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第三話 魔法[物理]と笑えない。
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俺の視界に映っている女性然とした何か。明らかに異形の者ではあるも、人の姿に近かった。
だがしかし。能面のような無表情な顔で、翼を生やした無機質な彫刻に等しい時点で、断じてこの現実世界に居て良い類いの者ではない。
今も尚、複数のそれら何かが、各々に剣や鎌と言った武器を用い、逃げ惑う人々を苦しめ狩っていやがるのだ。
獲物を捕らえた何かは、能面のような無機質の顔が縦に割れ、悍しくも禍々しい口を曝け出し、捕らえた者に容赦なく喰らいつき、貪り喰ってやがるのだった。
そんな凄惨な状況が続く中、何よりも気になったことが一つある。
奴らの頭上に浮かんでいる、天使の輪に等しい金冠だった――。
「ん?」
そこに意識を持っていった瞬間、俺の視界に丸い照準枠――ターゲットサイトが投影され、その一体をマーキングする。
――――――
Identification result.
Target Enemies.
――――――
間髪入れず、視界の左下隅に敵を識別する旨のガイダンスがポップアップされて投影されるのだが、続く結果表示に目を疑った――。
“ Angel‘s ”と出た。つまり、天使と。
「――なっ⁉︎ なんだとっ⁉︎ あの形で天使っ⁉︎ 神の御使いたる使徒だと言うのかよっ⁉︎ ありゃどう見ても、悪魔の使徒か何かだろうがっ⁉︎」
人々を襲う何かが天使だと言う結果に、納得できず慄き叫ぶ。
だがしかし。動揺している場合ではない。
逃げ惑う一組の親子――その小さな女の子の足が縺れて倒れてしまった。
このままでは奴らの餌食になってしまう。
咄嗟に駆け出そうすると、続けざまにポップアップされ投影されるガイダンス。
――――――
Active system. ―― “ Physical strengthening. ”
Movement assistance. ―― “ Assault Mode. ”
――――――
「身体強化が常時発動ってのは解る……着ぐるみを着てるんだし。だがしかし。動作補助が強襲ってのは何? ――う、うはっ⁉︎」
人の動きを遥かに超越した素早い動きだった。
一気に跳躍したかと思えば、僅か一瞬で倒れ込んだ子供を庇うように間に割って入る。
暫定、天使の鎌が子供に振り下ろされるのを、間一髪、左手のマジカルトンファーで受け止めることができた。
それは、デブで運動音痴な俺には、到底、真似できない、人間離れした動きだった。
この外皮である着ぐるみは、どうやら戦闘時に俺の動きをサポートしてくれるみたいだ。
「この! 喰らっとけ!」
凄まじい衝撃が伸し掛かるも難なく耐えきり、すかさず光り輝く右手のマジカルトンファーで穿つ。
直後、胴体に巨大な大穴を開け爆散し、跡形もなく吹き飛んだ。
(おいおい、おいおい……)
マジカルトンファーのたったの一撃。
それも単純かつ軽い一突きのただ一発で葬り去ってしまった。
(マ、マジカルが付く武器ってのは、ギャグじゃなく伊達じゃないってことか……)
今しがた俺がやらかしたことに、改めて戦慄を覚えた。
――――――
Target. ―― lost.
――――――
その直後。視界の左下隅には倒したことを伝えるように、結果が投影された。
「お母さんのところへ行こうね」
倒れる子供をそっと抱きかかえ、親の元へと送り届ける間に、周囲の索敵を行っておく――って、どうでも良いが、俺の野太い声が可憐な少女の声になってる違和感が半端ねぇな。
またも一瞬で親の元へ辿り着くも、勢い余って土煙をあげて地滑りする足。
力一杯に踏ん張って、なんとか流れるのを止めることができた。
「この謎パワーにしても、上手くコントロールできるようにせんと……今後、振り回されそうだな」
愚痴っぽく呟きつつ、抱きかかえていた子供を優しく下ろすと――。
「まほーの、お、おねぇしゃん?……ありがと……」
おっかなビックリでお礼を告げる子供。
「き、着ぐるみの魔法少女が……なんで⁉︎」
やっぱりおっかなビックリの母親。
いや、俺が知りたい。あと、お姉さんでもねぇよ。
中の人? そんなが瓶底メガネのキモオタブサメンな男だって知ったら……泣き出しちゃうかもな。
「とにかく、ここから早く避難して下さい!」
怪訝そうにも会釈をし、直ぐに子供を抱きかかえた母親は、指示通りに必死になって逃げていく。
「――残りは?」
逃げる親子を手を振って見送りながら、そう呟いた俺。
――――――
Searching results. ―― “ 6 Enemies. ”
――――――
視界の左下隅には、既に索敵結果が投影されていた――。
その数――残り六体。
――――――――――
世界の行く末は、俺の頑張り次第?
