前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

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1章 ロンテーヌ兄妹

60 商会

翌日、領へ帰還したのはお爺様、ロダン、私、ランド、リット、ケイトの5人だ。エリはしばらくの間、ミランの手伝いで王都に残るそうだ。

そのまた翌日、ロダンが私の部屋へとやって来た。

「お嬢様。失礼します」
笑顔のロダンが逆に怖い。

「ええ」
ちょっと腰が引ける私。

「今回の王都へ向かう以前に『まだ形になっていないから後で』と言っていた件を覚えていらっしゃいますか?」

キタ。。。やっぱり。。。

「ええ」
私は気圧されて『ええ』しか言えてない。

「では、全てお話し下さい。想像だけで結構です。恐らく、今回の『領の服』はそうでしょう?」
ロダンには丸っと全てお見通しだった。。。つらい。

「ええ。わかったわ。実は。。。」
と、私はキックボードと道路整備の話をした。

「わかりました。道路整備はなぜ必要なのでしょう?街作り計画には、村からの道や城下町の道の整備は織りこんでおりますが?」

「あぁ、違うのよ。道路の素材?何て言うのか、道路の表面を滑らかにして欲しくて。そうね、馬車が通るような大きな大通りの道じゃなく、領民が使うような農道よ。幅が1.5mぐらいの道にね」

続けて下さいと、手で勧められる。

「えっと、理由としては、この走る道具が滑りやすいようにしたいの。小石が沢山あったりやガタガタな道ではうまく滑らないのよ。これで、スイ~と進みたいの」

「ほぉ。お嬢様は滑らかな道を領内に巡らせるおつもりですか?」

「ええ。壮大よね。ごめんなさい。ちょっと計画に乗っかかってしまったわ。どうせ作るなら、ついでに滑らかに。。。なんてね。あははは。。。始めは私がただ単にこれで遊びたかったの。だから、城の前の広場ぐらいでいいかなって思っていたのよ。そこで遊ぶとなると、次はスカートの裾が車輪に絡まるなって。だから領の服よ。ついでだから、領民にも浸透させて、この道具も流行らせようかと。。。だって、領内の移動が歩くより速くなるのよ。歩くより断然速いの。領民にとっても便利でしょ?荷馬車でわざわざ来なくても、遠くから城下街まで簡単に来られるようになるし、板の上に乗るので、歩くよりは疲れない!ウケると思ったのよ。唯それだけよ。それに領内限定だったらお爺様も許してくれるかな~と。。。思っていました。。。すみません」

「なるほど。領内限定で遊ぶ服が欲しかったから気軽にナダルに言ってしまったと。前回の城下のサム?でしたか?その者には、この走る道具というわけですか。。。その後に、私に道路整備の相談と」

「はい。その通りでございます」
しゅん。ロダンの前では借りてきた猫状態だ。

「わかりました。。。では、この際です。全て実現いたしましょう。この走る道具はお嬢様がおっしゃる通り、コストを抑えれば領民にも浸透するでしょう。話を伺っただけで便利だと私も感じました。あとは、領の服が予想だにせず始動しましたからね。後は、道路ですね。。。」
ロダンはだんまりになって考えている。

ケイトが紅茶のおかわりを入れてくれたが、話を聞いていたようで、
「お嬢様、こんな大それた事。思い浮かんだ時にロダン様に言うべきですよ。お嬢様のは特別なんですから。これを機に自覚をして下さい。それほどなんですよ!」

怒られた。はい。すみません、ケイト先生。今日の私はいつもより2倍ほど小さくなった気がする。ソファーにちょこんと座っている。

「ケイト。いい。もういい加減自覚はされましたよね?では、お嬢様、このままご主人様の所へまいりましょう」

ほぇ?お爺様?まずい。怒られるじゃん。って拒否権ないもんね。。。

『はい』と、とぼとぼロダンの後ろを付いて行く。


「ご主人様、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
ロダンは一礼し、私をお爺様の向かいの椅子に座らせた。

「おっ!ジェシー。どうしたのじゃ?また何かやらかしたのか?」
お爺様は笑顔で迎えてくれる。機嫌いいじゃん!今日はいけるかも!

