2人ではじめる異世界無双~無限の魔力と最強知識のコンビは異世界をマッハで成り上がります〜

こんぺいとー

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プロローグ──2人ではじめる異世界生活

2人ではじめる

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『ねえ、ちょっと!! 起きて、起きてってば!!!』

「ん……ん。おかあさんあとごふん……? って、え?」

まどろみの中にある輝でも、母とそれ以外の声の区別はできた。
聞きなれない、少女のあどけない声だった。
……自分のそれさえも。

「……夢、じゃないな。やっぱり」

夢の中でさらに熟睡などそんな無限ループがあってたまるか、と輝は夢説を一蹴して、辺りを見渡す。

「どうなったんだこれ」

『アナタの魔力が大暴走を起こして教会ごと大爆発。ただの転移魔法陣だったのに……、って、とにかく!! ここから逃げないとまずいって!!』

聞き捨てならないワードがいくつかあったが、整理している余裕はなさそうだった。
「そ、そうだな……」と、気圧されながらこの場を立ち去ることに同意する。

『衛兵にでも見つかったら事情聴取が無茶苦茶面倒だよ。道は私が案内するからホラ、さっさと走る!!』

なるほどそれは面倒というか、ゲームオーバーだ。常識の欠片もない輝が衛兵の対応をするなど、どう考えても無理だ。

「わ、わかったからそんな怒鳴らないでくれ……脳が軋む」

『あ、ご、ごめん……』

どうしてこんなことに、とため息をひとつ吐いて輝は駆けた。



■ ■ ■

「そんじゃ色々話、聞かせてもらおうか。変な断片ばっか耳に入ってくっから気になって仕方ねえ」

逃げてきた先、人通りのない路地裏で一人少女が空に喋りかけている。
周りから見れば精神をヤってしまったようなものだが、当の少女本人である輝は至って正常だ。

輝の視界には、元の少女のからだの持ち主を名乗る、霊体のようなものが見えている。
その霊体はうーんと唸りつつ、輝の質問に答えた。

『うん、えーっとね。あの影、無能な私じゃどうしようもなくてさ。どうせ死ぬなら──と思って、教会の守護魔法陣に封印されてる魔王を体の中に取り込んだの。そしたら君、魔王じゃないし異世界人だとか言うからもうチンプンカンプンで……』

「なるほど……? いや、つか無能なら魔王の取り込みとかそんな大層なこと出来たらまずいんじゃ……」

そんなことが可能ならあまりにもガバガバ警備だ。
むしろ今まで何故封印された状態を保てたのかが気になるほどに。

『んや、それはあの影が先に結界ぶち壊してたからね。もう一か八か……って感じ』

「そうか。相当切羽詰まってたんだな」

魔王の力に頼る、つまりそれは悪魔に魂を売るということだ。それほどに死の間際だったのだろう……実際、あの踊り狂う影は死そのものだった。

『そりゃもう投げやりもいい所だよ。でも結果出てきたのは君だった……結果オーライ、なのかなぁ』

「さぁ? 魔王なんて大した肩書き背負っちゃいないし、むしろ無能側の人間だぞ俺は」

魔王とやらに体を悪用されないことを結果オーライ、と言っているのかもしれないが、同時にそれは無能な現代人、輝を引き寄せてしまったことでもある。

『……? そんなことは全然ないよ? 秘めてる魔力に底が見えないもん』

「魔力……なぁ、うちの世界じゃんなもんないからなぁ……」

実感が全くわかない。自分に魔力があるということすら、認識できないのだ。
羽のない鳥にいきなりそれを生やしたところで、飛べるわけがない。

要するにそんなもの、あったところで宝の持ち腐れだ!!
さっき爆発を起こしたというし、それが輝が無能なことのいい証明だろう。

『あ、そうそう! 魔力があるってことで、ひとつ頼みがあるんだけどさ』

「ん?」

『しばらく私の代わりに、私やってくれないかなって』

「断る、なんで一緒にいなきゃいけないんだ」

『えーでもこれ不可逆性の魔法だしー、簡単には解けないっていうかー。あ、国家魔導資格を持つエリートだけが使える王立第三魔導図書館ならー、解く手がかりがあるかもー?』

「…………何が言いたい」

苦虫を噛み潰したよう、とはこのことを言うのだろう。
可愛らしいお顔が台無しである。

『自分だけの体が欲しくば私の成り上がり計画に協力してくれたまえっ!!』

「…………お前の方がよっぽど魔王だよ」

拒否権はない、分かっている。
だって利害が完全に一致してしまっているのだ。
輝は、見知らぬ異世界に飛ばされて一人で生きていけるほど自立していない。
なりふり構っていられる状況ではないのだ。

なのに気分が乗らないのは、この女に完全に主導権を握られてしまっているからだろう……。

『お褒めに預かり光栄でーす』

「褒めてねぇよ……ってあれ、名前聞いてないな、なんだっけ?」

『あ、そういや肝心の自己紹介をしてなかったね。私はシエラ。シエラ・ノヴだよ、末永くよろしくね』

「よろしくしたくないけどよろしく……俺は篠崎──シノサキ・テルだ」


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