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第一章 俺、改めて、ボク――。
03. とりあえずテンプレっぽくと思ってたけど無理でした。
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漫画チックに開いた人型の穴の底に、これまた見事に仰向けで挟まっていた俺改めボク。
どうやらかなりの高度から落下したらしく、相当、深く埋まってしまっている模様。
ここから這い出すのには難儀しそうと解るほど、穴の出口は遠かった。
「ぺっぺっ……のっけから酷い目に遭わしてくれますね。業の試練の一環かよっての。しかも昭和時代が懐かしい落下ネタとは……恐れ入るよ、全く」
穴の底で身体に異常がないかと確かめてみて気付いたけども、どうやらボクは神界で追い剥ぎにでもあったかの如く素っパらしい。
武士の情けのつもりなのか、ストレンジ・ブリーフはちゃんと残されていた――のだが。
見事に縞々柄。ご丁寧にも幼児用。
嫌がらせのように、態々、それを履かされていた。
そんなボクの腹の上には、おそらく豪華特典と仰ってた何かが詰まった、革の背嚢が一つ載っかっている。
軽かったから良かったものの、重量があったら間違いなく圧迫死、或いは貫通死の大惨事だったところ。
「見た目は幼女然とした華奢な身体なのに、随分と丈夫なことで。この時点で既に大概なチートじゃん」
そう愚痴りながらも両手両足を踏ん張って、なんとか無事に地上へと到達する。
「御体満足だったから良かったものの、怪我でもしてたら這い出ることすらできないじゃん。それ以前に普通なら確実にペチャンコで無残な圧死だったよ……こ……れ――ええっ⁉︎」
穴から這い出す前に革の背嚢を先に出し、恐る恐る頭を覗かせるボクは、目にした風景に愕然とさせられた。
見慣れたビルや建造物も何もない、本当に異界に降り立ったと実感するに充分だった――のだが。
「ちょっとちょっと容赦なくないっ⁉︎ 最初に降り立つ場所ってのは、普通は比較的安全な草原、または森林と相場は決まってんじゃんっ⁉︎ 悪くても出逢いを求める迷宮違うんっ⁉︎ ――なして岩石地帯なんよっ⁉︎」
そう。絶景かな~絶景かな~と周囲の地形がなまら遠く見渡せる、そんな岩山ひしめく天辺にボクは落ちた……らしい。
「こんなん降りるのも困難――って、駄洒落ってる場合じゃないよ、これっ⁉︎ 裸装備で下山しろって言うのか、あのポンコツ神どもはっ⁉︎」
あまりの理不尽さに悪態を吐いていて、不意に気付いた更なる理不尽さ。
それは鬱蒼と生い茂る森林地帯の遥か向こうに、城壁で囲まれた街があることに。
そして遮蔽物のない青い空に、ゲームなんかで見た覚えのあるデッカい生き物が数匹、群れて飛んでいることに。
「ヤッベっ⁉︎ 翼竜の群れってかよっ⁉︎ 流石は異界って感心してる場合じゃないってのっ⁉︎ こんな姿で見つかったら単なる餌じゃんっ⁉︎」
大慌てで何処か隠れる場所をキョロキョロと探すボクは、上手い具合に良い感じの洞穴を見つけ、嵌っていた穴から勢い良く飛び出すとそこへと潜り込んだ。
「こりゃ……あの街に辿り着く前に簡単に死ねるやも。これも業の試練ってやつの一環なん?」
武器も防具もないストレンジ・ブリーフ姿な裸装備で、おそらく魔物や魔獣が徘徊する未知の深い森林を抜けるなんて、自殺行為も甚だしい。
「この状況を打開できる素敵アイテムとか、革の背嚢に入ってないのか――にゃにゃにゃっ⁉︎」
徐に手を突っ込んでまたしても奇声をあげつつ驚いてしまった。
ナップザックに等しい小さい袋だ言うに、腕全部が丸っと入っちゃったから――って、ここに飛ばされる前に予備知識としては刷り込まれて知ってたけども、実際に体感してみて、そのあり得なさにちょっと驚いただけ。
数多の創作物語で登場した魔法の袋がそれ。
仕舞い込んだものの中から、取り出したいものを思い浮かべれば、それが出てくる謎の仕組み。
ボク的通称 “ 四次元ポケット ”
「四次元ポケットって便利だよな。インベントリが見れるともっと良かったのに。とりあえずカタログギフト、カモン」
メガネ神から手渡されたなまら分厚い蔵書が、ちゃんと取り出せた。
「まずはこれからだ。ボクの持つ徳がどんだけあるのかは知らんけど、できるだけ有用なのを選ばないと。鑑定眼とか脳内ナビとかそんな便利なんはないんかな?」
