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第二部 オタクと中二病。
二十九痛 真野氏、何故か有耶無耶に。
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「助けて~、真野えも~んっ! ――って、あれっ⁉︎」
そう叫んだ瞬間、俺は玉座から転げ落ちた。
石畳の上に這いつくばる俺の前には、ジト目で仁王立ちの真野氏。
「誰が真野えもんよっ! それと、なんでアンタが私の玉座に座ってるのよっ!」
真野氏。たわわの前で腕を組んでのいつも通りのオコです。更に腕をキュッと絞り込んでたわわを強調する激でないオコです。
「真野氏。今ここにファンタジー然とした格好の方々が乗り込んできて、勝手にサスペンスでホラーかつスプラッタを繰り広げ自滅して降参すると言った、意味不明の修羅場が起こってたんですけども……」
血糊で片方の視界が塞がるままに、釈然としないメガネ、アレッ? と尋ねてみると。
「状況説明的台詞乙……って、何を寝惚けてるのかしら、アンタは?」
真野氏。グイッと顔を寄せて覗き込むハ? です。めっさ近いハ? です。
「寝惚けて? ――えっと……ちょっと確認させてもらいますね」
メガネが血糊で汚れて片方の視界が真っ赤だ言うに、夢である筈がないでしょうに。
なんとなくモヤっとしたので反撃に出ます。
「何よ――ひゃっ⁉︎」
俺の目の前に揺れ下がるたわわを徐に掴んでのメガネ、エッヘッヘに、素っ頓狂な声で身じろぐ真野氏はヒャッ! です。
「DMMORPGにログインしっぱでシームレスにリアルへと転換され、ご法度行為でそれを確認する某至高の御方の真似をしてみましたが……」
衣服と乳バンド越しでもはっきりと解る、マシュマロを優に超える柔らかさに、手の平をいっぱいに広げても全く収まりきらない絶対質量のたわわを、丁寧に優しく揉みしだきながら意味不明に語る――のですが。
「流石は真野氏。素晴らしい弾力で――あべしっ⁉︎」
予想通り思いっきり平手が飛んできてのメガネ、ポーン! かつ、そのまま俺もポーン!
「どう言う理由で、何処を鷲掴んで、何事もなく平然と揉みしだいてくれてんのよ、アンタはっ⁉︎ そう、死にたいの、死にたいのね、死んで詫びるのが当然よねっ!」
真野氏。当然オコです。激オコです。
だがしかし、我が生涯に一片の悔いなし。
「し、失礼致しました。真野氏の超絶お至宝を堪能させて頂き、恐悦至極に御座いました。流石、学校――いいえ、世界一の美少女にあらせられる至高の御方です!」
メガネ、ドコ? からメガネ、ミッケ。
更に拾い上げて壊れてないのを確認しつつ、袖でフキフキしてからの再装着でメガネ、デュワッと。
「次はないわよ? 斬チンよ? ――まぁ、良いわ……他ならぬアンタだか――じゃないっ⁉︎」
真野氏。美少女が口に出してはいけない不適切な言葉でギロリです。そのあと頬を朱に染めて恥じらう器用なギロリです。
「――で、急にそんな奇行に及ぶなんてどうしたのよ? アンタらしくもない。その血塗れの凄惨な姿といい……私の居ない間に何があったの?」
真野氏。オロオロする俺の前にいけない布地を晒して蹲み込むと、魔法のステッキで頭をこつきながらのアァン? です。スタンドのように背中から顕現していた般若を引っ込めて、なんかすんごい優しい笑顔で静かに尋ねるアァン? です。意味不明に悪戯した俺が居た堪れなくなるアァン? です。
「真野氏。トイレの芳香剤くっさいで――ほげぇげぶっ⁉︎」
なので鼻を摘んでメガネ、クイッ! っと誤魔化すのですが。
華奢な手で鼻を引っ掴まれ、思いっきり左右に抉られました。美少女の生指での鼻フックでないのが残念です。
「デリカシーっ! アンタにはデリカシーが足りないっ! ――って、今更か。照れてないでちゃんと理由を言う。ほら、真面目に聴いてあげるから」
真野氏。オコにならずイエローカードで済ませまてのハァです。さっきよりも優しさ10%増量は期間限定で語りかけてくれます。
これには流石に罪悪感がパなくなってきました。
「実は――かくかくしかじか。詳しくは前話を読み返して頂ければ。ついでに第一部も読み返したり、お気に入りに追加にてポイントも稼がせて下さい」
話を省略する際の代用表現である『かくかくしかじか』を用いて、詳しく伝えるついでにメタに媚びておく。
「……おっけ、解った。ちょっと待ってなさい」
真野氏。たわわの間から素早くスマホをサッと取り出し、現役JKならではの見事なアタタタタタッで秘孔――ゲフンゲフン。ポチポチしていきます。
真野氏の胸の谷間は、四次元ポケットかインベントリできるアイテムボックスでしょうか?
