7泊8日の神さま代行〜一般OLの私が神の思し召しを授けましょう〜

(有)八

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6話 OLですけど神のみぞ知るをずっと神の味噌汁だと思ってました。

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 毎日一杯は味噌汁を飲むと決めています。どうもミカです。

 神様にレンタルされ、神様代行として5日目を迎えました。
 今更ですが、この間現実の私はどうなっているのかと、少し不安になっています。
 無断欠勤とかでクビにならない事を祈ってます。

 なにやら半ベソ天使ミカエルと、激可愛天使ラファたんが騒いでいます。
 どうやらその原因は私みたいです。

「なによ」
「“なによ”じゃないでしょうが!!」

 今日はまた一段と激しく怒っているなぁ。

 なにがそんなに気に食わなかったのだろう。
 ミカエルはミニスカートを必死に抑えて、半ベソかきながら怒っている。泣くか怒るかどっちかにしてほしいものだ。

「早く元に戻しなさい!!」
「スースーしーてーおーちーつーかーなーいー」

 暇を持て余した私は、現実世界では実現できない事をやってみようと決めた。一つ目に実行したのは
……ノーパン。

 “神のみわざ”によって、私はこの場にいる全員のパンツを無に帰した。今日はノーパンデーとする。

「パンツ返しなさいよ!!」
「ミカ神様……流石にこれは私も恥ずかしいです……」
「嫌よ。今日はみんなでノーパンで過ごすのよ。赤信号、皆んなで渡ればなんとやらよ」
「それはダメなヤツでしょうが!!」

 しかし、ラファたんの言う通りスースーしてどこか落ち着かないのは確かだ。
 ノーブラで1日過ごす、なんて事は当たり前にあったが、ノーパンはここまで気持ちが変わるものかと、逆に感心するほどの開放感だ。

 ちなみに奪ったパンツは空を羽ばたかせて遊ばせている。パンツが空を飛ぶアニメが昔あったなー。

 必死にスカートを抑えながら、パンツを追いかけ回すミカエルの姿はとても愉快だ。
 高笑いをしていると、私の声に木霊するように、どこかから笑い声が聞こえて来る。

 白一色だった床の雲が一部澱んで、黒色に染まっていく。ガブリエルが驚いた様子で私の背に隠れた。

「気を付けて下さいミカ神様……アレは……」
「え? なになになに、なんで隠れてるのよ。なんなのアレ?」
「む、不穏な気配」

 パンツを追いかけていたミカエルも、真剣な眼差しを黒くなった床に向けている。
 でも内股だし、必死にスカート抑えているから、あんまりかっこ良くはない。
 ラファたんはお昼寝に入ったようで、すやすやと寝息をたてている。はぁ、天使。

「ククク……お前が神の代行者か……」
「羊……?」

 床から浮かび上がってきたのは、羊のようなツノを生やした、鬼の形相をする怪物人間だった。
 続けて大きな鎌を持ってボロ布を纏う骸骨や、紫色の小さな身体に、コウモリのような羽を生やした小鬼みたいなのもいる。

「まさか……コイツらって……」

 低くドスの効いた声で笑う怪物が、私を見つめて吠えた。

「我が輩はクランプス!! 悪しき子供を連れ去り調教する悪魔!!」
「ワタシは命を狩りとる死神……」
「オイラはサタン様に仕えるプチデビル!! 気に入らない奴を地獄へと引っ張り込むぜぇい!」
「「「我ら悪魔三銃士!!」」」

 声を揃えて戦隊モノのようなポーズを決めているが、自己紹介も統一されていないし、悪魔って他にも色々いるだろう。あと、死神って悪魔だったっけ?

