前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

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1章 ロンテーヌ兄妹

日記 カイデールの1日

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「ようこそお越し下さいました」
俺は王都の屋敷の玄関に立ち、ロゼ領領主達を出迎える。冬の社交で王都へ来ていた俺は今回のお茶会を企画した。

10ヶ月と3日ぶりのアンジェ!!!

「あぁ。招待して頂きありがとう。アンジェも挨拶をしなさい」
ニコニコとロゼ辺境伯がアンジェを促す。

「お久しぶりでございます、カイデール様。アンジェリカでございます。本日はお招きありがとうございます」

俺はクリスに目配せし、応接室へお二人を案内する。

赤い真紅のドレスが歩く度に輝いている。スレンダーなアンジェにぴったりなドレスだ。

「アンジェリカ嬢、とても素敵なドレスですね。あなた自身も会えないうちに輝きが増しましたね」

「あら、カイデール様。私の事など忘れたのかと思いましたわ」
アンジェは頬を少し膨らませながら俺を見る。

「あなたの笑顔を忘れる日など。。。会えない時間がよりあなたを愛しくさせた。私のミューズ」
俺は、エスコートしていた手を取り軽くキスをする。

アンジェはポカンと口を開け私を見ながら全身を赤くする。

「まぁまぁ。カイデール殿。その辺で。ははははは。若いとはイイもんですな」
ロゼ領主のスミス様は俺とアンジェを見ながらニヤニヤしている。

「お、お父様ったら。。。ちょっとびっくりしたのです。カイデール様からそんなお声をかけてもらうとは。。。申し訳ございません」
まだアンジェは赤いままだ。

くっ。かわいい。

応接室につき、二人に席を勧める。

「本日はお忙しい中、わざわざお越し頂きありがとうございます」

「いやいや、かわいいアンジェの為だ。して、本日はどういった話かな?」

俺はアンジェとの今後の話を切り出す。
「はい。もうすぐあの事件から1年になります。あの時は婚約を『保留』にして頂き、ありがとうございました。それで、今後ですが、婚約をきちんと交わし、大々的に発表をしたいと思いまして」

「ほぉ。。。しかし、まだまだロンテーヌ領はお忙しいのではないか?」
スミス様はすました顔で紅茶を飲む。

「ははは。手厳しいですね。しかし忙しいのはどこの領主も同じでしょう。。。そうですね。アンジェリカ嬢をお迎えするのにはまだ時間がかかりますが、形だけでも婚約をしたいのです」

「アンジェの為か?それとも自分の為か。。。」

「私の為です。もちろんアンジェリカ嬢の為でもあります」

「己の為と認めるか。。。アンジェ、お前はどうだ?」

「はい。お話に失礼致します。私もカイデール様と婚約したいと思っております。あの時の気持ちは何ら変わりはありません。そして、行く行くは結婚したいと思っております」
アンジェは顔を赤くしながらも、キリッとした目でスミス様を見る。

「そうか。。。お前達は10ヶ月も会えないのによくブレなかったな」

「恐れ入ります。私にはアンジェリカ嬢しかいませんので。あの時『待つ』と言ってくれたその一言が、今の私の動力源です。そして、現在、領主としてなんとか形になってきました。ですので、ぜひ、婚約だけでも結びたいと思っております。どうしても他の誰かに掻っさらわれそうで。。。」

ふむ。とスミス様は考え込み、応接室は静まり返る。

俺はアンジェの方を盗み見る。パチっと目が合い二人とも赤くなって目を逸らしてしまった。

「ははははは。お前達はいつまでも初々しい。。。これも恋愛で結びついたからなのか」
スミス様は俺たちの様子を見て笑い出した。

「スミス様。現在、我が領は色々な意味で注目されています。アンジェリカ嬢には誹謗中傷など要らぬ苦労をさせるかもしれません。しかし、決して涙を流させはいたしません。私が必ず盾となります!」

「はっはっはっはっは。これはこれは情熱的だな。これが恋愛結婚の申し込みか。。。アンジェの為を思えばこの上ない話だろうが。。。」

ん?スミス様は渋っている?

