前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

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1章 ロンテーヌ兄妹

78 一難去ってまた一難

「リット、ランド、ちょっといいかしら?」

2人は急いで退出しようとしていたので、私は慌てて呼び止めた。ビクッと肩を上げてビビっている。

振り向いた2人の手を取り、部屋の隅へ連れて行く。

「今回、助けてくれてありがとう。あのままだと本当に危なかったわ」

「いえ。。。元はと言えばこちらの問題に巻き込んでしまったのです」
「あぁ。。。本当にすまない。お嬢」
2人は私を前にしても目を合わせず、下を向いている。

「いいの。私も領だからって油断していたし。今度から気をつけるわ。でもね、護衛がいないと不安でしょうがないのよ。早く帰ってきてくれないかしら?」

「「!!!」」
2人ともびっくりしている。やっと目を合わせてくれた。

「何で驚くのよ!何でもそうだけど、悪い事をした犯人が一番悪いのよ。あなた達は悪くないわ。私はそう思う」

「でも、俺達がロンテーヌ領に行かなければ。。。こんな事に。。。」
「あの時、領だからと言って目を離してしまった。。。きちんと護衛をしていれば。。。」

「バカね。そんな『たられば』話は考えても無駄よ。あなた達はただカッコ良すぎて、変な令嬢に好かれてしまっただけの哀れな男よ。そして私は運が悪かっただけ。ね」

「哀れ。。。か」
リットは顔色が変わって、スッキリした顔になった。

「お嬢様には敵わないな。。。」
ランドも後ろめたさがちょっと無くなってきている?

よし。もうひと押しか?
「そうよ。だからこれで許してあげる」

私はリットにナイフを借りる。それで2人の手首にナイフで傷を作った。手首を一周する薄い傷を。

「これを見る度に事件の事を思い出して。傷は浅いからしばらくすると消えると思うけど。消えたらもう忘れていいわ。あなた達がいつまでも事件を、ズルズル引きずるなら、私が終着点を作ってあげたの。傷がある内は自分と葛藤するなり、何なり好きにすればいい。でもね、その罪はその傷と共にあなた達の中でも終わるのよ。わかった?」

「「ありがとう。。。お嬢」お嬢様」
2人は消えそうな声で私の手を握りしめる。

「じゃぁ、今から護衛に復帰してね。これから宰相様とお茶をしなくちゃいけないの。一人じゃ怖いわ。ついてきてね」
2人は私をお爺様の所へ案内すると、お爺様にゲンコツをもらっていた。

「儂からはコレじゃ。もう勝手をするなよ」
お爺様はそれだけ言うと、ロダンとマーサを連れて別室へ移動した。

「おや?まだ使うのですか?あんな事があったのに?」
宰相様は少々お怒りの様子。2人を睨んでいる。。。ん?何であんたが怒るんだよ。

「ええ。今、仲直りをしましたから。私の護衛はこの2人です。では、行きましょう」



「では、こちらに。護衛はドアの外で待機して下さい」
宰相様の執務室へ通された私は、部屋の中を見てびっくりした。

紙の山がど~んと机の上に乗っている。

「お忙しいのですね?」

「あぁ。。。コレは今回の事件の書類ですよ。事が事だけに。。。何、3日あれば片付きますよ。それより、こちらへどうぞ」
宰相様に促され、ソファーに座る。侍女さんがお茶を用意してれた。

「ありがとう」
侍女はビクッとなったが一礼して部屋の隅へ下がった。

「お礼を言うのですか?」

「あぁ。そうでした。私の侍女にも注意は受けましたが、もうそう言うのは止めにしたんです。誰であろうと、してくれた事にはお礼を言うと決めたんですよ。今回死にかけて、つくづく思いました。やりたい様にやろうと。だからお礼ぐらい言っても損はないでしょう?上流貴族のマナーには反するでしょうが。。。私は将来、ロンテーヌ領へ引っ込みますから。開き直ったんです」

「ははははは。そうですか。私も別にいいと思いますよ」
宰相様は紅茶に手をつけてくれたので、私も飲む。

「それで?お話とは?」

「あぁ。今回の顛末ですが。。。はっきり言って予想外でした。王に頭を下げさせるなど。何を考えてそうなったのか、教えて欲しくてね。いや、怒っているのではないよ。私が気になったんですよ」
宰相様はワクワクしている。

「別に深い意味はないですよ。今回、王様に借りを作りたくなかったのです。謝ってもらってチャラにしました」

「ほ~。借りがある方が今後は有利になるのに?」

「それですよ。その『今後は有利』が要らないんですよ。変な関係になっては、それこそ今後ややこしくなるでしょう。私と王様の間には何もない方がいいんです。ロンテーヌ領も別に今更王様に恩を売っても特はありませんし。あのままでは、領主であるお爺様やお兄様が王家に対して遺恨が残る可能性があったのです。家族思いですからね。とても」

「はっはっはっ。何ともすっきりした考えですね。それだから第一王子に気に入られるんでしょうね。外ではちゃんと猫を被るのではなかったのですか?」

「あはははは。。。本当にそれですよね。私もガラにもなく熱くなりました、お恥ずかしい。。。しかし、あの王子様、ちょっと王様に似てませんか?面白い物好きというか、人と違う事に興味を持つとことか」

「あぁ。第一王子はそっくりですね。頭が良くて腹黒い。王の器に相応しい」

「腹黒いか。。。ま~、そうでしょうね。そうじゃなきゃ、王様なんて出来ないですもんね」

「でも、王は少々少年ような所がありますから。。。まだ、堅実な王であると言えるでしょうが、王子は。。。なんせ頭がキレるお方です。あなたの所のロダン参謀のような頭脳をお持ちだ」