「ひぃ!! あ、悪魔三銃士!!」
「こんなところに、よくぞノコノコと出て来れたものだな!!」

 なんで、この2人はそんな緊迫した様子なの? バトルとか始まっちゃう空気なんですけど。あ、ミカエルが斬りかかってる。死神との鍔迫り合いだ。

「あのー、くりんぷす?」
「クランプスだ!! なんだ」
「あんたって確かナマハゲみたいなものよね。『悪い子はいねぇがぁ』って、勉強しない子とか悪戯する子を叱るっていう。それ調教じゃなくない?」

 うっ……と言い返す言葉に詰まっている羊悪魔。さらに死神は……

「寿命とか死期が来た人だけ連れていくヤツでしょ? 別に無理やり狩りとってるわけじゃないし、むしろ働き者なんじゃない?」

 え、そうかな。とか死神は少し照れている。骨だから表情はよく分からないけど。あとは羽の生えた小鬼のようなヤツ――

「あんたはアレね。足を引っ張るやつ。現実にもいるわよね、他人の足引っ張って邪魔ばっかりするような下衆」
「な?! オイラはサタン様のお力になる為に――、おい死神もクランプスも、なんだその目は!!」
「「じーーーーー」」

 若干距離を取る仲間に対して、必死にプチデビルが抗議している。仲間割れが始まったようだ。

「今まで仲良くしてたのになんなんだよ!! もういいよ、お前らとは絶交だ!!」
「プチデビル……お前も世の為人の為になったほうがいいぞ」
「大人になれ、プチデビル」

 キーッと金切り声をあげたプチデビルは、泣きながら床に潜っていった。さすがに可哀想になってきたので、残された2人に声をかけてあげよう。

「いいの? アンタたち三銃士とか言って、仲良しだったんじゃないの?」
「しかし……」
「あの子はまだ働くって事が、どういう事か分かっていないのよ。ならそれを教えて上げるのが、仲間ってもんじゃない」

 2人の目には涙が浮かんでいる。骸骨はどこから出てるんだそれ。ヨダレみたいになってるぞ。
 私の言葉に我を思い出した2人は、プチデビルを追いかけて出ていった。いったい何だったんだろう。

「流石ですミカ神様!! 悪魔達を、こうも容易く撃退するなんて!!」
「ふん、やるではないか」

 そんな尊敬の眼差しを向けられても何も出ないよ。午後のティータイムでもしようかと、ガブリエルにアールグレイをお願いした。
 この紅茶もだんだん癖になってきた。

「そういえば、おっさん神様が帰ってきたら、私はレンタル終了なのよね?」
「ええ、そう聞いてます」

 この紅茶もあと2日しか飲めないのか。ちょっと残念である。まあ、現実でも飲めるのだけれど。

 ラファたんがオレンジジュースを飲みながら不思議そうに見つめてくる、そのくりくりの瞳はある意味で凶器だ。

「ミーカーはーいーなーくーなーるーのーかー?」
「ラファたんさえ良ければ、一緒に連れて行こうと思うのだけれど」
「ふざけんな! 三大天使の1人を、たかだかOLの人間に持っていかれてたまるか!!」

 ミカエルは相変わらずケチである。
 私のやる事成す事全てにツッコまなければ気が済まないのか。
 ドカっと中年オヤジみたいな座り方をして、紅茶を啜っているミカエルに、神の思し召しをあげようかしら。

「貴女、忘れてるみたいだから教えてあげるわ」
「今度は何?!」
「見えてるわよ。スカートの中」
「――ッ!?!?」

 すぐに崩した足を正座にし、スカートを抑えている。ふむ、天使というのは生えないものなのか。それとも手入れをちゃんとしているのか、と思案しているとミカエルが剣を抜いた。

「――コイツだけは生かしておけない!!」
「み、ミカエル!! ダメです早まらないで!!」
「ええい離せ!!」

 まるで時代劇の悪代官のようにガブリエルを振り払い、ガブリエルもあーれーとかいって倒されている。この時ガブリエルも確認出来たが、やはり天使というものは生えないらしい。

 適当にあしらって倒すと、ミカエルはすんすんと啜り泣いていた。

 そんな彼女の上をパンツは羽ばたいていく。
 どこまでも遠い空のカナタへ――。
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