前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

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2章 魔法使いとストッカー

36 鶏揚げ誕生

「お嬢様、指示だけをお願いします。曲がりなりにも公爵令嬢である事を思い出して下さいね。そして、ここは厨房ですのでご容赦下さい」
塩ミラーはいつもの無表情で、私が自分の聖域に入る事を拒んでいる。

「思い出すって。。。でもここは自領の屋敷よ。気にしなくてもいいのでは?」

「いえ。ここはロンテーヌの領ではありません。王都の屋敷です。料理人の下働き達も増えました。どこでどんな噂になるか。。。もう少しお気になさった方が良いかと」

「そんな~。。。今日は他の下働きもいないじゃない?ダメなの?」

ロダンもミラーに賛成なようで
「お嬢様、見るだけでも良しとしましょう。本来、貴族令嬢は厨房に足すら踏み入れません」

「わかったわ。では、ミラーよろしくね」

『はい』と返事をして、私の目の前で調理を始める。今日は、厨房には私とミラーとロダンとユーリだけである。

材料は
『鶏肉、小麦粉、カタクリ、卵黄、塩、コショウ、にんにく』

醤油と生姜がなかったので、今回はシンプルに塩唐揚げだ。一口大の鶏肉に調味料を揉み込む。

「では、油を高温まで温めてね。木の棒はある?細いのがいんだけど」

「棒ですか。。。かくはん棒でもいいでしょうか?木製です」

『かくはん棒』が何かわからないけどとりあえず持って来てもらう。

ミラーが取り出したのは、ちょうど『菜箸サイバシ』の片方のような棒。

「材料を混ぜる時に使う道具です」

「そう。では、かくはん棒を完全に乾かしてね。水を含むと油がはねて危険だから。それでね、そのかくはん棒の先を温めた油に入れてみて?」

ミラーは言われた通りに棒を入れる。かくはん棒の先はプチプチと空気が出てきた。

「ミラー。この先の泡がもう少し多くで出したら、揚げるのにちょうどいい温度になるの」

「わかりました。。。しかし、揚げるのは了解しましたが、普通・・はフライパンに半分ぐらいです。このような深い鍋に、贅沢にもこんなに油を注がなくても。。。どこでこんな方法を思いついたのですか?」

おっと。やばい。でも、普通って。。。あ~、例のイタリアンシェフか。ミートボールかフリットか。そうかそうか。

「いえ、学校の実験でね。。。思いついたのよ。気にしないで。今日は私の言う通りにして。後で、ミラーが遣り易いように工夫してくれてもいいから。今日だけお願いね」

わかったとミラーは頷いて、鶏肉に小麦粉とカタクリを混ぜた粉をまぶしている。

「じゃぁ、揚げてみてね。そうね~、お兄様の髪色になるぐらいまで揚げてね」

ふふふ~ん。

バチバチと油がはねる音が響き渡る。厨房に唐揚げの香りが広がっていく。

「う~ん。いい香り」
私は思わずうっとりだ。

「お嬢様!美味しそうですね!」
ユーリも目がランランしている。

「あっ!そうだ!ミラー、レンモ(レモンの事)を切ってくれる?あと、茹でた玉子ってあるかしら?」

ミラーはさっとレンモと玉子を持って来た。
「ちょうど、昼に茹でた玉子があります」

よしよし。

「じゃぁ、レンモは半円状に切ってね。後はね、生の卵黄と細かく切った玉ねぎ、レンモの汁、塩と砂糖、オリブ油を混ぜて、最後に茹でた玉子を、これも細かく切って混ぜてみて」

唐揚げのお供、レンモと即席タルタルソースだ。

ミラーは言われた通りに、唐揚げを揚げる片手間に作業を進める。

すごい。さすがプロの料理人。

どんどん出来上がっていく唐揚げを見るうち、ヨダレが。。。つまみたい。

そろ~っとロダンを見ると、わかっていたのか、ニヤッと笑って『ダメです』の一言。

私はシュンと項垂れて。揚げ上がるまで待つ事にした。

「出来ました。お嬢様」
塩ミラーが簡単に唐揚げを盛り付けて目の前に出してくれた。

「では、試食をしましょう。今回は下位貴族や平民を基準にしてるから、マナーは置いておいてね。では、フォークを頂戴。あと、この唐揚げは塩味だから、酸味が欲しければこのレンモを絞って振りかけてね。あと、好みもあるけどこのソースも試してみて。では、どうぞ召し上がれ」

