2人ではじめる異世界無双~無限の魔力と最強知識のコンビは異世界をマッハで成り上がります〜

こんぺいとー

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プロローグ──2人ではじめる異世界生活

転生なのにチュートリアルはないらしい

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信じている。
地を這いずり、泥を啜って生きている自分にも、きっと形勢逆転一転攻勢のチャンスがあると。

いつか、いつか必ず目にもの見せてやると──。

そう──誓っていたのに。

「逃げなさい!!」

残酷なまでの赤が、暗い暗い闇に未来を閉ざした。
ここでお前は終わりなのだと、嗤う声が聞こえる。

「逃げなさい!!」

逃げてなんになるというのか?
既にこの教会は地獄と化した。
逃げたってその先にはまた地獄だ。
要するに、無駄。全てが無駄なのだ。

「逃げな────ぁ」

あぁ、死んだのか。 
この優しい人も、ついに死んでしまったのか。
黙って隠れていればいいものを、自分のことを省みずにした行動の結果がこれか。

神とはなんなのだろう。
このような善良な者を救わぬ神など、果たして存在していて良いのか。

いや──あるいは。
この目の前の地獄を作った闇が、神のそれを超えているのか。

ともかく、先程まで確かにそこにいた人間は今無に帰したのだ。

……そしてきっと、自分も。
これから──。

どうせ、どうせ死んでしまうのなら。
最後に一泡吹かせてやろう、と。

震えて言うことを聞かない足を叩いて、ひたすらに走った。

奥へ、奥へ。

この残虐な影の踊る地獄から、逃げることなど到底かなわない。それは分かっている。

それでも走って、走って、走った。
助かる確率は、一パーセントにも満たないだろう。
だがそのリスクで何かがこぼれ落ちるほど、たくさんのものをもう自分は持っていない。

たどり着いた黒く光る魔法陣の前で、とっくに枯れた喉から必死で声を絞り出す。

さぁ、この地獄を作った者よ。
今度はお前が地獄を見る番だ。

魔法陣と短い詠唱によって構築された式は、瞬く間に光を呑み込んで──その静寂の暗闇に、全てを託してゆるやかに融けた。



■ ■ ■

「……あ? なんだこれ」

──まだ夢を見ているようだ。
そう篠崎 輝しのさき てるの脳は判断した。

教会らしき建物の中で、人々がなすすべなく黒い影に惨殺されている。
あまりにもファンタジーで作り物の話らしく、それが現実であるはずがなかった。

「う、ううん……」

だが同時に、ただの夢だと片付けて二度寝を決め込むにはいささか勇気が足りなかった。
夢にしては妙にリアルで、輝の足は震えた。

「……な? え、こ、これって……お、女ッ!?」

下を向いた瞬間に見えた、自分の体。
顔にかかるしなやかな金の髪。どう考えてもあるはずのない、慎ましやかながら存在感のある胸。
とにかく、女だった。

「流石にこれは夢だろ……?」

よくよく聞けば声も幼く可愛らしいものになっていて、全く気味が悪かった。
自分が全く別の器に入り込んでいるのが、どうにも居心地が悪くて体を抱えてその柔らかさに赤面する。

「だぁぁあ、くそっ」

ともかく、こんな血みどろな場所にいてはどうしようもない。
何かしらの逃げる算段を探らねばなるまい。

『あー、あー、聞こえる?』

「へ!? だ、誰!? それに一体どこから……!」

周りを見渡しても、影から悲鳴をあげて逃げ惑う人々のみ。
こんな風に悠長に話しかけてきそうな者は、輝の視界のどこにもいない。

『アナタの心の中から直接話しかけてるの。それ、元は私の体だしね』

「この体……あぁ、そういうことか」

つまり、輝は知らぬ間に誰かさんに憑依していたということだ。
そして、ここまで話が綿密に作られているとなれば───。

「うーん、夢、じゃないな……これ」

夢というのはもっと荒唐無稽なものだ。
少なくとも、輝のようなテキトーな者が見る夢はそうだった。

『君、魔王じゃないよね? 言動が明らかにおかしいし……』

「魔王って、どこからそんな言葉が出てくるんだよ……俺は正真正銘の一般人、いや、つーかここから見たら異世界人ってやつか。ともかくこんな世界は俺は知らねーぞ」

『ふーむ……でも確かに魔法陣は起動してるし膨大な魔力も感じる……なにか裏がありそうだなぁ? まぁ今はそれはいいや、どうせ君は何も知らないんだろうし。とにかくここから逃げようよ、そろそろこっちまで来るよ。……死んじゃう』

「し、死ぬってそれは物騒だし勘弁だな……でも、逃げるったってどうすんだ」

『君の足元に魔法陣があるでしょ? それに手をかざして、思いっきり力を入れてみて』

「わ、分かった……やってみる」

魔法陣、魔法、ワケがわからなかったが、むしろワケが分からないからこそ従うほかなかった。輝はまだ死にたくないのだ。

魔法陣が輝くのと、影が輝の喉元を掠めるのはほぼ同時だった。

力が内側から搾り取られていく感覚に、意識が霞む。とんでもない、やってはいけないことだと体が悲鳴をあげてブレーキをかけるも、その力の奔流に逆らうことはついぞ敵わなかった。

「う、うぉぉおお……が、ぁ───」

そして────轟音。

教会全体を巻き込む大爆発を起こして、後には気絶した輝だけが残った。

『これは───やっちゃったなぁ……』
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