前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

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1章 ロンテーヌ兄妹

62 花の香りのサボン?

あと1ヶ月で新年の夜会。私は社交界デビューをする。

もう、季節は冬に入っていた。そろそろ雪がちらつく頃になる。ロンテーヌ領はこの辺りから2月終わりまで真っ白な雪に覆われる。長い冬の始まりだよ。

確か、去年の今頃は、両親が冬の社交界の為早目に王都へ出発していたはず。雪が降る前に行ってた覚えがある。帰りは。。。王都を立ったのが3月始め。。。あの事故があったんだよね。。。ちょっと、葬儀の事を思い出しちゃった。。。ぐすん。



「お嬢様、顎を上げてください。目線は少し下です。そうです」
と、近頃はケイト先生と歩き方や所作の復習です。

もう1時間ぐらい、歩くだけをやっている。しんどい。背中が凝ってるよ。バキバキだ。

「はい。お嬢様、もういいでしょう。あとは、本番で緊張しなければ完璧です!お疲れ様でした」
ケイトは仕上がった私を見て、大満足に頷く。

「ええ。ケイト本当にありがとう。ケイトがいなければどうなっていた事やら。それで、当日のエスコートはお爺様かしら?」
サロンの椅子でちょっと休憩だ。

「そうですね。カイ様は他の方とお約束があるそうですよ」

ほほ~。じゃぁ、その夜会でお兄様の噂のお相手が見られるかもしれないと!

「え!じゃあ、私にも紹介してくれるかしら?確か香水の領の人だったはず」

呆れ顔のケイトは紅茶をサーブしながら小言を言ってくる。
「お嬢様『香水の人』は失礼ですよ。お相手は大領地で、かつ辺境伯のご令嬢ですよ。お言葉を選んでください!あとは、カイ様の恋人ですからね。今回は香水は関係ありません」

「は~い」

「『は~い』ではありません!お返事は短くです!」

「はい。ケイト先生」

香水か。。。一回、サボンの実験で入れてはみたんだよね~。その時は、熱いヤシシ油と相性が悪かったのか、変な匂いに変わってしまったけど。

香水に詳しいお嬢様と話せるチャンスじゃない?ちょっと、創作意欲が湧くな~。

香水の花のエキスをどうにか手に入れられないかな。そうすれば、香水のような花の香付きサボンができて、上流階級にも売れるのに。って、私が欲しいんだった。香水はちょっときついから、サボンバージョンが是非とも欲しい!まずはエキスを入手しないと。どう攻めようか。あ~!お兄様の恋人に早く会いたくなって来た!

私が黙ってニマニマしていたのでケイトに察知されてしまった。
「お嬢様。ロダン様にお話に行って下さい。今からです」

「えっ!何の事?」
分かりやすい誤魔化し方をしたら、ギロっとにらまれたよ。行くしかないよね~。

「すみません。行って来ます」


コンコンコン。
「お爺様。ロダンは居ますでしょうか?」

「おお、ジェシーが訪ねて来るとは珍しいのぉ。はは~ん。また何ぞ思いついたのか?」
お爺様は笑いながら呆れている。

「はい。それでロダンを探しています。今回は、まだ材料がありませんし、全くの想像の域なのですが」
よしよしと頭をなでて、ソファーに座らせてくれた。

「偉いぞ、ちゃんと報告に来て。ロダンにはちょっと城下へお使いを頼んでの。もう直ぐ帰って来るじゃろうから、そこの菓子でもお食べ」
と、お爺様用のお菓子のマドレーヌを頂く。

「ん!美味しい!ミラーはお菓子も上手なのね。ジャックとはまた違った美味しさね」
ふむふむ。私用のお茶の時間のお菓子では感じなかったけど。このマドレーヌ。バターが染み込んで超美味しい。

お爺様は机に戻って執務を再開した。しばらくして、ロダンが戻って来て、私を見つけると『あ~』って顔をした。

そのリアクション何気にショックなんだけど!何だよ!