胡座を組んでドッカリと座り、カタログギフトに掲載されている技能や道具をじっくりと選び始めるのだった――。
―――――――――― つづく。
どうやらかなりの高度から落下したらしく、相当、深く埋まってしまっている模様。
ここから這い出すのには難儀しそうと解るほど、穴の出口は遠かった。
「ぺっぺっ……のっけから酷い目に遭わしてくれますね。業の試練の一環かよっての。しかも昭和時代が懐かしい落下ネタとは……恐れ入るよ、全く」
穴の底で身体に異常がないかと確かめてみて気付いたけども、どうやらボクは神界で追い剥ぎにでもあったかの如く素っパらしい。
武士の情けのつもりなのか、ストレンジ・ブリーフはちゃんと残されていた――のだが。
見事に縞々柄。ご丁寧にも幼児用。
嫌がらせのように、態々、それを履かされていた。
そんなボクの腹の上には、おそらく豪華特典と仰ってた何かが詰まった、革の背嚢が一つ載っかっている。
軽かったから良かったものの、重量があったら間違いなく圧迫死、或いは貫通死の大惨事だったところ。
「見た目は幼女然とした華奢な身体なのに、随分と丈夫なことで。この時点で既に大概なチートじゃん」
そう愚痴りながらも両手両足を踏ん張って、なんとか無事に地上へと到達する。
「御体満足だったから良かったものの、怪我でもしてたら這い出ることすらできないじゃん。それ以前に普通なら確実にペチャンコで無残な圧死だったよ……こ……れ――ええっ⁉︎」
穴から這い出す前に革の背嚢を先に出し、恐る恐る頭を覗かせるボクは、目にした風景に愕然とさせられた。
見慣れたビルや建造物も何もない、本当に異界に降り立ったと実感するに充分だった――のだが。
「ちょっとちょっと容赦なくないっ⁉︎ 最初に降り立つ場所ってのは、普通は比較的安全な草原、または森林と相場は決まってんじゃんっ⁉︎ 悪くても出逢いを求める迷宮違うんっ⁉︎ ――なして岩石地帯なんよっ⁉︎」
そう。絶景かな~絶景かな~と周囲の地形がなまら遠く見渡せる、そんな岩山ひしめく天辺にボクは落ちた……らしい。
「こんなん降りるのも困難――って、駄洒落ってる場合じゃないよ、これっ⁉︎ 裸装備で下山しろって言うのか、あのポンコツ神どもはっ⁉︎」
あまりの理不尽さに悪態を吐いていて、不意に気付いた更なる理不尽さ。
それは鬱蒼と生い茂る森林地帯の遥か向こうに、城壁で囲まれた街があることに。
そして遮蔽物のない青い空に、ゲームなんかで見た覚えのあるデッカい生き物が数匹、群れて飛んでいることに。
「ヤッベっ⁉︎ 翼竜の群れってかよっ⁉︎ 流石は異界って感心してる場合じゃないってのっ⁉︎ こんな姿で見つかったら単なる餌じゃんっ⁉︎」
大慌てで何処か隠れる場所をキョロキョロと探すボクは、上手い具合に良い感じの洞穴を見つけ、嵌っていた穴から勢い良く飛び出すとそこへと潜り込んだ。
「こりゃ……あの街に辿り着く前に簡単に死ねるやも。これも業の試練ってやつの一環なん?」
武器も防具もないストレンジ・ブリーフ姿な裸装備で、おそらく魔物や魔獣が徘徊する未知の深い森林を抜けるなんて、自殺行為も甚だしい。
「この状況を打開できる素敵アイテムとか、革の背嚢に入ってないのか――にゃにゃにゃっ⁉︎」
徐に手を突っ込んでまたしても奇声をあげつつ驚いてしまった。
ナップザックに等しい小さい袋だ言うに、腕全部が丸っと入っちゃったから――って、ここに飛ばされる前に予備知識としては刷り込まれて知ってたけども、実際に体感してみて、そのあり得なさにちょっと驚いただけ。
数多の創作物語で登場した魔法の袋がそれ。
仕舞い込んだものの中から、取り出したいものを思い浮かべれば、それが出てくる謎の仕組み。
ボク的通称 “ 四次元ポケット ”
「四次元ポケットって便利だよな。インベントリが見れるともっと良かったのに。とりあえずカタログギフト、カモン」
メガネ神から手渡されたなまら分厚い蔵書が、ちゃんと取り出せた。
「まずはこれからだ。ボクの持つ徳がどんだけあるのかは知らんけど、できるだけ有用なのを選ばないと。鑑定眼とか脳内ナビとかそんな便利なんはないんかな?」
胡座を組んでドッカリと座り、カタログギフトに掲載されている技能や道具をじっくりと選び始めるのだった――。
―――――――――― つづく。
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