前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

文字の大きさ
102 / 135
2章 魔法使いとストッカー

37 ブラックホール

「ではみんな、今日は大いに楽しんで下さい。それと、昼食に協力して下さった、ロンテーヌ領とサリー領の皆さん、クラスを代表してお礼を申し上げます。ありがとうございます」

ピクニック開始の挨拶をした、副将のウィリアム君の演説と共に湖畔での立食パティーが始まる。料理のテーブルには、大量のパンと野菜や肉の具のお皿が並ぶ。ウチの使用人達とサリー領の使用人達が生徒と反対側に立って、リクエストを聞いて具を次々と挟んでいる。

「ジェシカ君、凄いですね。さすが公爵様」

目をランランにさせているマイケル君が私に一声かけて、足早に料理の前へ走って行った。

「さぁ、私達も行きましょう」
私がミーナ君と料理が並んでいるテーブルへ移動しようとした時、

「ジェシカ、今日はご苦労さん。皆、21領主の料理が食べられると嬉しがっていたよ。俺からも礼を言う」

のほほ~んとした感じでロッド先生が後ろから話しかけてきた。

「いえ。そんな大層な料理ではないのですが。。。今日はみんなも気後れせずに食べられる様な物ですので。逆にがっかりしなければいいのですが」

「いやいや、十分だよ。さっきちらっと見てきたが、中身を選べるサンドイッチ? ってのが面白くていいんじゃないか? あとは鶏揚げと言うヤツだな。一口大で食べやすいし、何よりうまい」

ニコニコとロッド先生は一足先に食べたのか、料理を褒めてくれた。

「そう言って頂けると安心しました。では、私達も食べて来ます」
と、私は自然に見える様にロッド先生から距離を取るように離れる。そうして、ミーナ君とテーブルの前に行くとメリッサ君がちょうど注文をしていた。

「レタスとオニオンで。あとはローストビーフを一切れお願い。ソースはこの黄色いのでね」

「メリッサ君」

「あぁ、ジェシカ君。これは面白いね。パンの大きさから具の内容まで、自分で決められるのが楽しいよ」

「そう。よかった。内心ドキドキしていたのよ。みんなの期待に応えられるか心配で。ふふふ」

「そうだよね… 私も散々悩まされたよ。でも概ね良好じゃない? みんな喜んでくれているみたいだし」

「そうね。じゃぁ、また後で」

「ちょっと、ミーナ君、ごめんね。ロダンに相談があるから」
と、私はちらっと確認してテーブルの端にいるロダンの所へ向かう。

「ロダン、今日はありがとう」

「いえいえ。反響がよろしい様で何よりです。特に、鶏揚げはいいですね。これは商品化に決定です」

ロダンは鶏揚げを頬張っている生徒を見て満足気だ。

「そうね。鶏揚げを刺している竹串を冬の領の手作業に加えられるわね」

「いいですね。領民も増えて来ていますし。それよりお嬢様は食べなくていいんですか?」

「えぇ。それよりロッド先生は確認した?」

「あぁ… えぇ、先ほど挨拶を致しました。お嬢様がおっしゃられていた『無害に見えて何となく引っかかる』がわかりました。私も同感です。先ほど、接触されていましたが、上手く避けられてよろしゅうございました」

あぁ。見てたのか。

「なるべくね。王様とも約束したし」

うんうんと、ロダンは普段の私の学校での、ロッド先生への対応も確認できて満足な様子だ。

「では、お嬢様の分は私がいたしましょう。どうされますか?」

ロダンは私が普段食べるパンより少し小さめのサイズを手にとって、どんな具がいいか聞いてくれた。

「じゃぁ、これとこれ、あとローストチキンもね」

ロダンは片手なのを忘れるぐらい、流れる様な手つきでパッパッとサンドして紙で包んで渡してくれる。

「どうぞ。パンが小さいサイズなのでおかわりできますよ。では、楽しんで下さい」

「さっすが~! ありがとうロダン」
私は受け取ると、ミーナを探す。

「こっちです!」
ミーナが手を振ってくれたのでそちらの席へ移動すると、ロッシーニとニックもいた。

「あれ? みんなお揃いで。今日も付くの?」

ロッシーニは私の席をエスコートしながら答える。
「はい。今はロンテーヌ領の従者として付いています。お気になさらず」

「そうなんだ」
と、さっとメリッサ君を目で確認する。あっちも、普段家で付いているであろう従者と侍女が控えていた。

まっ、そうなるか。学校といえど屋外。しかも、授業じゃないしね。でも浮くな~。せっかくクラスメイトとの親睦会なのに… しょうがないか。

「ジェシカ君。問題ないですよ。学食と思えばいいんです。いつも私達が付いているでしょう? クラスのみんなもあんまり気にしてない様ですし。大丈夫ですよ」
ミーナ君は私が気にしていると感づいたのか、フォローしてくれる。

「ありがとう。そうね、私の従者は学校も家も一緒だし。問題ないか」

では、いただきましょうと、オリジナルサンドを一口パクリ。

んま~! 何このソース。めちゃくちゃ美味しいんですけど。ミラーのオリジナルかな? チキンによく合う!

鶏揚げもパクリ。んんま~! 塩加減が抜群じゃん! 私のレシピより美味しくなってる! さてはミラー研究したな~。何て、思いながらサンドを頬張る。

クラスメイトも食べてはおかわり、食べてはおかわりしている。

うんうん。好評だね。これは商機が見えたぞ!