「はい。お嬢様が新しい発明をいたしました。領の服とは別物です」

お爺様は眉をひそめ『またか』とぽつりと呟いた。

「では、お嬢様、走る道具と道路整備のお話をお願いいたします」

『ふぁ~い。。。』と、お爺様に先ほどの話を話す。

「。。。」
沈黙が辛い。

下を向いている私はチラっとお爺様を盗み見る。

目をつ瞑ってまだ沈黙。

「いかがでしょうか?ダメなら諦めます。あれこれとするのは目立ちますもんね。お爺様ごめんなさい」
空気の抜けた風船状態だよ。。。

「で?ロダンは何か言いたいのじゃろ?」

「はい。我が領がへちまんとサボンで注目されている今、この走る道具と領の服、春には歯磨き棒とオランジュ、次々と目立ちはしますが、逆に全部を一気に発表してはどうかと思いまして。これから冬になりますし、領民への手仕事にちょうど良いかと思います。他領には大いに驚かれるでしょうが、小出しにするよりは、噂や妬みも引くのが早いかと。そして、服飾店、へちまん事業など分けてするのではなく、全て一つの会社の傘下に入れ、商会を立ち上げてはいかがでしょうか?」

「ほぉ。そんな余力があるかのぉ?まだまだ事業は始まったばかりじゃが?」

「ええ。これらの商品は、幸いにも全て平民向けなのです。へちまんやサボンは売れていますが、やはり香水には及びません。所詮生活雑貨止まりです。走る道具にしても、上流貴族はその辺りの道を走ったりしません。服に関してもそうです。対外的にも、下位貴族、または平民用の商会で通せます。目立ちはしますが、所詮は平民向けだと目はつけられないでしょう。しかも、平民向けだからこそ、店を構えるのにコストがかかりません。土地代にしても建物にしても、内装、雇い人など、全てが安く済むのです。万一、上流貴族に呼ばれるような事があれば、出向けばいいだけの話です」

「なるほど。商会か。そのツテはあるのか?」

「はい。私の父、ロックにツテがございます。ああ見えて『財務本庁第5席』に籍を置いておりましたので、ミランよりは役に立つかと。ロックは年の功が幸いし、王都の商業ギルド本部の重鎮に顔が効きます」

おぉ!ロック爺!まさかの隠し球!

「そうか。。。出来るか」

「はい。恐らくですが、お嬢様のは今後も続くでしょうから。それも恐らく平民向けの商品でしょう。ですので、商会があれば、今後は商品だけが一人歩きをいたしません。『あ~、またあの商会か』ぐらいにはなると思います」

「そうか。。。ジェシー、今回のことは理解できるな?皆を巻き込んで大事になっている自覚はあるか?」

「はい。申し訳ございません。事前に相談せず、しかもまだ事業が始まったばかりで、皆も忙しい中、随分勝手をしたのはわかっております」

お爺様は、よしよしと頭をなでてくれた。
「今後は、必ずロダンじゃ。思いついたら3日以内にロダンに言うんじゃ。約束じゃぞ」
と、あんまり怒らない。

「お爺様、ロダン、ありがとう。この度はお騒がせしました。これからは3日以内に必ず相談いたします」

「よいよい。では、商会の名前を決めんとな。あとは、領の服、走る道具も名前が必要じゃ。これはジェシーが考えろ。今回の罰じゃ。よいな?」

「はい。がんばります」

「あと、ご主人様、こうなると、カイ様の話が進められますね?いい傾向です。」

「あぁ。そうじゃな。カイの悲しむ顔を見なくて済んだな。それに関してはお手柄じゃ、ジェシー。よくやった。それにな、事業を始めて税金の事もようやく目処がたった。改めて礼を言う」

「いえ。私はただ考えただけで、形にしたのはお爺様達です。でも、お兄様の事って?聞いてもいいかしら?」

ロダンはお爺様に目配せをして話してくれた。
「実は、カイ様には恋人がいらっしゃいまして、結婚をお考えのようだったのです。しかし、お相手が辺境伯のお嬢様でして。ランドのシュバイツアー家ではございませんよ。お相手の家格としては問題ないのですが、あちらの辺境伯は大領地な上に、あの香水の産地なのです。ですので、領としての力関係がやや難しく難航しておりました。しかし、この商会が軌道に乗れば、来年、再来年ぐらいには、カイ様はご希望通りご結婚できるかもしれません」

お~~~~!!!恋人!いつの間に!めでたいじゃん!

「そうなのね!よかったわ~。お兄様に役に立てるのね。しかも、あの香水の産地!いいわ~!」

「ごほん。何か思いついたのなら、私に言って下さいね。お願いしますよ」
ロダンは、私が思いついたのかもしれないと警戒している。

「ほほほほほ。ないわよ。そんな直ぐには。。。ちゃんと、思いついたその時に言います」

お爺様はこのまま下がって良いと言ってくれたので、私だけ部屋へと下がる。



あ”~~~。あの場では『はい』と言うしかなかったけど。。。また名前か。。。

私にネーミングセンスがないってお爺様は気付いてないのかな?

難しい。一度に3つもある。

商会ってお店の名前だよね。平民向けの雑貨屋さんの名前。

思いつかん。。。



私はその夜、うんうんとうなされて夜中に何度も起きてしまった。


眠い上に、頭がグルグルするぅ。頭痛い。


感想 405

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