へ~。策略家の腹黒か。。。

「ま~。性格はよっぽどでない限り国民にはわかりませんから。いいんじゃないですか?むしろ、国にとっては頭のキレる王様で安泰ですよね」

「では、王子と結婚でもしますか?」

「はぁ~?だから、権力は要らないんです。以前、お話ししましたよね?私はロンテーヌ領に帰るんです」

「そうも言っていられるかな?王子は頭がキレるんですよ?お忘れなく」

へいへい、そうですね~。私はツーンとして紅茶を飲む。

コンコンコン。
侍女が顔を出して確認している。宰相様に耳打ちし、頷いたのでその尋ね人を招き入れた。

「邪魔するぞ」
入ってきたのは、王様とグレン様、噂をしていた王子様だった。

私はバット立ち上がり、カーテシーをする。

「ジェシカ嬢。それはいい。そこの侍女。ドアの外へ」
王様が命令するとそそくさと退出して行った。

。。。

宰相様を睨んで見る。

宰相様は両手を上げて私は関係ないと頭を振っている。

「ははははは。私は邪魔か?」
王様はそんな事を言いながら、みんなを席に着くように促す。

「いえ。そんな恐れ多い事。。。ほほほほほ」
私は急いで猫を被ったけど遅かった。

「私の前では普通にしろと言ったよな?何て呼ぶんだった?」

え~!ここで言わす?ニヤニヤと王様は私を見てくる。

「。。。はい。エド様。嫌じゃないですよ」

ピキ~ン!王子様が固まった。

「父上、エド様と聞こえたのですが?」

「あぁ。こいつには許している。お前もこいつの秘密についてあとで教える。今日は質問はなしだ。ジェシカ、コレも王子だ。の事は遅かれ早かれ話さなくてはいけない。わかるな?」

「はい。エド様にお任せします」

「グレン、檻を」
いつものようにグレン様の檻で囲まれた。

「は~。檻ができるまで、ちっとは我慢せんか?エド。無防備すぎるぞ」
珍しくグレン様が苦言を言っている。

「グレン様も怒るのですね?」

「あぁ。いや。。。しかし、さっきは一騎士の為、ああ言ってくれてありがとう。元部下だからな。ジェシカの気持ちが大変うれしかったよ。俺はどうにか理由をつけて殉職の方向へ持っていく。約束する」

「よかったです。お願いします。私もちょっと心苦しくて。。。まだ23歳ですよ。はー」

「そうだな。。。若すぎる。。。」
グレン様と私はしんみりする。ぐすん。

「しかし、よくあんな処罰を思いついたな。ひと思いに死刑を望んでいると思っていた」
死刑ってアンタ。エド様の前だよ!宰相さん!

「ええ。実は目が覚めたら傷がなくて実感がわかなかったんです。心は痛いのに、どこか夢のようで。。。だからかもしれませんが、心理的に追い詰めようかと思いまして。内容は違いますが、自分のされた事を返しただけです」

「ほ~。それであの処遇か。考えたな」
宰相様はニタニタしている。

「でも。すみません。お二人にとっては娘と妹ですよね。思う所があったんじゃないですか?」

二人は顔を見合わし笑い出す。
「ははははは。ないですよ。今まで決定打に欠けていただけで、処分できてよかったです。あれは、王族と名乗るには国にとって害でしかない」
爽やかイケメン王子はキレイな顔で毒を吐いた。

。。。この親子にして、あの娘か。。。

「私は、いつかは正気に戻るんじゃないかと少しだけ期待はしていた。ランドが目の前から消えたら次に行くかと思っていたんだ。だから、ランドもすんなり辞めさせたし、ランドの行方も追わなかった。裏目に出てしまった。。。すまん」
と、また頭を下げてきた。

「もういいですよ。エド様。親の心子知らずですよ。なんてね」

「面白い言葉だな。しかし全くその通りだ。もうないか?」

「その反対もです。子の心親知らずです。肝に命じて下さい」

「。。。そうだな。それで報告がある。お前には関係ないが。。。ケリーと離縁する事になった」
宰相様以外がエド様を見た。

マジ?

「宰相様は知っていたのですか?」

「おい、私の名は?檻の中では役職名で呼ぶな」

「は~。。。アダム様は知っていたのですか?」

「あぁ、随分前からエドから相談されていた。グレンも何となくは気が付いてはいたんじゃないか?冷めた感じを」

グレン様は『あぁ』と頷いている。

「そうですか。。。お母様は今後どうなるのでしょう?」

「そうだな。。。実家に返すも。今は没落した元王族だしな。考え中だ」

。。。

私帰ってもいい?これって聞いても意味ないよね。知らんぷりでお茶をすする。

「ジェシカ、何かいい案はないか?」

え~。絶対来ると思った。。。ないよ!夫婦の事でしょう?犬に噛まれるよ?

「え~。私関係なくないですか?」

「ま~ま~、そう言わずに。お前なら違う視点で物事が見えるかもしれんし」
と、アダム様も巻き込んでくる。

「アダム様こそ、宰相なんですからお国の為に知恵を巡らせて下さい。私は管轄外です」
プイッとあっちを向いて腕を組む。

ぷぷぷとグレン様が笑ている。

いやいや、笑っている場合じゃないよ。ま~ま~な案件だよ?コレ。


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