「ジェシカ君、これはロンテーヌ領の郷土料理かい?」
いつの間にか、私のテーブルには何人かのクラスメイトが集まって来ていた。

「えぇ… (違うけど)ちょっと形は変えたけど。みんなどうかしら? 今度、ウチの王都店で出そうかと思ってるんだけど。売れるかしら?」

「売れると思うよ! ばっちし。ジェシカ君のお店って、平民街に近いあのお店だろ? それなら下位貴族には買う奴はいっぱいいるよ。何せ、手軽で美味しいし… でも…」
ウキウキで褒めてくれたフィン君が、尻すぼみになる。

「ん? 何かしら。気にせず言ってくれていいわよ」

「そう? じゃぁ。怒らないでね。この鶏揚げは21領主、上位貴族には難しそうだよね。おっ、美味しいんだよ! それは嘘じゃないよ。でも、このスタイル、棒に刺したのをパクっとはしないよね。普通」

「あぁ… そうね、マナーではダメね。でもいいの。これは上位貴族用じゃないから。変に気を使わせてしまってごめんなさい」

「いやいや、謝らないで。そっか、俺達用か。早く売り出して欲しいな」

「そうね、私は詳しくは知らなくて… あくまで『予定』だそうだから。売り出す時は1番に教えるわ」

「やった! それならみんなに宣伝しておくよ」
「俺も」「私も」
と、みんなは笑顔で『勝手に広告塔になってくれる隊』を結成してくれた。

ふふふ。これで宣伝費もちょっとは浮くな。しめしめ。

「では、デザートを食べようかな」
と、メリッサ君とクラスメイト達でメリッサ君が用意してくれたデザートへ向かう。

テーブルには、これもまた、一口サイズの色とりどりのケーキやゼリーが並んでいる。本当にミニミニサイズで目にも可愛い。

「すご~い。どれもこれも食べるのが勿体無いわ。かわいい」

私がテーブル前で歓喜していると、ちょうどメリッサ君がやって来た。

「ありがとう。ジェシカ君にそう言ってもらえただけで、ウチは胸をなでおろせるよ。何せ公爵令嬢様だからね」

パチンとウィンクしてサリー領の使用人に目配せした。みんな晴れがましい顔でニコニコとしている。

「ちょっと、そんな大袈裟な。メリッサ君の、サリー領の皆さんの努力の結晶だよ。私の意見は関係ないわ」

「そうかい? それなら余計にうれしいな。正直、領の皆で頭を抱えてしまっていたからね。みんなに喜んでもらえてよかった」
メリッサ君も、やっぱり焦っていたんだね。そりゃ~そうか。急だったし、変な期待もされてたし。

「わかるわ… ちょっと今回ばかりは『21領主』が邪魔に思えたわ」
と、こそっとメリッサ君に耳打ちすると、パッとおどろいた顔でくすくす笑いながら

「同志がいてよかった」
と2人で笑っていると、オリバー君とウィリアム君が来た。

「メリッサ君。こんなに小さいと全種類食べられるからいいな!」

ウィリアム君は全種類を盛る様に給仕の人に頼んでいる。

「僕も。夜会とか、正直、あれもこれもってなって、最後は食べられないのが悔しい時があるしね」

ナヨっとしているが、オリバー君も全種類食べるみたい。

「え! 全種類! お腹大丈夫?」

「このぐらい平気だろ。てか、男子は多分全員食べられるよ、このぐらい。育ち盛りだし」

「そうなの! すごいわね」
メリッサ君はちょっと引き気味にウィリアム君のお腹を凝視している。

「ちなみに、サンドイッチはどのくらい食べたの?」

「俺? そうだな6つかな」

「「「6」」」

流石にオリバー君も驚いている。ウィリアム君、食べ過ぎじゃない? すごいな若いって。

「それで、そのお腹? 膨れないのね。うらやましい」
と、メリッサ君はちょっと違う尊敬の眼差しで見ている。

「そうか? 普通だろ?」

ケロッとしているウィリアム君は、この後、湖でサーフィンするらしい。


本日の収穫『10代の男子の胃袋はブラックホール』でした。

感想 405

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

【完結】病弱な妹に魔力を分け続け死ぬ寸前の私を、宮廷魔術師になった旧友が攫ってくれました。家族を捨てて幸せになっていいんですか?

未知香
恋愛
「あなたはもう十分楽しんだでしょう? 今度はミアーラの番よ」 膨大な魔力と知識を持ち、聖女候補とまで言われた、天才魔術師エリアーナ。 彼女は、病弱な妹ミアーラの為、家族に言われるまま自らの膨大な魔力を差し出すことにした。 「そうだ。私は健康で、今まで十分に楽しんできた。だから、あげるのは当然だ」 魔力を与え続けた結果、彼女は魔力を失い、容姿も衰え、社交界から姿を消してしまう事となった。 一方、妹ミアーラは姉から与えられた魔力を使い、聖女候補として称賛されるように。 家族の呪縛に縛られ、「今まで多くを貰いすぎていたのだ」と信じ、利用され続けるエリアーナ。 そんな彼女の前に現れたのは、かつての旧友であり宮廷魔術師となった青年だった。 ハッピーエンドです!

そんなに嫌いなら、私は消えることを選びます。

秋月一花
恋愛
「お前はいつものろまで、クズで、私の引き立て役なのよ、お姉様」  私を蔑む視線を向けて、双子の妹がそう言った。 「本当、お前と違ってジュリーは賢くて、裁縫も刺繍も天才的だよ」  愛しそうな表情を浮かべて、妹を抱きしめるお父様。 「――あなたは、この家に要らないのよ」  扇子で私の頬を叩くお母様。  ……そんなに私のことが嫌いなら、消えることを選びます。    消えた先で、私は『愛』を知ることが出来た。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。