7泊8日の神さま代行〜一般OLの私が神の思し召しを授けましょう〜

(有)八

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5話 OLですけど捨てる神あれば拾う神もあるし小馬鹿に笑う神もいます。

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 ご機嫌麗しゅう平民の皆さま。ミカです。
 神様をレンタルして4日経ちました。この奇天烈な環境にも慣れてきている自分が怖いです。

 実はあることを思い付きまして、思いついたが吉日というじゃないですか。思い切ってやってみたんです。

「ミカ神様……もう気は済みましたか?」
「いい加減にしろミカ!!」

 このように困り果てたガブリエルとミカエルですが、“神のみわざ”によって私好みのショタに姿を変えてみたんです。
 それがもう可愛くて可愛くて、今もこうしてショタガブリエルを抱きしめているところです。はー癒し。

 ミカエルは言葉遣いも相まって、やんちゃなショタとして私の目を癒してくれています。眼福。

 ガブリエルはおっとり系ショタで困り顔をしながら、私の腕の中で上目遣いしてきます。はぁん! これが母性本能擽られずにいられようか! いや誰もこの魅力に逆らえない!

「あーぶーなーいー」

 ん? どこからとも無く声が聞こえてきた。
 キョロキョロと見回してみるが、私達3人以外の姿は見えない。

 私の鼻先にぴちょんと一粒の滴が触れた。雨? 天界なのに雨が降るの? と上を見上げると――。

ザッパァアアアン!!

 バケツをひっくり返したような、いやプールでもひっくり返したんじゃないだろうかという量の水が、私たちに降り注いだ。

 な、なんじゃこりゃあああ!

「ごーめーんーねー?」

 びしょ濡れの自分の体を見て叫んでいるところに、ふわふわと空から降りてきた奴がいた。

 呑気に謝って許されるべき行為か! 大量の水を浴びたせいか、ガブリエルとミカエルも元の姿に戻っているし! どこのどいつだ私の至福の時間をッ――

「おっ……お……」
「?? だーいーじょーぶー?」

 透明感のある水色の髪をした、小学生ほどの男の子が浮いていた。
 背中には翼を生やし、男の子だがワンピースのようなネグリジェみたいな服を着ている。
 これは……最強のショタだ!!

「ちょっと! ラファエルでしょこの水!!」
「また溢してしまったのですかラファエル?」
「手ーがーすーべっーたー」

 呑気な喋り方は変えず、キョトンとした顔で首を傾げている。
 ずぶ濡れになった事は水に流そう。
 無心で私は、ラファエルという少年を抱きしめた。

「あーなーたーがー、ミーカーガーミー?」
「ええそうよ! あぁん! なんて可愛いの!」

 ラファエルに頬擦りをしている私を、ミカエルが引き剥がした。
 何をするこの半ベソ天使、いつもいつも邪魔してくれちゃって!

「ラファエルまでここにきて、何かあったのか?」
「えっーとーねー」

 ラファたんの話では、とある世界でなんでも治療する聖女が現れ、疫病による世界の危機を救ったとのこと。
 しかし、人の寿命すらも伸ばすことができる聖女のせいで、世界は人で溢れ、今度は食糧難の危機に陥っているとのこと。

「おい、ミカ」

 その場を離れようと、コソコソ移動していた私を、ミカエルが引き留める。
 ナントコトカナー、ワカラナイナー。

「その聖女っていうのお前だな? そんな万能な力が“神のみわざ”以外にあってたまるか」
「だってだって……暇すぎたから……」
「暇すぎたから?」
「ちょっと自分の分身を作って……人々を救ってチヤホヤされたかったんだけど、どんどん話が大きくなっていっちゃって……」

 ゴンという音と頭に走る激痛。
 私はミカエルにゲンコツを食らったのだと遅れて理解した。
 神を殴るなんてなんという冒涜!! あ、何でもないです、ごめんなさい。殴らないで。

「その世界ではその世界の理があって、皆、必死に生きてるんだ!! 生態系を変えるような事を簡単にするんじゃない!」
「分かったわ……じゃあ自分で世界を作っちゃえば、その中なら自由ってことね!」

 ゴン

「痛い! 2度もぶった! お母さんにもぶたれた事ないのに!!」

 しぶしぶ、聖女のいる世界の時を巻き戻し、聖女が存在する前の状態にした。
 世界の変革とか時間って、こんな簡単に巻き戻せるんだなあ、metubeみたいだなあ。はい、元どおり。