「なるほどね……」
そのあと直ぐにたわわを強調して納得のフーンです。面白味も何もない単に普通のフーンです。
「酷い有り様だけど……大丈夫?」
真野氏は俺を見つめます。母上のようにとても優しく。
「えっと……大丈夫のようです」
俺は真野氏に話します。挫けませんよ、男の子です――って一休さんの母上様をネタにしてる場合じゃねーよ。
「――って、なるほどね。じゃなくないですよね? 何もかも意味不明ですって。エキストラさんにしてもグロさが凄くて、ぶっちゃけトラウマ案件ですよ!」
暗黒騎士の衣装も、本物の血のような鉄錆くっさい血糊塗れ。
「エキストラ? ――そうね。もう大丈夫とだけ言っておくわ」
真野氏。格好良く指をパチンと鳴らしたあとで、そのように告げます。
「大丈夫? 真野氏、それでは何に対しても答えになってませんけども?」
「ふぅ……この程度で済んで良かったわ……もしも本気で戦ってたら……ミンチどころか私の部屋自体……いいえ、この一帯が地図から消えてたところよ……全く。タイミングが悪いたらありゃしないわね――」
何やら不穏当なことをボソッです。美少女然とした澄まし顔でボソッです。
真野氏の態度から、実は本当に魔王で、ここは魔王城の謁見の間で、さっきのは討伐に乗り込んできた勇者パーティの一団なのでは?
――と、不覚にも思ってしまいましたが、凄惨な現場になった筈のこの場所に、痕跡がまるで残っていないってのが、更に恐ろしくファンタジーなんですけど。
どうやら何かトリックがありそうですが、ここは暴くよりもあえてスルーが正解かもしれません。
まずは最優先で着替えましょう……とにかく色々と気色悪いので。
――――――――――
またしても中二病ってやつは。
そう叫んだ瞬間、俺は玉座から転げ落ちた。
石畳の上に這いつくばる俺の前には、ジト目で仁王立ちの真野氏。
「誰が真野えもんよっ! それと、なんでアンタが私の玉座に座ってるのよっ!」
真野氏。たわわの前で腕を組んでのいつも通りのオコです。更に腕をキュッと絞り込んでたわわを強調する激でないオコです。
「真野氏。今ここにファンタジー然とした格好の方々が乗り込んできて、勝手にサスペンスでホラーかつスプラッタを繰り広げ自滅して降参すると言った、意味不明の修羅場が起こってたんですけども……」
血糊で片方の視界が塞がるままに、釈然としないメガネ、アレッ? と尋ねてみると。
「状況説明的台詞乙……って、何を寝惚けてるのかしら、アンタは?」
真野氏。グイッと顔を寄せて覗き込むハ? です。めっさ近いハ? です。
「寝惚けて? ――えっと……ちょっと確認させてもらいますね」
メガネが血糊で汚れて片方の視界が真っ赤だ言うに、夢である筈がないでしょうに。
なんとなくモヤっとしたので反撃に出ます。
「何よ――ひゃっ⁉︎」
俺の目の前に揺れ下がるたわわを徐に掴んでのメガネ、エッヘッヘに、素っ頓狂な声で身じろぐ真野氏はヒャッ! です。
「DMMORPGにログインしっぱでシームレスにリアルへと転換され、ご法度行為でそれを確認する某至高の御方の真似をしてみましたが……」
衣服と乳バンド越しでもはっきりと解る、マシュマロを優に超える柔らかさに、手の平をいっぱいに広げても全く収まりきらない絶対質量のたわわを、丁寧に優しく揉みしだきながら意味不明に語る――のですが。
「流石は真野氏。素晴らしい弾力で――あべしっ⁉︎」
予想通り思いっきり平手が飛んできてのメガネ、ポーン! かつ、そのまま俺もポーン!