「何かお気になる事がございますか?」

「まずは、政略結婚と違い恋愛結婚は割り切りができない。ロンテーヌ領は21領主の中でも頭角を現してきた今、第2夫人が来ないとも限らない。その時は領が優先になる。当たり前のことだが。。。心で結ばれている分、アンジェの事を思うと、ちとひっかかる」

「それはなんら問題ございません。我が領は代々恋愛結婚で、かつ妻は1人です。死ぬまでただ1人を愛し続けます。これは我が一族の性分になるでしょう。ご不安でしたら、誓約書を交わしても構いません」

するとアンジェは慌てだした。

「お父様。私は覚悟はできております。誓約書だなんて!カイデール様、無理はなさらないで下さい。領の為を第一にお考え下さい。万一、第2夫人が必要ならば。。。私は、それでもいいからカイデール様と一緒になりたいのです」

「しかし、アンジェ。人の気持ちは予想ができない。お前も20だ。本当にこの縁で後悔しないのか?」

「はい」
と、アンジェは俺とスミス様を見る。

「スミス様。領主として心もとないと思う事もあるでしょうが、私は決してアンジェリカ嬢を不幸にいたしません。約束します。私の真心はアンジェリカ様に!」

スミス様は2人の熱い眼差しに根負けし、最後は首を縦に振ってくれた。

「お父様!ありがとうございます!」
アンジェはうれしそうだ。

「では、婚約にあたり話を詰めたいのですが、以前の取り決めでいきたいと思います。いかがでしょうか?」

「以前の取り決め?あれで良いのか?ロンテーヌ領に何の旨味もないぞ?前と今では領の価値が違うが?」

「ははは。少しは認めて下さったみたいでうれしい限りです。しかし、我々は問題ありません。元のままで。私はアンジェリカ嬢さえ側に居てくれたらそれで」

「。。。そうか。それほどまでに」

その後、スミス様と婚約の日程や取り決めを再度まとめた。クリスがスミス様と次回の話し合いの話をしている。

俺はその隙にアンジェをテラスに誘った。

「アンジェリカ嬢を少しお借りします。テラスから見える中庭をお見せしたいのです」

スミス様の了承を得、アンジェをエスコートしテラスへ移動する。

「カイ様。私驚きましたの。歯の浮くようなセリフがスラスラ出てくるのですね。。。正直、別の方のようで戸惑ってしまいます」

「ははは。アンジェ、俺は何も変わってないよ。あれは仕事用だ。ミランに『文言集』を作ってもらって丸暗記している。俺も夜会などで言ってる時、自分自身に寒気がする時がある。あはは」

「寒気ですって?じゃぁ、私へのあの言葉は定型文ですか?」
もうっ!とアンジェが怒っている。。。かわいい。

「違うよ。あれは自然に出て来たんだ。今日のアンジェは一段と美しいよ」
イチャイチャしたい俺はさりげなくアンジェの頬に手をやる。

「もう!カイ様ったら」
アンジェが赤い頬で俺を見つめる。

いいよね?いいよね?俺はさっと周りを確認しアンジェリカの口にキスをした。

「。。。会いたかった」
と、俺はアンジェを抱きしめる。ほんのり金木犀の香りがする。は~、癒される。

「私も。。。カイ様」
アンジェの細い手が私の背中をなでる。。。。いかんいかん。反応してしまうじゃないか。

俺はさっとアンジェをソファーに座らせ、会えない10ヶ月の日々の話を話し始めた。

「そう言えば、カイ様。先月、ジェシカ様よりお手紙を頂きまして、何色が好きかと問われましたわ」

「ん?ジェシー?何だろう。あいつは裏があるような事はしない。普通に返事して問題ないよ。。。しかし、アンジェ。領へ来たらびっくりする事満載だぞ。毎日楽しい事づくしだ。それは来てからのお楽しみだな。あとは、ジェシーとは仲良くなって欲しい。あいつには肉親が俺しかいないからな」