私はムッとしながらロダンに話す。
「忙しい所申し訳ないのだけれど、また、作りたいものが浮かんでしまって。ケイトに行くように言われたので来たわ」

「ははっ。お嬢様、これは失礼致しました。どうぞお話し下さい」
ロダンは紅茶を入れ直してくれ、私の正面に座る。

「さっき、ケイトと夜会の話をしていたら、お兄様のお相手の話になって、そうしたら、香水だって思ったら、想像してしまって。。。」

「あ~、前も反応していましたよね。しかし、香水ですか。。。」

「ええ。以前、こっそりサボン作りをしたんだけど、その時、手元にある香水をそのまま入れてみたの。そうしたら、変な臭いになって失敗したのよ。だから、香水に詳しい人に出会えるなら、香水の製作時に使用する花のエキスを手に入れられないかと思ってね。実は香水って、花のエキスの他に色々と材料が混ざって、香水という商品になってるの。だから、その香りの元を手に入れたら、花の香りのサボンが出来るんじゃないかって思いました。そして、私はそれがとても欲しいです。以上です」

「へ~。香水の成分をご存知だったのですか?」

「ええ。異なる世界にも香水が存在していたわ。多分同じものよ。でも、前にも言ったけど、技術や製法はわからないわ。成分も一つ一つは詳しくは知らないの。情報として知っているだけ。私は商品を買う側だったから」

「そうですか。。。しかし、辺境伯はエキスの取引はしないと思いますよ。商品のカナメですからね。しかも、香水自体が辺境伯領の『特許特産品』に指定されておりますので、製法も秘匿されています。我が領の長ウリの『特許農産物』と同じく、時効がないので手が出せません」

「そう。。。ちょっとそのまま待ってくれる」

私は目を閉じ考える。

手が出せないか。。。でも諦めるの早くない?

何かないかな。。。香水自体は要らないんだし、特許云々は関係無いよね。。。どうにかエキスだけ手に入れられれば。

いっその事、一からエキスを搾り取る方法を探る?ダメだ。蒸留法とかもだけど、そもそもの原理を知らないな。

「あっ!」
ガバッと目を見開きロダンに提案する。

「今度、そのお相手と結婚するかもなのでしょう?結婚と言えば、結婚式の手土産があるじゃない!そうよ!花の香りのサボンを共同開発と銘打って作ってしまうのよ!サイズはあえて小さい物で!あぁ、ハートの形にしてもいいわね。形は今はどうでもいいわ。それで、参列者は全員上位貴族でしょうから、手土産として無料でお試しして貰えば次の購入につながるし宣伝にもなる!どうかしら?」

めちゃめちゃイくない?共同開発!いける!ちょっと気がかりなのは、辺境伯領主の性格だけど。。。

「ほほう」

「その後は、エキスを買い取ってウチだけで売るんじゃなくて、二つの領の名前でしかも数量限定で売り出すの。上流貴族は限定の響きに弱いはずよ。サボンの材料も一級品を使えば、平民用と区別ができるし、高い値にも設定できる!それで、売上を折半すれば、お相手にも旨味ができるわ。それぞれの出資は現物で、相手はエキス、こちらはサボンの製作と商品化と販売。そうよ、少し香りを抑えたものにすれば、本家の香水と喧嘩にならないわ。二人の結婚で産まれた『愛の結晶』と言うウタい文句もつければ、縁起物にもなるしイメージがいい!一石三鳥よ、いえ一石五鳥よ!」

そうだよ!前世でよくあったダブルネーム商品!絶対当たる!しかも貴族向け!いいじゃん!

「よくそこまで、この短い時間で考え付きますね」
ロダンは呆れている。サボンを開発した当初とリアクション変わって来てない?なんだか切ないな~。

「ジェシー、よく考えたな。これは。話の持って行き方で、もろ手を上げて嫁に来てくれるようになるじゃろう。カイにとってもいい話じゃ。今後、両家の力関係でヤイヤイ言われなくて済むしの。むしろ対等以上の関係になる。儂も賛成じゃ。現物支給と数量が決まっておるなら、高価な在庫を抱えなくて済むしな」
お爺様が上機嫌でノリノリになった。

「ロダン、一度作戦を練ってくれんか。カイの為じゃ」

「わかりました。ご主人様。では、お嬢様『エキス』があればいいのですね?」
ロダンもその場しのぎの説明だけど納得してくれた。やった~!

「ええ。ロダンもサボンの製造工程を知っているでしょう?花の香りさえ手に入れば、試作品を作らなくても恐らく上手くいくんじゃないかしら」

「承知しました。では、ここからはロダンの預かりとさせていただきます。お嬢様は出来上がりをお待ちください。決して、先の夜会でカイ様のお相手にこの話をしないようにお願いします。『花のエキス』は禁止用語に致します」


お~!出来ること前提なんだ!すごいよロダン。交渉なんかお手の物か!さすがロダン参謀!アダム宰相が褒めるわけだよ。


手に入るなら、全然お口チャックします!私は今日から貝です。


感想 405

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