End of all hope

紫ノ宮風香

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隣国にて2(改)

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この国は成り立ちから強欲な意図が丸出しだった。
アヴァロン王国の建国後に、西の神域の独占を目論んだ者達が集い国になった。神域と行き来出来る範囲全てを覆う、南北に細長い国な理由。
しかし、強欲な者ほど神域に入る事は叶わなかった。そして、神域の中に国があることなど彼等は思い至らなかった。

国を作るための労働力として、強引に連れてこられた者の一人が神域に逃げ出した事により、双方の国が互いを認識する切っ掛けとなる。



フィーネは女王教育の中に含まれた隣国の成り立ちと、過去の国交の記録を思い出していた。

祖国は豊かな国だった。他国との交易の必要など要らない程に。
隣国の民が虐げられていたからこそ、その民のためになる事を願い交易を始めたのだ。しかし願いは届かず、王族と一部の貴族だけが利益を独占し続けた。

強欲な者は更なる欲を望む。そして隣国の王族が祖国に強引に縁組みを押し付けてくるようになった。
しかし彼等は強欲ゆえに神域に入れない。



表向きは膠着状態のまま情勢は変化していく。前女王の先見によって。
祖国の滅亡と世界の秩序の乱れ。隣国が混乱を増長させる元凶になること。隣国が祖国の王家の血筋を狙う理由。

妹姫は極秘裏にアヴァロン王国へ送り出された。王太子の婚約者として。
隣国が妹姫を国王の側妃として要求していた事は、フィーネにだけ知らされた。忌むべき目論見と共に。





隣国の国土となっている土地は、何故か神の恩恵を失っていた。神の恩恵がない土地に強欲な者が集ったのか、強欲な者が集ったために神の恩恵が失われたのかは定かではない。
神域の結界のある森や山脈も、結界の外側は枯れ果てた風景が広がるのみ。

名を秘したる国は、神域の神々を奉る国。王は神に仕える神官もしくは巫女でもあった。
代々の王や女王が桁外れの魔力や神力を持ち、それを違える事なく安寧のために使ったからこそ平和が続いていたのだ。
その血筋を私欲で狙う事など許される訳がない。







ある日フィーネは不穏な噂を耳にする。

枯れた地に贄を捧げて甦らせる──



それは禁術。神の恩恵のないこの国で、魔力や神力を持つものはごく僅か。祖国の民を贄にしようとしているのは明らかだ。

「腐りきったこの国の王たち、許さない」

フィーネは低く呟き、国境の街から姿を消した。
行き先はアヴァロン王国。しかし、全てに決着がつくのは遥か未来の事。
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