3 / 3
3
しおりを挟む
こんな事は今までなかった。
解離したもう1人のあたしが呟く。
食事も休息もなく過酷な労働はあっても、通常の人であれば致命傷となるであろう暴力は受けなかった。
それと同時に、生け贄として魔獣や魔物に喰われる事も、神に捧げられる様な事もなかった。
似ていないようで似ているようで、どれも過酷な内容で。生まれ直しを何度もしているのに死の記憶がないのは、限界を越えて無理に生かされたために、どこかで自覚なしで朽ちたのだろう。
檻馬車は悪路のせいで酷い揺れが続いている。
緑の濃い匂いを感じる。どこかの森に入ったのだろう。
「出ろ!」
男の乱暴な声と共に檻馬車から出された。
目の前には急ぎ作られた祭壇らしきものと、石造りの輪が見える。その奥には魔方陣も。
「都合のいい生け贄が手に入ったのは幸運だったよ。次の生け贄を準備する必要がないからな!」
男はあたしを嘲笑いながら祭壇にくくりつけ、逃げるように去っていった。
森の中は既に薄暗く、祭壇の上で僅かに見える空も藍色の夜空になりつつあった。
普通の娘であれば、恐怖で我を喪っているはずであろう場面。なのにあたしの心は何故か凪いでいた。
魔方陣に見覚えがあるような懐かしさを感じたのか、常に悪意に晒されていたあたしが、森の中で安らぎを感じたせいか。
どんどん暗くなっていく筈の森が少しずつ明るくなっていく。
魔方陣の上に扉【ゲート】が浮かび、魔方陣と扉【ゲート】が光り輝き──
☆★☆★☆★
女の悲鳴が響き渡る。
「やめて・・・
人外が人間に干渉しないで。
私が破滅するなんてありえないわ!」
──あの小娘が苦しみ続ければ全て平和に収まるのよ
それ以外の未来など認めない──
女の狂気めいた呟きは虚空に消える。
解離したもう1人のあたしが呟く。
食事も休息もなく過酷な労働はあっても、通常の人であれば致命傷となるであろう暴力は受けなかった。
それと同時に、生け贄として魔獣や魔物に喰われる事も、神に捧げられる様な事もなかった。
似ていないようで似ているようで、どれも過酷な内容で。生まれ直しを何度もしているのに死の記憶がないのは、限界を越えて無理に生かされたために、どこかで自覚なしで朽ちたのだろう。
檻馬車は悪路のせいで酷い揺れが続いている。
緑の濃い匂いを感じる。どこかの森に入ったのだろう。
「出ろ!」
男の乱暴な声と共に檻馬車から出された。
目の前には急ぎ作られた祭壇らしきものと、石造りの輪が見える。その奥には魔方陣も。
「都合のいい生け贄が手に入ったのは幸運だったよ。次の生け贄を準備する必要がないからな!」
男はあたしを嘲笑いながら祭壇にくくりつけ、逃げるように去っていった。
森の中は既に薄暗く、祭壇の上で僅かに見える空も藍色の夜空になりつつあった。
普通の娘であれば、恐怖で我を喪っているはずであろう場面。なのにあたしの心は何故か凪いでいた。
魔方陣に見覚えがあるような懐かしさを感じたのか、常に悪意に晒されていたあたしが、森の中で安らぎを感じたせいか。
どんどん暗くなっていく筈の森が少しずつ明るくなっていく。
魔方陣の上に扉【ゲート】が浮かび、魔方陣と扉【ゲート】が光り輝き──
☆★☆★☆★
女の悲鳴が響き渡る。
「やめて・・・
人外が人間に干渉しないで。
私が破滅するなんてありえないわ!」
──あの小娘が苦しみ続ければ全て平和に収まるのよ
それ以外の未来など認めない──
女の狂気めいた呟きは虚空に消える。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる