの怪文書も貴様のせいかッ!石浜を使って俺に復讐するつもりだったのか!」
糸坂が何を喚き出したのか分からず、健は怪訝そうな顔になる。
怪文書は祥子が用意した物であって、健が知らないのも当然だった。
「怪文書?なんのことだ?」
健の態度から違うと分かり、糸坂は他にも自分を狙う輩がいることに、そして目の前の健が脅威に思えた。
「21年前の7月、あんたは娘が誘拐されたと、俺たちの父親を犯人に仕立てた。まだ1歳になったばかりだったあんたの娘は、何故か俺たちの家の押し入れから見つかった。そして父親の事は、自殺に見せかけてあんたが殺したんだろ?」
報道では、健と静真の父は警察の手から逃れるために逃亡し、投身自殺を図ったとされている。
「な、何を言ってるんだ!お前の父親が金欲しさに祥子を誘拐したんじゃないか!俺は被害者だッ!」
実際は、弥之への積年の嫉妬と弥之の妻、雛絵への欲情を、弥之を陥れる事で手に入れる事を実行した。
前もって弥之の家の鍵を入手して合鍵を作り、家に誰もいない時に祥子を押し入れに置き去りにするのはさして難しい事ではなかった。
その結果、水島家は糸坂の手で全てを奪われた。
「しらばっくれんなよ。会社の金を私利私欲に使っていたのはあんただろ?」
射るような目つきで健は糸坂を見る。その目は憎しみに溢れていた。
「楜沢の親父に聞いたよ。親父は父親と幼馴染だったんだ」
葵と水島の間に、そんな繋がりがあったのかと糸坂は震える。
「父親は死ぬ直前、大阪にいた親父にあんたの悪事を全て話していたんだよ。まさか親父も、父親が投身自殺に見せかけて殺されることも、母親までを毒牙にかけようと目論んでいた事も知らなかったけどな」
糸坂が追い詰めて殺す前に、まさか弥之が葵に連絡を取っていたとは知らなかった。
そしてこの婚約も、全て復讐のために仕組まれていたのかと初めて気がついた。
あの怪文書も健の仕業だと糸坂は思った。
「あの脅迫まがいの怪文書も貴様のせいかッ!石浜を使って俺に復讐するつもりだったのか!」
糸坂が何を喚き出したのか分からず、健は怪訝そうな顔になる。
怪文書は祥子が用意した物であって、健が知らないのも当然だった。
「怪文書?なんのことだ?」
健の態度から違うと分かり、糸坂は他にも自分を狙う輩がいることに、そして目の前の健が脅威に思えた。
0
あなたにおすすめの小説
剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―
三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】
明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。
維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。
密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。
武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。
※エブリスタでも連載中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。
この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる