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wine
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23時過ぎには、もう店に客は誰も居なかった。旬はテーブルを全て拭き終わり、洗い物を始めた。
「旬、今夜はもう上がっていいよ。良かったらこれ、彼女と」
颯人が残していったバローロを旬に渡した。
「良いんですか?こんなに高価なワイン」
びっくりしながら旬は紙袋に入れてくれたバローロを受け取る。
「今夜は特別。幸せのお裾分けだよ」
旬は礼を言いながら頭を下げバーを後にした。
0時少し前に、重厚なドアが開いた。
「こんばんは。もう、終わりかしら?クローズは出てたけど、ドアの横の灯りが点いてたから入ってきちゃった」
遠慮がちにしほなが店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ。きっといらっしゃると思ってお待ちしてました。もうすぐ12時。逆シンデレラですね」
麗しい微笑みでマスターはしほなを誘う。しほはは照れ笑いをした。マフラーを外しコートを脱ぎながらしほなは尋ねる。
「旬君はもう帰ったの?」
もうマスターしか居ないので、初めて店に2人きりになってしほなは胸の鼓動が高鳴る。
「マスターももう帰るところよね。ごめんなさい」
恐縮するしほなにマスターは優しく微笑む。しほなのマフラーとコートをクローゼットにしまう。
「旬は早目に帰しました。せっかくのクリスマスイブですし。それにさっきも言いましたよ。しほなさんをお待ちしてました」
笑顔だけど射るような瞳でマスターはしほなに言う。しほなはその瞳に釘付けになる。
「さあ、座って」
マスターはしほなの背後に回ると、しほなを椅子に腰掛けさせた。スマートな動きにしほなは緊張してしまった。
「どうして私が来るって思ったの?」
しほなの問いには微笑みではぐらかす。
でもこんな素敵な夜に、問い詰めるのも無粋と思いしほなも微笑んだ。
マスターはワイングラスを二脚とバローロをカウンターに置いた。
「今から聖夜によく似合う素敵な恋のお話を、これを飲みながら聞いて頂けませんか?主人公の王は強健な肉体を持ちながら繊細な心を持ち、その王に見染められた美しい女性は、姿形だけでなく心も美しい。そして二人を結びつけた純真無垢なとても可愛いキューピッドが登場する、とても素敵な恋のお話です」
そう言うと、マスターはワインを注ぎ2人はグラスを重ねた。
「メリークリスマス」
「メリークリスマス」
バローロと共に聖なる夜は静かに流れていった。
再び巡る季節のように、新たな恋の始まりは、そっと近づいているのかもしれない。
「旬、今夜はもう上がっていいよ。良かったらこれ、彼女と」
颯人が残していったバローロを旬に渡した。
「良いんですか?こんなに高価なワイン」
びっくりしながら旬は紙袋に入れてくれたバローロを受け取る。
「今夜は特別。幸せのお裾分けだよ」
旬は礼を言いながら頭を下げバーを後にした。
0時少し前に、重厚なドアが開いた。
「こんばんは。もう、終わりかしら?クローズは出てたけど、ドアの横の灯りが点いてたから入ってきちゃった」
遠慮がちにしほなが店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ。きっといらっしゃると思ってお待ちしてました。もうすぐ12時。逆シンデレラですね」
麗しい微笑みでマスターはしほなを誘う。しほはは照れ笑いをした。マフラーを外しコートを脱ぎながらしほなは尋ねる。
「旬君はもう帰ったの?」
もうマスターしか居ないので、初めて店に2人きりになってしほなは胸の鼓動が高鳴る。
「マスターももう帰るところよね。ごめんなさい」
恐縮するしほなにマスターは優しく微笑む。しほなのマフラーとコートをクローゼットにしまう。
「旬は早目に帰しました。せっかくのクリスマスイブですし。それにさっきも言いましたよ。しほなさんをお待ちしてました」
笑顔だけど射るような瞳でマスターはしほなに言う。しほなはその瞳に釘付けになる。
「さあ、座って」
マスターはしほなの背後に回ると、しほなを椅子に腰掛けさせた。スマートな動きにしほなは緊張してしまった。
「どうして私が来るって思ったの?」
しほなの問いには微笑みではぐらかす。
でもこんな素敵な夜に、問い詰めるのも無粋と思いしほなも微笑んだ。
マスターはワイングラスを二脚とバローロをカウンターに置いた。
「今から聖夜によく似合う素敵な恋のお話を、これを飲みながら聞いて頂けませんか?主人公の王は強健な肉体を持ちながら繊細な心を持ち、その王に見染められた美しい女性は、姿形だけでなく心も美しい。そして二人を結びつけた純真無垢なとても可愛いキューピッドが登場する、とても素敵な恋のお話です」
そう言うと、マスターはワインを注ぎ2人はグラスを重ねた。
「メリークリスマス」
「メリークリスマス」
バローロと共に聖なる夜は静かに流れていった。
再び巡る季節のように、新たな恋の始まりは、そっと近づいているのかもしれない。
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