「はい。もちろんです。ジェシカ様は色眼鏡で決して私を見ません。さすがカイ様の妹です。私はそんなジェシカ様が、あの笑顔が大好きです。仲良くして頂くのは私の方ですよ」

あぁ。。。そうだった。アンジェは香水の領という事で、男も女も群がっていたな。学生時代が懐かしいな。って、卒業してまだ1年も経ってないけど。領主の仕事がこれほどまでに学生時代を遠く感じさせるとは。。。

「アンジェ、新婚でしかもこの歳で領主夫人。しかも妹がいる。王族に覚えは良くても後ろ盾がない。。。苦労をかけるがついて来て欲しい」

俺は座っているアンジェの前に跪きポケットから亡き母の指輪を出す。

「アンジェリカ・ロゼ。私、カイデール・ロンテーヌの妻になって欲しい。私はこの愛を一生あなただけに捧げる」

『ひゅっ』
と、息を飲んだアンジェリカは両手で口を塞ぎ、涙目になっている。震えた手が俺の前に差し出された。

よし!OKって事だな!俺はすかさずその指に指輪をはめる。

「す、末長くよろしくお願いいたします。私もあなただけを愛すると誓います」

俺は立ち上がりアンジェの手を包み込む。少し震えていた。何て愛おしいんだ。

すると、あちこちから拍手が起こった。テラスの入り口にはスミス様も居る。

「おめでとうございます!」「領主様!」「カイ様おめでとう!」と使用人達総出で拍手をしている。

。。。恥ずかしい。俺は頭をぽりぽりと掻き、アンジェの手を取り一礼すると、アンジェはカーテシーをした。

パンパンパンと拍手をしながらスミス様が近寄ってくる。
「こんな愛が溢れるプロポーズを見られるとは。。。気恥ずかしいですな。まるで物語のようでしたよ。しかも、娘の。ククク。それに、この使用人達。カイデール殿は皆に愛されておいでだ。まさにロンテーヌ領は愛の領ですな。とてもすばらしい。目の当たりにして安心しました。父として。。。本当に。。。アンジェを頼みます」

スミス様は使用人達の近い距離に文句も言わず、笑顔で一緒に祝福してくれた。

「ありがとうございます。スミス様。作法も何もかもが田舎臭いでしょうが、そう言って頂けたら幸いです。我が領は『絆』が自慢なのです。アンジェリカ嬢の性格も私にはとても愛らしく映っています。こんな使用人と近い私供を『優しい』と言ってくれた時から、私にはアンジェリカ様しかいないのです。アンジェリカ様は必ずや我が領の至宝となりましょう」

俺は今、絶頂の有頂天だ。まだまだこれからもがんばれる気がする。

「アンジェリカ嬢。この冬は王都に居るのだが。。。領主会議や社交などであまり会えないかもしれない。。。」

「いえ。大丈夫です。別にデートに行かなくてもいいのです。お仕事のお邪魔にならない程度にこのお屋敷へ私が参ります。5分でも10分でも、お顔が見られればよろしいのではないでしょうか?」

「それでは。。。観劇やお茶会に出たいだろう?」

「いいのですよ。カイデール様の側で本を読んだりお茶を飲んだりします。それだけで十分幸せです」

「アンジェ!!!」
俺はうれしさの余り、ガバッとアンジェを思わず抱き上げてクルクルしてしまった。。。スミス様の前で。。。

「。。。おい。もう、止めてくれ。胸焼けがしそうだ。。。恋愛結婚とは、何とも。。。カイデール殿。私の前でも自然にしてくれ。もう、取り繕う事もないだろう。家族になるんだ。普通にしてくれていい。あと、私の事は父上と呼ぶように。お父様だけは止めてくれよ」

スミス様は呆れた顔でアンジェを呼ぶ。そろそろ帰る時間だ。

「はい、父上。父上も末長くよろしくお願いします。俺の事もカイとお呼び下さい」

スミス様はヒラヒラと手を振って、そのままアンジェと共に帰って行った。


しゃー!!!!!

見送りを終えた俺は、思わずエントランスでガッツポーズをした。


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