「どう言う理由で、何処を鷲掴んで、何事もなく平然と揉みしだいてくれてんのよ、アンタはっ⁉︎ そう、死にたいの、死にたいのね、死んで詫びるのが当然よねっ!」
真野氏。当然オコです。激オコです。
だがしかし、我が生涯に一片の悔いなし。
「し、失礼致しました。真野氏の超絶お至宝を堪能させて頂き、恐悦至極に御座いました。流石、学校――いいえ、世界一の美少女にあらせられる至高の御方です!」
メガネ、ドコ? からメガネ、ミッケ。
更に拾い上げて壊れてないのを確認しつつ、袖でフキフキしてからの再装着でメガネ、デュワッと。
「次はないわよ? 斬チンよ? ――まぁ、良いわ……他ならぬアンタだか――じゃないっ⁉︎」
真野氏。美少女が口に出してはいけない不適切な言葉でギロリです。そのあと頬を朱に染めて恥じらう器用なギロリです。
「――で、急にそんな奇行に及ぶなんてどうしたのよ? アンタらしくもない。その血塗れの凄惨な姿といい……私の居ない間に何があったの?」
真野氏。オロオロする俺の前にいけない布地を晒して蹲み込むと、魔法のステッキで頭をこつきながらのアァン? です。スタンドのように背中から顕現していた般若を引っ込めて、なんかすんごい優しい笑顔で静かに尋ねるアァン? です。意味不明に悪戯した俺が居た堪れなくなるアァン? です。
「真野氏。トイレの芳香剤くっさいで――ほげぇげぶっ⁉︎」
なので鼻を摘んでメガネ、クイッ! っと誤魔化すのですが。
華奢な手で鼻を引っ掴まれ、思いっきり左右に抉られました。美少女の生指での鼻フックでないのが残念です。
「デリカシーっ! アンタにはデリカシーが足りないっ! ――って、今更か。照れてないでちゃんと理由を言う。ほら、真面目に聴いてあげるから」
真野氏。オコにならずイエローカードで済ませまてのハァです。さっきよりも優しさ10%増量は期間限定で語りかけてくれます。
これには流石に罪悪感がパなくなってきました。
「実は――かくかくしかじか。詳しくは前話を読み返して頂ければ。ついでに第一部も読み返したり、お気に入りに追加にてポイントも稼がせて下さい」
話を省略する際の代用表現である『かくかくしかじか』を用いて、詳しく伝えるついでにメタに媚びておく。
「……おっけ、解った。ちょっと待ってなさい」
真野氏。たわわの間から素早くスマホをサッと取り出し、現役JKならではの見事なアタタタタタッで秘孔――ゲフンゲフン。ポチポチしていきます。
真野氏の胸の谷間は、四次元ポケットかインベントリできるアイテムボックスでしょうか?
「なるほどね……」
そのあと直ぐにたわわを強調して納得のフーンです。面白味も何もない単に普通のフーンです。
「酷い有り様だけど……大丈夫?」
真野氏は俺を見つめます。母上のようにとても優しく。
「えっと……大丈夫のようです」
俺は真野氏に話します。挫けませんよ、男の子です――って一休さんの母上様をネタにしてる場合じゃねーよ。
「――って、なるほどね。じゃなくないですよね? 何もかも意味不明ですって。エキストラさんにしてもグロさが凄くて、ぶっちゃけトラウマ案件ですよ!」
暗黒騎士の衣装も、本物の血のような鉄錆くっさい血糊塗れ。
「エキストラ? ――そうね。もう大丈夫とだけ言っておくわ」
真野氏。格好良く指をパチンと鳴らしたあとで、そのように告げます。
「大丈夫? 真野氏、それでは何に対しても答えになってませんけども?」
「ふぅ……この程度で済んで良かったわ……もしも本気で戦ってたら……ミンチどころか私の部屋自体……いいえ、この一帯が地図から消えてたところよ……全く。タイミングが悪いたらありゃしないわね――」
何やら不穏当なことをボソッです。美少女然とした澄まし顔でボソッです。
真野氏の態度から、実は本当に魔王で、ここは魔王城の謁見の間で、さっきのは討伐に乗り込んできた勇者パーティの一団なのでは?
――と、不覚にも思ってしまいましたが、凄惨な現場になった筈のこの場所に、痕跡がまるで残っていないってのが、更に恐ろしくファンタジーなんですけど。
どうやら何かトリックがありそうですが、ここは暴くよりもあえてスルーが正解かもしれません。
まずは最優先で着替えましょう……とにかく色々と気色悪いので。
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またしても中二病ってやつは。
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