ユーリとロダンは私が食べるのを待ってから、口に入れた。二人とも目を見開きもぐもぐしている。

ミラーも遅れて口に入れた途端に同じ顔をしている。

よしよし。いい感じ。

「どう?唐揚げって言うのよ。ミラーから見て商品になるかしら?」

「はい。恐らく」

もうひと押しかな?ピリ辛味とかチーズ味が欲しいことろ。

「基本はこの調味料でいいと思うから、工夫してね。チュロスみたいに色々な味が出来るんじゃないかしら?」

ミラーは『はっ』とした顔になり、早速考え出した。

よしよし。これはプロ任せてた方がいいかな。

「では、この唐揚げを一人前5個ぐらいとしてクラスの人数分お願いね。大量になって申し訳ないけど」

「はい。大丈夫です」

「お嬢様。少しよろしいでしょうか?」
ロダンから質問が出た。

「この商品の名前は『唐揚げ』でよろしいでしょうか?何か特別な理由などあるのでしょうか?ちょっとピンと来なくて」

あ~。確かに。私は『唐揚げ』で小さい頃から刷り込まれてたからね。確か、前世のトウの国から伝わった揚げ物料理で唐揚げってなったような記憶が。。。昔の中国なんて、こちらでは関係ないもんねぇ。う~ん。

「そうねぇ。では連想しやすく『鶏揚げ』とかでいいんじゃない?料理の名前って分かりやすい方がいいでしょう?」

『鶏揚げ』って。本当にネーミングセンスが壊滅的だな、私って。とほほ。

「特別な意味がないようなら、そちらの方が浸透しやすいでしょう。では『鶏揚げ』にしましょう」
ロダンはメモを取りながら、料理についてまとめている。多分、特許を取るのかな?

「では、諸々の事をお願いね。いつも言うばかりで任せきってしまって申し訳ないのだけれど」

「いえいえ。お嬢様の考える商品自体はシンプルな物が多いですから。手続きも手間もさほどかかりません。問題ございません」
そう言うとロダンは一礼して厨房から出て行った。

「お嬢様!私はこれなら何個でもいけます!とっても美味しいです!」
ユーリは鶏揚げに夢中だ。

「お嬢様、これは工夫次第で平民にも浸透します。ネックは油ですね。少々原価の調整をしなければ。。。ちょっと他の材料とか考えてみます」
ミラーも料理人魂に火がついたのか、メラメラヤル気になっている。

「うれしい。ミラー、期待してるわ」

こうして『鶏揚げ』の試食会はスムーズに終わった。

ピクニックの料理問題が何とかなってホッとしたよ。あとは、サンドイッチだね。

そうだ!

前世のサブウェ◯みたいに、色々具を並べて、パンも2~3種類用意して、自分の好きな具をサンド出来るようにすればいいんじゃない?好き嫌いもあるだろうし。男の子なんかはハムやローストビーフをモリモリ食べたいだろうしね。あとで、ロダンに提案しておこうっと。

私は残りの鶏揚げを食べて、そのまま厨房を後にし部屋へ戻った。


夕食の時間、四角く整えられた少し大きめのお上品な『鶏揚げ』が出て来てびっくりした。ミラーは早速、私達用に作ったみたい。

そこで喰いついたのは、お兄様だよね~。うまいうまいと秒で平らげていた。

「ジェシー。これは平民用と言っていたが、平民用と言わず毎日でも食べたい味だ。うまい!さすがジェシーだ!他にも無いのか?」

「お兄様、これは本来と少々形が違います。ミラーがお兄様の為に工夫したのでしょう。。。他の料理は、パッと思いつきません。それは追々って事で」
残念そうなお兄様だが、ちゃっかりお代わりをしている。

まっ、前世の料理は後回しで。だって、先達のイタリアンシェフのおかげである程度、料理無双は終わっている。

いや、私もしてみたいよ。できれば麺系で。って、もうパスタはあるし。。。ラーメン?うどん?知識も限られてるしね。これは落ち着いてから追々で。

私は前世の料理に想いを馳せながら、お上品な『鶏揚げ』を堪能した。

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