だがしかし。能面のような無表情な顔で、翼を生やした無機質な彫刻に等しい時点で、断じてこの現実世界に居て良い類いの者ではない。
今も尚、複数のそれら何かが、各々に剣や鎌と言った武器を用い、逃げ惑う人々を苦しめ狩っていやがるのだ。
獲物を捕らえた何かは、能面のような無機質の顔が縦に割れ、悍しくも禍々しい口を曝け出し、捕らえた者に容赦なく喰らいつき、貪り喰ってやがるのだった。
そんな凄惨な状況が続く中、何よりも気になったことが一つある。
奴らの頭上に浮かんでいる、天使の輪に等しい金冠だった――。
「ん?」
そこに意識を持っていった瞬間、俺の視界に丸い照準枠――ターゲットサイトが投影され、その一体をマーキングする。
――――――
Identification result.
Target Enemies.
――――――
間髪入れず、視界の左下隅に敵を識別する旨のガイダンスがポップアップされて投影されるのだが、続く結果表示に目を疑った――。
“ Angel‘s ”と出た。つまり、天使と。
「――なっ⁉︎ なんだとっ⁉︎ あの形で天使っ⁉︎ 神の御使いたる使徒だと言うのかよっ⁉︎ ありゃどう見ても、悪魔の使徒か何かだろうがっ⁉︎」
人々を襲う何かが天使だと言う結果に、納得できず慄き叫ぶ。
だがしかし。動揺している場合ではない。
逃げ惑う一組の親子――その小さな女の子の足が縺れて倒れてしまった。
このままでは奴らの餌食になってしまう。
咄嗟に駆け出そうすると、続けざまにポップアップされ投影されるガイダンス。
――――――
Active system. ―― “ Physical strengthening. ”
Movement assistance. ―― “ Assault Mode. ”
――――――
「身体強化が常時発動ってのは解る……着ぐるみを着てるんだし。だがしかし。動作補助が強襲ってのは何? ――う、うはっ⁉︎」
人の動きを遥かに超越した素早い動きだった。
一気に跳躍したかと思えば、僅か一瞬で倒れ込んだ子供を庇うように間に割って入る。
暫定、天使の鎌が子供に振り下ろされるのを、間一髪、左手のマジカルトンファーで受け止めることができた。
それは、デブで運動音痴な俺には、到底、真似できない、人間離れした動きだった。
この外皮である着ぐるみは、どうやら戦闘時に俺の動きをサポートしてくれるみたいだ。
「この! 喰らっとけ!」
凄まじい衝撃が伸し掛かるも難なく耐えきり、すかさず光り輝く右手のマジカルトンファーで穿つ。
直後、胴体に巨大な大穴を開け爆散し、跡形もなく吹き飛んだ。
(おいおい、おいおい……)
マジカルトンファーのたったの一撃。
それも単純かつ軽い一突きのただ一発で葬り去ってしまった。
(マ、マジカルが付く武器ってのは、ギャグじゃなく伊達じゃないってことか……)
今しがた俺がやらかしたことに、改めて戦慄を覚えた。
――――――
Target. ―― lost.
――――――
その直後。視界の左下隅には倒したことを伝えるように、結果が投影された。
「お母さんのところへ行こうね」
倒れる子供をそっと抱きかかえ、親の元へと送り届ける間に、周囲の索敵を行っておく――って、どうでも良いが、俺の野太い声が可憐な少女の声になってる違和感が半端ねぇな。
またも一瞬で親の元へ辿り着くも、勢い余って土煙をあげて地滑りする足。
力一杯に踏ん張って、なんとか流れるのを止めることができた。
「この謎パワーにしても、上手くコントロールできるようにせんと……今後、振り回されそうだな」
愚痴っぽく呟きつつ、抱きかかえていた子供を優しく下ろすと――。
「まほーの、お、おねぇしゃん?……ありがと……」
おっかなビックリでお礼を告げる子供。
「き、着ぐるみの魔法少女が……なんで⁉︎」
やっぱりおっかなビックリの母親。
いや、俺が知りたい。あと、お姉さんでもねぇよ。
中の人? そんなが瓶底メガネのキモオタブサメンな男だって知ったら……泣き出しちゃうかもな。
「とにかく、ここから早く避難して下さい!」
怪訝そうにも会釈をし、直ぐに子供を抱きかかえた母親は、指示通りに必死になって逃げていく。
「――残りは?」
逃げる親子を手を振って見送りながら、そう呟いた俺。
――――――
Searching results. ―― “ 6 Enemies. ”
――――――
視界の左下隅には、既に索敵結果が投影されていた――。
その数――残り六体。
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世界の行く末は、俺の頑張り次第?
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