「ラファたんはチクりにきただけなの? 酷いよラファたん!!」
「ぼーくーがーわーるーいーのーかー?」

 ガブリエルがラファたんの頭を撫でている。
 そのポジションずるいなあと思っていると、チリンチリンとまた何処かから鈴の音が聞こえてきた。

 そういえば今日は審判に来る人が少ないなぁと考えていると、光の扉から見覚えのある人物が出てきた。

「ここは……あれ? ミカさん?」
「げっ……なんでアンタがここに来るのよ」

 現れたのは私のよく知る男で、顔は中の下、かっこいいとは言えない容姿だが、料理や掃除など家事全般が得意で気配りも出来る――元カレだった。

「また会えるなんて思っても見なかったよ。どう? 元気にしてた?」
「何も変わらない普通よ、フツー。それにしてもなんでアンタがここに来るのよ」

 私やガブリエル達をキョロキョロと見て、納得したような素振りをした元カレは、ぽんと掌を合わせた。

「あちゃー俺しんじゃったのかー」

 死んだというのに随分と呑気な男だ。付き合っていた時から、彼はずっとこんな感じだったなと懐かしく思う。話の本題に移ろう。

「なんで死んだのよ? あとここに来るってことは未練があると思うんだけど心当たりある?」

 元カレは、人に頼まれると断れない性格だった。

 生前、友人達と旅行に出かけていた彼は、巷で話題の橋の上からバンジージャンプするという場所に、遊びに行っていたようだ。

 あまりの高さに、腰を抜かした友人から『俺の代わりに飛んでカメラにその様子を抑えてくれ』と懇願され、嫌々挑んだらしい。

 ここまで言えば結果は見えてると思うが、バンジージャンプする際に足を滑らせ、ジャンプ台に頭を強打。
 気絶したまま落ちていき、バンジーの紐に絡まって窒息死というミラクルを決めていた。

「いやー我ながらドジったよねーははは」
「ドジにも程があるでしょ!! アンタのせいでバンジー禁止になったり、友人にトラウマ植え付けてどうすんの!!」

 さらにこの能天気さ。私が別れを告げたのもこの性格が鼻についたからだ。
 私がミスしても怒らないし、やらかした元カレを怒っても今みたいに、はははと笑って済まそうとする。
 この人の本音が見えないところが私は嫌いだ。

「で、ドジって死んじゃったアンタの未練は何?」
「未練かー。うーんそうだなぁ」

 腕を組んで、くねくねと左右に揺れながら考えていた元カレは、急にピタッと動きを止めて未練を語った。

「やっぱり、ミカさんと別れちゃったことかなー」

 ガブリエルはあらあらとか言って口に手を当ててるし、ミカエルはニヤケ顔で私を見ている。
 ラファたんは……あ、お昼寝してるわ。寝顔は天使みたいに可愛い。いや天使だ!!

「おい、ミカ。お前もなかなか愛されてたんだな」
「人を小馬鹿にしながら、言わないでちょうだい」
「ミカ神様はモテるんですね。羨ましいです」
「媚びへつらっても何も出ないわよ。それに、私はアンタのそういう能天気な所が嫌いなのよ」

 ズバッと言ってやったぜ。どうだこれで二回フラれた事になったぞ。
 これで未練も粉々になっただろう。元カレを見ると――泣いていた。
 え? 言いすぎた?!

「やっぱり……ミカさんは優しいね。死んじゃった僕を悲しませないように、いつもどおり接してくれる」
「え、いやそんなつもりは――」
「これで未練は無くなったよ。ありがとうミカさん。君に会えて僕は幸せだった――」

「薄くなって消えていく元カレ。光の粒となって飛んでいった彼はきっと天国に行くのだろう。私も彼に出会えて良かったと思う……本当は大好きだよ……」

「勝手に人の気持ちに、変なナレーション入れるな半ベソミカエル!!」
「えー? だっていまそんな顔してたじゃん、プークスクス!」
「ミカエル、あまり人をからかってはいけませんよ」
「フォローしてるつもりだろうけどガブリエル。なんで、あなたは泣いているのかしら」
「美しい愛を見れて、嬉し泣きです」


 元カレは最後の最後まで私に迷惑をかけていった。やっぱり大嫌いだ。アイツは。
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